パリのマダムの・・・ volume12

『警告かもしれない』

私たちは1時間に約14,000個の細菌とバクテリアを絶えず吸い込んでいる、という。
ウィルスや細菌が非常に有害な場合、なぜ私たち全員が死んでいないのだろう?

まずは、Louis Pasteurルイ・パスツール(1822-1895)とAntoine Béchampアントワーヌ・ベシャン(1816-1908)に焦点を当ててみようと思う。

二人は共にフランス人、19世紀、近代細菌学の基礎を作った人たちである。
方や、世界的に知られ、方や、フランス人でも知らない人が多い。

パスツールは、
「生物の内部環境は無菌であり、感染症は、生物の外から来る微生物によって引き起こされる。全ての病はそれぞれの細菌種が関係するが、細菌種は不変で形態を変えない。従って一つ一つに対処する適切な制御手段を開発する必要がある。」
 

ベシャンは、
「細胞は、特定の条件下で進化し、細菌を形成することができる
小さな粒子(mycrosimes小発酵体)で構成され、感染症は体外から
でなく体内で発生するもので、環境の重要性と生物の健康が病気への耐性の重要な要素である」と論じた。

 
二人はバクテリア理論で対立したが、パスツールの考え方は新興の製薬産業を魅了した。アメリカの医療/産業複合体によって採用されたが、この組織はカルテルになっていて、
保険会社、FDA(食品医薬品局)、NIH(国立衛生研究所)、CDC(疾病管理センター)、病院、大学の研究施設なども含まれる。

パスツールが化学者及び微生物学者として数々の功績を残し、現代医学と薬理学の基礎を作ったことは紛れもない事実だ。一方、ベシャンは、化学、薬学、医学を学び、薬局を
営んでいたこともある。学校で化学、物理学、毒物学、薬学で教鞭をとる傍、ワインの
発酵、カビによる糖の変換の研究なども行なったが、彼の細菌理論は埋もれてしまった。

20世紀初頭の微生物学者の大多数はパスツールの研究の影響を受け、現代の細菌学に
おける科学的思考を依然として支配している。ベジャンの流れを組んだ「医療」もない
わけではないが、似非科学とか擬似医療とか言われて、メジャーではない。

パスツールは、死の床で、自分の非を認めている。
” Béchamp avait raison, le microbe n’est rien, le terrain est tout”.
「ベシャンが正しかった。細菌は何でもない、土壌が全てだ」

さて、Covid-19の出現は、様々な憶測を生んでいる。治療法やワクチン開発についても、世界中の医師や科学者の間で、意見が分かれている。ひいては、どこの国で、どの病院で手当てを受けるかによっても、救われる命があったりなかったり……

遺伝子が違う、体格が違う、体内”土壌”が違う、世界中の患者に、普遍的な薬剤など存在するものだろうか。しかも、イスラムでは豚が禁忌だが、現代の製薬業界では豚由来の
分解酵素が多く使用されている。それ以前に、そもそも変異する性質があるものを、
どこまで食い止めが可能か、という問題がある。

根本的な問題として、ウィルスが蔓延していく背景は、生活環境や生活習慣によって、
人間の体が劣ってしまった事実を物語るものではないのだろうか。食生活や安易な薬の
服用を反省しないで、体が悲鳴をあげているのも気がつかないのは自らを殺している。

例えば、抗生物質。フレミングがアオカビから見つけたペニシリンが世界初であるが、
実用化されると、ストレプトマイシンなどの抗生物質を用いた抗菌剤が次々に開発され、人類の医療に革命をもたらした。もちろんこれらの薬に助けられた人々も大勢いる。

一方で、いつしかとんでもない種類と数が製造され、人類は皆、ありがたがって、薬物漬けになってきた。これまで私たちが安易に使ってきた幾多の「抗生剤」のせいで、人間の「生物学的土壌」が破壊されてきたのも事実である。

中世のペスト以来、消毒、衛生に大きな注意を払うようになったのは良いとして、現代
生活は、「抗菌」「抗菌」と、様々な化学製品を大量に使うようになって、外界の微生物まで殺してしまい、人間以外の生態系にも悪影響を及ぼしてきている。

