パリのマダムの・・・ volume66

『全ての道はローマに通ず』

この言葉、よく耳にはしても、誰が言ったかは案外知らないものかもしれない。

17世紀の仏詩人ラ・フォンテーヌだ。『北風と太陽』とか、『カラスとキツネ』と聞けば、あー、となるはず。そう、彼は、イソップ童話を元にたくさんの寓話を書いている。

西欧文明はギリシャ・ローマ帝国から始まる、と言われるが、これには、キリスト教の宗教的呪縛がある。東の皇帝と西の皇帝で双頭の鷲、ローマ法が欧州の基礎になって、イギリスやアメリカのコモン・ローでさえ、これをベースに影響を受けた。

一般的に自由7科と言われるリベラルアーツも、ギリシャ・ローマに始まる。古代社会における奴隷ではない“自由人”階級が学んだもの。
娘が昨年Neuroscienceの博士号を取得したが、証書には、the degree of “Doctor of Philosophy”と書かれていて、改めて、Ph.D.とはそういう意味だったと納得。哲学とは、ギリシャ・ローマの教養だったのだ。

さて、正月早々またそっち系の話ですか、と言われそうだが、話は、半年前に遡る。

2022年7月6日、Georgia Guidestonesジョージア・ガイドストーンが何者かによって爆破された。1980年3月22日、米ジョージア州、エルバートンという田舎町に建立された石碑で、オカルトファンの巡礼地になっていた。

このモニュメントは、太陽の運行に合わせて設計され、18,6年の周期で訪れる局地点を表し、中央の石には2箇所の穴が開いていて、毎年、夏至と冬至には、この穴からちょうど太陽が見える作りになっている。

6枚の石板に、8つの言語と、4つの古代文字で、10のガイドラインという現代版“十戒”のようなものが刻まれていた。古代文字とは、アッカド語、古代ギリシャ語、サンスクリット語、ヒエログリフで、8つの現代語は、英語、スペイン語、スワヒリ語、ヒンディー語、ヘブライ語、アラビア語、中国語、ロシア語で、日本語はない。

ところが、日本に、1/3サイズのジョージア・ガイドストーンがある !
場所は香川県高松市牟礼町。1983年11月21日、姉妹都市提携の記念に贈られたという。
ホントにそれだけの事だろうか。と、またもあらぬ方向に考えが飛ぶ……

第一項には、人口は5億人以下に維持する、と書かれている。フリーメーソンの“新世界秩序”でグレートリセットが話題に上る時に、必ずと言っていい程出てくる話。
現在の世界人口は77億以上もあるのだから、5億って何?!となると思うが、これが、“人口削減”の陰謀話に繋がる。

そして、その大元は“ローマクラブ”。

1968年4月に最初の会議がローマで開催されたことから、この名がついた。実体はスイスで法人化されたシンクタンク。この団体が有名になったのは、1972年の国連環境計画の設立に先立ち、その報告書『成長の限界』が発表されたことだった。

「人口増加や環境汚染が続けば、地球の成長は限界に達する」と予測された内容なのだが渦中の問題となっている。自然災害が増える中で食糧危機も実しやかに叫ばれている。

ところで、多くの国連機関の本部はジュネーヴにあるのに、国際連合食糧農業機関(FAO)は、本部をローマに置いている。そして、FAOとWHOによって設置された世界食品規格委員会、通称コーデックス委員会(CAC)も、ローマにある。

食の安全や品質って、毒性の限界基準ではないんだろうか?! 常日頃、知らぬ間に口にしている食品添加物だが、旨味成分って何? グルタミン酸って麻薬みたい。「やめられない、とまらない」は、かっぱえびせんだけじゃない……

成長の限界で、何かが画策されているいるとしても、クラブメンバーでなければわかるまい。しかも、この裏に優生思想があると知れば、益々怪しさが増す。

実はこれ、元々古代ギリシャ・ローマ時代から継続的に問題とされてきた。
近代に、マルサスの人口論を契機に、ゴルドンやダーウィンなど英国で社会進化論が起こり、科学万能主義が浸透していく米国で強制断種が実践された。

その背景には、移民による人口増加の問題があったのだが、次第にアメリカに倣えで、ヨーロッパでも肉体的弱者に対する断種法が制定されていく。
断種法や優生学がエスカレートしたのはナチスが政権を握ってからで、遺伝的疾患のみならず、身体障害者や精神薄弱者を含めた大量殺害に及んだ。人道的戦争犯罪の一つとして、レーベンスボルン“生命の泉”によってアーリア純血性の出生計画が実施され、優秀な子供の略取や養子など、War childrenを産んだのは、とても異常な事だった。

その後も、カンボジアのポルポトの人間絶滅作戦、ルワンダの民族虐殺、昨今世界的に明るみになった、カナダのモホーク寄宿舎学校で起きた先住民族の子供たちの集団虐殺事件もその流れと見る人もいる。

ここで、英国の貴族バートランド・ラッセルをとりあげる。哲学者、論理学者、数学者、社会批評家で、政治活動家でもあったが、次のような驚愕の発言をしている。

「妊婦の意に反した強制妊娠中絶が、中国共産党では極く普通にあるように、水と食料に薬品を混させて、無理やり一般大衆を断種する」
「自発的な避妊の法体系を作り、男女ともに思春期には、避妊装置を身体に埋め込み、政府から子供を作る許可を得たときのみ、身体からはずせる」

かく言った彼自身は、生涯に4度結婚し、最後の結婚は何と80歳で、98歳まで生きた。
陰謀で名前が上がる人々は往々にして長寿だが(苦笑)、不老不死の秘薬を手にしているのか?! もしかしてだけど、以前にも触れた(エッセイ56)、ウサギがシンボルのアレ?

スコッチウィスキーのOld Parrを、見た事、聞いた事、味わった事があるはず。明治の欧米使節団、岩倉具視が持ち帰り、明治天皇に献上された銘柄としても知られるが、オールド・パーとして親しまれたのは、Thomas Parrトーマス・パーという人物。

1483年にロンドン郊外のウィニングトンに生まれ、100歳を過ぎてから3回も結婚し、嘘か誠か、1635年に152歳の天寿を全うしたという。子供や孫の中にも100歳や120歳の長寿者が何人もいた驚異的な家系だったようだ。

さて、2015年6月6日に公開されたトゥモローワールド、子供が生まれなくなってしまった2027年を舞台にしたというSF映画。これにPlus Ultraという秘密結社が登場する。エジソン、テスラ、エッフェルにジュール・ヴェルヌ、アインシュタイン、後にウォルト・ディズニーも参加するのだが、映画は彼がなくなった後に保管庫から出てきた資料がベースになっていると言っても過言ではない。フリーメーソンのシンボルマーク満載なのだ。
 
こういう話には尾鰭がつく。空気感染するエボラ出血熱というのもあったが、コロナ騒動はどうなのか……ウィルスやワクチンも、優生学的兵器として人口削減の流れで考える人がいても不思議ではない。ここに記したように「世界人口に的を絞って削減するために」という歴史があったのだから、単なる「煙」と片付けるわけにもいくまい。
 
権力者の利権と秘密を守るために、裏世界で活動する人たちの集団がいることには、誰も否定はしないと思う。だから、ジョージアガイドストーンの破壊も、わかる人にはわかる出来事だろうし、私のように外部者が面白がってとりあげる、というのも想定内?!

出発点や手段は違っていても目的が同じなら、同じ結論に達する、というものだが、はたして、今、世界が向かっている“この道”も結局はローマなのだろうか?

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