パリのマダムの・・・ volume51

『Le Soleil “太陽”と“ひまわり”』

カンヌもかなり冷え込んで、もはや暖房なしには過ごせない。ではクイズを出します。
地球の暖房といえば“太陽”だけど、地球が太陽に一番近づくのはいつでしょう?

これが意外かもしれないが、冬、年初の1月。これを近日点という。そして、最も遠ざかる遠日点は、夏の7月初旬で、その日太陽は1年で最も小さく見える事になる。理由は、地球など惑星は、太陽の周りを真円ではなく、楕円軌道を描いて公転しているから。

地球は地軸が23.4°傾いているが、そのために寒暖差が生まれる。
我が家でも、バルコニーからの太陽の位置の変化を強烈に感じる。目の前に建物が無い分、1年中明るいが、冬は、バルコニーにあたる日照時間がとても短くなるのだ。

理科で習った「南中高度」、覚えてる? 正午の太陽光の入射角で、北緯36°の東京では、夏至の南中高度は77.4°、冬至の南中高度は30.6°と、これほど高さが違う。ところが、近日点と遠日点は、計算上3%程度なので、近い遠いの影響は非常に小さい。

太陽が高い位置から照らすと、単位面積あたりの熱量がアップ、冬は太陽高度が低くなるため、単位面積あたりの熱量がダウンする。昼の長さは夏至と冬至では5時間も違う。
で、フランスなどヨーロッパの国々では、夏時間と冬時間を設定している。

地球のエネルギーは太陽だけが頼り、太陽のエネルギー量が全ての原因である。つまり、太陽光の増減によって温暖・寒暖が起きる。気温が上がると地球表面の70%を占める“海”が暖められる。温まり易く冷めやすい陸地に比べて、海洋は温度変化が小さい。実際、海水浴をすると7月より9月の方が海水が暖かい、というのを感じたことがあると思う。

2021年10月31日〜11月12日、英国グラスゴーで、コロナ禍で延期されていたCOP26が開催された。その前にイタリアで中露不参加のG20が開催され、エネルギー問題や気候変動「脱炭素」問題を話し合った。そもそもCOPは、1992年の地球サミットで採択され、温室効果ガス排出削減等を協議する会議で、1995年のベルリン以来毎年開催されている。
ご参考:https://social-innovation.hitachi/ja-jp/article/about-cop/

それにしても毎回思うが、サミットやCOPが開かれる度に、若者を中心に大勢の活動家たちが現地に集結する。コロナは何処へ?だが、誰が指揮を取って経費を払っているのだろう。グレタもマネージャーがいて、すっかり広告塔として定着している。

少し前に、Arteという独仏合同放送局の番組で、産業がロビー運動で揺さぶられているドキュメンタリーを見た。正に、渦中のコロナワクチンの製薬会社の動向しかり、気候変動における資源エネルギー問題しかり、企業利益に影響して科学界も相反する論で揺れ動く。科学者は一般的に話下手、それでジャーナリストや活動家が出てくる。正にコミュニケーション能力が果たす役割が大きく、感情や意識に訴える論拠(方便?!)が功を奏す。

2021年のノーベル物理学賞は、アメリカ国籍を持つ日本人の真鍋淑郎氏の“地球温暖化”に関わる研究に与えられた。日々変わる天気の不思議さに魅了され、自然現象の謎に迫りたい、と気象学を選んだという。今やコンピューターも格段の進歩、気象モデルも大きく変化した。パラメーターの取り方一つで結果が変わる、というのは、科学ではよくある。だから、コロナのPCR検査もそうだったように、気象モデルも、正に”変動”する。
ご参考:https://gendai.ismedia.jp/articles/-/88138

2019年に劇場公開、2021年お正月にTV放映された「天気の子」、思わせぶりに、異常気象やらコロナ禍社会らしき話が出てくる。と書いていて、Netflixに“Japan Sink”を発見、東芝日曜劇場をほぼ同時に見られるなんて、と飛びついた。主人公の名前やら、登場人物の設定やら、探査機、プレート、ひまわり、裏読み要素満載、パロディぽくて、楽しめた。
ご参考:https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/b/083100222/?P=3

