パリのマダムの・・・ volume74

『Barbenheimarバーベンハイマー
【=Barbie(バービー) + Oppenheimar(オッペンハイマー)】』

この夏、世界中で新作公開された映画『バービー』と『オッペンハイマー』。

新作映画といえば、フランスでは水曜日が新作公開日となる事が多い。
例えばコレが金曜日ならば、週末だから…と納得もできると思うが
「水曜日なのはなぜ?」と思う人もいるのではないか…
理由は(多分…)フランスでは水曜日、学校が休みだから。
その上、昨今の働き方改革で水曜日が休み又は半日という、週4日制の職場も多いからだと思う。

『オッペンハイマー』を観たかった私は、最初に娘を誘ったが
「そもそもあまり興味のない映画だし、BFと行く予定なので、二度は観たくない」
と断られ、夫を誘うことにした。
実は私、一人で映画館に行った事がない…
一人で外食したりするのも苦手で…
誰かを誘って一緒に行きたかったのだ。

あまり気乗りしていないと明らかに分かる夫と二人
中心街にある映画館へ向かった。
街に二つある映画館
一方はフランス語の吹き替え
もう一方がオリジナル英語版をフランス語字幕で上映。
私たちは後者で観ることにした。

夫はいつもオリジナル版を好む。
両方の言語が外国語になる私にとっては
集中力を過剰に必要とするので結構しんどいのだけれど
私も、吹き替えよりは元々の役者の声で観たい派だ。

※以下、ネタバレを含みます。

※※以下、広島、長崎への原爆投下に関する記載があります。個人の意見を表現したもので先の戦争に対して言及したモノではありません。

※※※以下、意見には個人差があります。あくまで作者の個人的な意見の範疇での記載であることを事前に表記します

内容を簡単に触れると、広島、長崎の原爆投下の映像は出てこない。
アインシュタインは姿だけ登場し
マンハッタン計画における経緯
トリニティ実験の模様
情報漏洩のスパイ嫌疑を受けて査問された聴聞会の様子などが描かれている。

私はこの映画に
アメリカ映画なのに(明らかに個人に由来する先入観ですが…)
エンターテイメント性より時代や歴史、人間の心理を深く描く映画だな
という印象を持った。
そういう意味では、政治や哲学的思考の好きなフランス人好みの作品だったのではないかと思った。

映画によれば、トリニティ実験で使われたのは
インプロージョン型のプルトニウム爆弾。
広島に使われたとされるウラン235の濃縮タイプを使ったガンバレル型は
実験さえ行われていないという。

そんな事ってあり得るの?!
原爆投下って、たまたま一発成功ってこと?!

とても不思議に感じた。

いずれにしても、この頃から
核は脅威と物議を呼ぶ兵器として世界中で君臨していく。

そんな風に世界中で脅威として君臨している核兵器のことを
私たちは一体、どこまで知っているのだろうか。

放射線と放射能の違い
原子核とは何かなど
高校物理の授業で習った基礎的知識に
その後の科学の進化を上乗せする事なく
日々、テレビから流れてくるワイドショー的な情報を鵜呑みにしているのではないかと心配になる。

そういえば、子供の頃
『傘をささないと放射能の黒い雨にやられる』
なんていう噂?…というか、そんな曖昧な情報が
やはりテレビから流れていたりした事があった。

酸性雨とか、雨に放射能が混じって降ってくるとか…
(そもそも放射能はある物質から粒子や電磁波を出す能力を表す言葉なので、放射能が混じるってあり得ない話なのだけど…)
今、落ち着いて考えると
なんと恐ろしい、そしてなんと浅はかな話だろう。

話を映画に戻して…
マンハッタン計画で秘密情報のために使われたコードネームは
『The gadgetガジェット』
道具とか装置の意だが
その仏語には
『Joujouジュジュ』
おもちゃという意味もある(怖っ)

まさか、その語呂で
『バービー』と『オッペンハイマー』をコラボさせた訳ではないだろうが…

普通に上映するより盛り上がると考えた結果
『バービー』と『オッペンハイマー』の同時上映
というPR戦略に走ったのか?!

昨今のSNSの広報の世界では
深い意味なく行われている手法ではあるが
双方の内容にこれだけ差のあるモノをコラボさせるのだから
もう少し考えを尽くしてもよかろうに…
と思ってしまう。

単なる興行成績を上げる為の戦略なの?
同時上映で得られるものって何?
この二つの…いや二人の映画を同時上映って
裏で誰かが糸を引いているの…
果たして、得をするのは?!
次々と“ARE”な方向へと思考が走ってしまう。

実際、相乗効果で、既に世界中で
333億円の興行収益が上がったというが
メディアの報道が全て事実とは限らない。
世界中って言っても、日本ではそれ程、話題になっていないらしいし…

どうも日本の今時の若者世代の多くは
『バービー』と『オッペンハイマー』
そのどちらにもそれほど興味は無い様で…
親友曰く
「周りの若者で『バービー』を観たという人を全く知らない」
とのこと。
「日本では『バーベンハイマー』の話で炎上して話題になったくらいで…
ハッキリ言って、そんなに盛り上がってないよ」
とも。

ところ変われば…なのだろうか…

『バーベンハイマー』のSNS展開で炎上したという報道を知った時
数年前、フランスで
イスラム教の預言者モハメッドを茶化した風刺画で起きたテロ事件を思い出した。

このどちらの話も
『表現の自由というものをどう捉えるか』
という報道の根源的な話なのだが
どうも出来事そのモノに対する捉え方の方向性が
意図的にズラされている気もする。

日本では『オッペンハイマー』の上映は未定の中
バービーの公開は8月11日だった。
そうなると
原爆投下を支持したトルーマンは第33代アメリカ大統領だ
とか
主演女優に起用されたマーゴット・ロビーは33歳
とか
数字を怪しく探り始めてしまう私

まぁまぁ、いつもの通りの所業だけど(笑)。

さて、娘とボーイフレンドは
結局『オッペンハイマー』は観ずに『バービー』を観たのだそう。

『バーベンハイマー』なんていう揶揄も知らず
子供の頃にバービーで遊んだ思い出も相まって
娯楽映画としての『バービー』をとても楽しく観たそうだ。

それはそれで良かったなと、母の顔になる。

後日、ZARAに行くと、BarbieTシャツを売っていた。
懐かしい人形の絵の入ったものはXLしかなく
試着したが想像通りで大きすぎる。
仕方なく、Babieロゴの入ったピンクTシャツを買った。

帰宅すると、夫が、やっぱり人形の絵の入ったのが欲しい、という。

今ではコレクターアイテムとなったこの時代のバービー人形
金髪のショートヘアと栗毛のロングヘアの2体を持っていた私
諦め難い気持ちに火がつき
夫が着るのも面白いかもと
諦めたXLサイズのTシャツを買いに
翌日、夫と二人で再びZARAに向かうと
最後の一枚になっていたっ!!

Tシャツを無事ゲットし夫が言った

「二人でこれを着て、『Barbie』を観に行こうよ」

結局、あなたもそっちかぁ~ 笑

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