「蜜蜂が消えた」というのも一つに例だ。蜜蜂は「花の蜜を吸う」と言われているが、
実際には、微生物を食するのだという。しかもプロポリスは天然の抗生物質と言われる。
大量生産の単作農業は、自然界の鳥の餌を奪うばかりか、病害虫異常発生vs農薬頒布に
よるリスクも大きい。本来のエコロジーとは何か、を改めて考え直す時かもしれない。

ところで、Covid -19騒ぎで、手洗いの強化が見直されているが、昔ながらの自然素材
石鹸は、合成ソープに比して1000倍の破棄力を持ち、手荒れのトラブルは50%減という
調査結果が出ている。石鹸は、紀元前3000年からの歴史があり、シュメール人は脂肪と
炭酸カリウムから石鹸を製造、エジプト人は衛生・製薬目的で使用していた。
改めて、石鹸による手洗いを見直したい。
ご参考:https://www.youtube.com/watch?v=s2EVlqql_f8&feature=youtu.be

ここで、私の体験談を話したい。
抗生物質を服用すると、下痢腸炎を起こす。副作用として腸内細菌が減ったせいか、消化できないものも増えた。一方、予防接種のお陰か、何らか免疫が強くなったか、子供の頃は病気がちだったのが、大人になって大病する事もなく風邪もほとんど引かない。

実は、「狂犬病」のワクチンをいみじくもパスツール研究所で受けたことがある。
いみじくも、と言ったのは、「狂犬病ワクチン」はパスツールから始まっている。
「狂犬病」は、ワクチン接種を受けずに発病すると、確実に「死」に至る。
確立した治療法はない、と言われている怖い「感染症」の一つである。

私の場合、アフリカに行く仕事があったためだが、当時は「黄熱病」の予防接種の証明がないと滞在ビザを発行しない国があった。A型やB型肝炎の予防注射も受けたし、また、マラリア予防の薬も滞在期間前後含めて服用したものだ。

数年後の夏、2匹目の猫を飼って数日後、夜中に呼吸困難になり、救急医療を受けた。
問診でSarsの疑いを持たれたが、血液検査の結果、なんと「動物アレルギー」であること
が判明した。私は、アナフィラキーを起こしたのだった。

猫はもとより、犬も、馬もダメ、という結果が出て、悲しくも、猫を飼うのは一匹だけに留め、アレルギー発作予防として、私が薬剤を使って対処することにしたのだが、私は
今でも、それは「狂犬病ワクチン」のせいではないか、と疑っている。

数年後、猫も一緒にアメリカに移住することになった。私たちに遅れてパリからヒューストン経由でラスベガスに来た「愛猫」は、パスポートと健康手帳を持たされて、一匹旅をしてきた。何せ猫、旅の話は聞けず、無事の再会を喜ぶだけだった。

移住には各国規定の諸手続きがある。各種予防接種の義務も様々、アメリカもしかり。
人間だけでなくペットも同様、強制接種の内容や有効期間がフランスと違うものがあり、私たち人間も猫も、追加接種を受けた。

ところが、1年後に日本に引っ越すことになった時、その「愛猫」を泣く泣くアメリカに残すことになった。猫の耳には、識別番号が刺青され、ワクチン履歴も正しく記録された手帳があったが、日本では、刺青は実験用動物のみが許されているとのこと。

もし連れて行くなら、ICチップを入れ強制ワクチン接種を最初から受け直さなければなら
ず、7ヶ月かかる。それ未満の場合は満期まで入国管理局に置かれる。ペットの輸入は
農林省の管轄で、このような厳しい管理は、「狂犬病」感染を防ぐ究極の措置だったのだ。

さて、こうした体験も踏まえて思うのは、近い将来か、遠い未来か、わからないが、
変異するウィルスに対して恒久的に有効な『ワクチン』が開発されるものだろうか?

世界広しで、予防接種や輸血を禁止している信仰もある。「人類の健康のため」として、
政府がワクチンをはじめとする様々な処方の強制措置をとるという事は可能だろうか?

しかも、管理システムがどんどん電子化する中で、いつでもどこでも証明が可能なように、人間も「刺青」或は「ICチップ」で監視するという方向に向かうものだろうか?

何事も極論は避けたいと思うが、『命』に対する究極の選択はないのかもしれない。
(「命」という言葉には、奥深い意味合いがある。次回に繋げたい。)

ただし、それを誰が決定する権利を持つのだろう……

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