関東沈没の話は、昨年、「海面が100m上がった世界線」地図でも話題になっていた。海水面の上下と大気中のCO2の濃度は全く同じ関係にある。大気の温度とCO2濃度とは因果関係が180°正反対で、地球の気温に連動し、気温が上がると半年くらい遅れてCO2濃度が上昇する。言い換えれば、「CO2が2倍になると気温が2°上昇する」のではなくて、「気温が2°上昇するとCO2濃度が2倍になる」が正解。

10万年周期問題というのがある。今は「間氷期」の中の温暖な気候が客観的な事実であっても、どうやら、それを言っちゃおしまいよ、の世界が実業界にはあるらしい(笑)。
ご参考:https://www.jamstec.go.jp/sp2/column/03/

化石燃料の石油や石炭は地球が数億年かけて作ったが、恒星内部の核融合で作られるのは鉄よりも軽い元素だけ。原発に使われる”ウラン”は、なんと、太陽の何十倍もの恒星が燃え尽きた後に超新星爆発でできる中性子星同士が2つ、正面衝突したときにだけ作られる(ややっこしい)「宇宙の化石」のような存在だという。とにかく、地球上での採掘可能量は、石炭の100分の1しかないのだそうだ。利権の大きさがわかる、というもの。
ご参考:https://www.gsj.jp/data/chishitsunews/64_07_01.pdf
    https://www.nhk.or.jp/politics/articles/lastweek/42491.html

さて11月9日、マクロン大統領のTV演説があり「コロナ・ワクチン接種推進継続と衛生パスポートは来年7月31日まで延長」の通達に続いて、「エネルギー供給の独立性の観点から、“原発の新規建設”を表明」したことが興味を引いた。

福島原発事故以来、世界は、環境破壊の原子力に反対する運動が高まったが、ここに来て、温暖化ガス排出量ゼロに向け、電気エネルギーの推進が加速している。自動車産業がそうだし、航空機産業もカーボンニュートラル実現に動いている。

燃料電池の領域は、潜水艦や宇宙航空産業の発達を見るに、原子力電池が広範に使われている、と考えられる。小型化推進される次世代“地下原発”だが、地下原子炉はかなり前から存在し、事故も起きている。ただ取り上げられることは少なく実体がよくわからない。
ご参考:https://www.excite.co.jp/news/article/Toushin_19981/
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/smr_01.html
https://www.swissinfo.ch/jpn/放射能と被ばく_スイスで起こったメルトダウン-歴史的な原発事故/44697096

原子力事業には、海水温上昇に関わっているかもしれない冷却水の問題や、何より廃棄物処理の問題がある。その中には、医療用となるアイソトープ以外に、兵器利用される劣化ウランやプルトニウム……原子力事業に関わる軍産官民複合体の闇は深い。
ご参考:http://pub.maruzen.co.jp/index/kokai/genso/512.pdf

哀しいかな、低賃金で雇われ、人知れず病に倒れる悲しい現実は、下層階級や貧困層の人々と相場が決まっている。元より、普通に暮らしている社会環境中に、何気に浮遊する物質が、生物の身体にいかに悪さを及ぼしているか、実感できていない。
ご参考:https://eiga.com/movie/57404/
    https://genpatsu.tokyo-np.co.jp/page/detail/205

「良事門を出でず、悪事千里を行く」とはよく言ったものだと思うが、そのツケは誰が払うことになるのだろう。一方で、文句を言うのは簡単だけど、世の中の矛盾と戦うのは容易ではない。きっと、“お天道様”は見ている……
 
最後に、もう一つクイズです。タイトルに記したように、仏語のLe Soleilは“男性”名詞で、太陽とひまわりを表すが、学名はHelianthus annuus(ヘリアンサス)と言い、「太陽の花」を意味する。では、向日葵を国花にしている国はどこでしょう?

答えは、元ソ連のロシアとウクライナ。そう、これまた意外にも寒い国、面白いでしょ。
ご参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/ヒマワリ
    https://ja.wikipedia.org/wiki/ひまわり_(1970年の映画)

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