パリのマダムの・・・ volume61

『Tesla(テスラ)な世界』

先月、夫と二人、カンヌ-パリ間900kmの道のりをレンタカーで往復した。
カンヌからパリへのドライブというと、“PARIS CAN WAIT”を思い出す。フランシス・コッポラ監督夫人エレノアが、実体験を元に、80歳にして初めて手がけた映画(邦題“ボンジュール、アン”)だ。

「カンヌ映画祭後に夫婦でバカンスを楽しむ予定が、映画プロデューサーの夫が急遽ハンガリーに出張となり、同業者の友人が、夫人をパリまで1泊2日でエスコートする」というシナリオで、歴史と文化、料理とワイン、そして、フランス男の何たるか、を、垣間見せるドラマ。

映画では、年代物のプジョー(1972年Peugeot504)で、寄り道をしながら一般道を走るが、私たちはそんな流暢な旅とは無縁に、プジョー2008のオートマを借りて、法定速度100〜130Km/hの高速道路を直走り、休憩含め、ほぼ9時間でパリに到着。

ちなみに、オートマ車の方がマニュアル車より数が少ないため高くつく。日本とは逆ですよね。当日、夫は、車の土台たる骨組みが良いとの判断でプジョーを選んだ。しかも、荷物を運ぶのに後部座席も倒してトランクルームからの広いスペースを確保したかったので、後部全面にウィンドシールドが貼ってあるのも重宝した。

運転するのは夫一人、私は助手席を温めるだけ(苦笑)。なのに、車窓からのシャッターチャンスを毎回逃すので、夫に呆れられる始末。
何とか撮れて嬉しかったのは、私の大好きなCôte Rotieのワイン畑。ギラギラ暑い日差しが差す急斜面は、正に名前通りの“焼けた丘”だった。

しばらくして、あれ? ルートでは北上しているのに、お日様が斜め前に見える。「日は東から昇り西に沈む」になってない……そうか、地軸の傾きだ。だから、夏は日中の時間が長くなるんだもんね。
エッセイ51も参考にしてもらえたらと思うが、

ひまわり畑が所々に広がってて、ロシアとウクライナを想った。
フライドポテトにはひまわり油が最高で、フライドポテト好きの国民が多いフランスでもベルギーでも、ウクライナ騒動で“ひまわり油”を切らして困っているという(笑)。

ところで、広がる景色を見ながら、またまたあらぬ方向へ思考が外れていく…とあることが気になってしまった。
色気も食い気もない話、電力問題を考えてしまったのである(失笑)。

Eolienne(Wind turbine=風力原動機)は、大抵の場合、農地に立っていた。

初期の頃は反対運動の方が大きかったはずが、イラストの様に
『わー子供がどんどん増えて、キノコのように育っていく』
『この場所が気に入っているんだ』と皮肉にも増えた。

大地主ともなれば補助金が入る。採算上、数台建てることになるから、借地代としての収入がハンパない。10台あれば、年間500万円超えの収入らしい。
もちろん、村も潤う。発電所に勤務するエンジニアの所得が高いので、徴収する職業税も高くなり、原子力発電所の建設と同じく、本音と建前が混在ることになる。

この3枚、上はカリフォルニア。

中はラ・マンチャの風車で風情があったスペイン、こんな進化系が誕生している。

下はアラスカのHAAPシステム…私には醜悪にしか見えない。

ところで、 同じ場所でも動いているものと動いていないものもあって妙に気になったが、発電用だけなのだろうか。余剰電力消費用とかって事はないのか?!

フランスが誇る原子力発電所も見えた。
発電所は見た目に少ない気もした。送電線が見えるところと見えないところがあるが、配電システムはどうなっているのだろう。

さらに、我らのプジョーを追い越す、かっこいい“テスラ”を尻目に、はたして電気自動車は本当にエコなのか?という疑問も湧いてくる。
フランスでも電気自動車が多くなり、休憩所の装備もかなり変わっていた。
私たちは、ガソリン車でリッター約2euro(約280円)に高騰していてビックリだが、電気自動車のフルチャージ料は、ほぼディーゼル車満タンと同じくらいらしい。

EV車というと“新しい”イメージがあるが、実はガソリン車より古い。
史上初の時速100km超えを達成したのも電気自動車で、1899年に『La Jamais Contente号』が、105,9km/hを達成している。
このネーミング、『絶対満足しない(車)』という意味なのだが、自虐ウィットに富んで面白い。

そして今や、ガソリンも充電も不要、太陽光のみで走るEVソーラーカー“Sion”が出現している。
独企業が開発した車で、仏語ならシオン、日本ではサイオンだが、トヨタが2003-2016年北米で展開したブランドもサイオン(Scion)だった。こういう名前も裏が気になるぅ…もはや病気?!

さて、“テスラ”は、イーロン・マスクが社名にするまで、あまり知られていなかったと思う。テスラの大発明は交流モーターと交流発電で、直流モーターと直流発電のエジソンとは敵対関係にあった。
因みに、テスラ・モータースのEV車は、リチウム電池で動く直流モーターをエンジンにしている。もっとも、そこを気にして買う人はいないと思うけど(笑)。

エジソンとテスラって、どこかパスツールとべジャンの関係(エッセイ12)に似て、テスラは、エジソンとその取り巻きのビジネスに敗れた。
パストゥールはパストゥール研究所、エジソンはGEジェネラル・エレクトリック社を残したが、テスラはやっと日の目を見た感じがするものの、結局、有名になるかならないかは、お金に絡むのかも。

天才は元より、早熟な秀才というのは、青田買いというか、何かの力に利用されて、時機を得た登場をするものかもしれない(イーロン・マスク自身も同類かも?!)。
テスラの技術は、時期尚早として温存されてきたのかもしれないし、ある勢力(例えば軍事に関わる特権階級?!)がそれを秘匿し、小出しに利用する法で、美味しい商いをしてきた可能性もある。

テスラを追いかけると、何とタイタニック号沈没事故にも行き着くのだが、また脇に逸れるのでやめておく。知的を装うフランス男のように、何にでも蘊蓄を語る私の悪い癖…

テスラの論文に、私が疑問に思った視点「電線を用いない電気エネルギー伝達」というのがある。テスラの描いた世界は、無線通信、世界電信システム、無線電気エネルギーという、正に今の世界システム、電磁推進だったのである。

地球上の生命は、2つのバリア(大気と磁場)で守られている、とよく言われる。地球は、電離気体の運動と磁場との相互作用で電流が流れる“金属球”のようなものになっている。上層に高周波高電圧をかけ、下層に直流高電圧をかけると、その圧力差を生み出す、これが、テスラの電磁推進で、この方法ならUFOも可能になる、という原理。

テスラは「エネルギーは宇宙のどこにでもある」と言い、フリーエネルギーという概念を提案していた。現在使われている概念のヘルツ波は電磁波の横波、対してテスラ波は電磁波の縦波。そのテスラ波が太陽から降り注ぐ高熱波動に含まれるとすれば、この地球を取り巻く電気や電波は交流の縦波ということになり、自由にエネルギーを得る事ができる。

太陽光は、マックスウエル理論と量子論で、横波の光量子しか存在しないと“考える”ので、半導体薄膜を使ったソーラーパネルの太陽光発電が出てくる。しかし、森林を伐採するような自然破壊をしてまで太陽光発電を敷くメリットって本当にあるのだろうか?
しかも、蓄電やら需給システムを調整するのは結構面倒なものではないのだろうか?

今の私には、学校で習った理科や物理をもう一度勉強し直す忍耐はないし、そもそも物理
現象を実証する脳もないけれど、テスラな世界に生きていることだけは事実な気がする。

思うに、物理が苦手に思うのは、確証できないことを誠しやかに論理立ててあるからではないのか…
案外「始めに答えありきで理論を作る」のが天才物理学者だったりして?!
実際、数学者の岡潔は
『アインシュタインの理論は“思考”実験であり、物理学は、信じるか信じないかはあなた次第、という形而上学になってしまった』
と言っていたし、

バーナード・ショーは
『プトレマイオスが創った宇宙は1400年続いた。ニュートンが創った宇宙は300年続いた。アインシュタインも宇宙を創ったが、はたしてどのくらい長続きすることやら』
という言葉を残している。

近い将来、またコペルニクス的転回が起きる気がしてワクワクする。

ご参考:https://cinerack.jp/tesla/
https://www6.nhk.or.jp/wdoc/backnumber/detail/?pid=170502
https://nikolateslamuseum.org/en/

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