パリのマダムの・・・ volume65

『Taboo・Tattoo 』

タイトルの字面を見ても思うが、タトゥとタブーって、どこか似ている感じがある。
と思って調べていたら、なんと日本には、そのものズバリの漫画があって、テレビアニメにもなっていた。日本の漫画って、もはや百科事典にも匹敵するくらい、ホント凄い!

今や、世界中に流行が広まって、ヨーロッパの街角では、あちらこちらに店があるタトゥ。
手軽な機械彫りがほとんどで、思い出やら決意やら、軌跡を残すために入れる人が多いが、時におかしな漢字を入れている人も見かけて、残念な気持ちになる。

日本の伝統的刺青のように彫り師が入れるのは時間もお金もかかる高価なものになる。
パリのアパルトマンの改装を手掛けてくれた建築士は、とても豪華なタトゥをしていて、しかも手彫りにこだわったとのこと。ゴルチエのショーに招待された時、ここぞとばかり見せるファションに身を包んでいたのが印象的だった。

今回、なぜ、こんなタイトルを選んだかというと、ワールドカップ全盛、TVで、日々サッカーの試合を見ていて、どうにも選手のタトゥが気になったから……
(日本人以外)ほぼ全員?!と言っていいくらいで、しかもどんどん範囲が拡大して生肌が見えなくなっている選手もいる。

サッカー界も、国別では判断がつかない程に、人種の坩堝と化しているが、フランス選手団を見ていると、ヨーロッパリーグじゃなくてアフリカンリーグじゃないか、なんて揶揄されるほど、黒人やアラブ系の選手が多くなっている(あっ、でも、レイシスト認定しないでね)。

そこへきてのタトゥの流行だ。

いずれにせよ、サッカーのような世界的にポピュラーなスポーツだと、影響力が大きいが故に、政治色の強いメッセージや行動が盛り込まれたりしてもおかしくない。

以前、LGBTQの応援キャンペーン試合があった。
会場を虹色ネオンで飾ってみたり、男子が女子ユニフォームを着たり……というものだったが、そうなると、同性愛を禁止しているイスラム教を信仰する選手の立場がなくなる。
実際、参加を控えたセネガル出身の選手がいて、同国大統領の応援ツィートも相まって仏TVでは論争の対象になっていたが、右倣えできないイスラム教徒には、逆差別になってしまう訳で、それはどうなのって思う。

話を戻すが、タトゥというと手軽な感じがするし、入れ墨或いは刺青というとどこか重いイメージがある。日本の歴史を探ると、縄文時代には顔面に刺青を入れていたそうだが、江戸時代には罪人に刺青が入れられたそうだ。

日本では、入れ墨をしていると温泉にも公衆浴場にも入れない。大のお風呂好きの夫、フランスでも日本式のお風呂があったらいいのに、とよく言っている程で、日本国内旅行は大抵、温泉のある所を選んできたが、

夫はいつも長湯。

♪一緒に出ようねって言ったのに、
(かぐや姫の神田川……って、古い?! )
♪いつも私が待たされた。

こんな具合にできるのも、ピアスはしても入れ墨は入れていないからよね。

その夫、悪を気取って?! こんなシャツを持っている。
ロンドンのソーホー地区にある小さなブティックで買ったが、まるで色合いが入れ墨。
でも外国人なので? 日本で着ても許される?!(苦笑)
とばかりに日本でもよく着てでかけている。

去年の話になるが、カンヌの海辺のレストランでランチをした時、とても感じの良い、タヒチ出身の女性スタッフが私たちのテーブルを担当してくれた。

彼女が入れているタトゥの話になり
「ポリネシアでは一般的で、していない人の方が少ないかもしれない」
という。正にプリミティブな文化が継承されているらしい。

私が
「今は世界中でファッション化し、大衆文化になっているが、日本では裏世界に浸透してきたために、ある意味、入れ墨=タブー というイメージがある」
という話をしたら、日本に憧れる彼女から、ビックリされた。

そうなると、タブーって何? という話にもなる。

タブーを調べると
「ポリネシア語で『明確に印をつける』意とか『聖なる』意とか言われる。
超自然的な危険な力を持つ事象に対して、社会的に厳禁されている特定の行為をいう。
触れたり口に出したりしてはいけない事柄、禁忌。
タブーという語は、1777年に探検家キャプテンクックがポリネシアのトンガ島で発見した土語だという」。

入れ墨におけるタブーと言って思い浮かぶのが、第二次世界大戦時、強制収容所に送られたユダヤ人の腕に入れ墨で掘られた番号。
私は、そうして消えない番号を背負ったフランス人と実際に会ったことがある。

この並びでこんな話をするのもなんだが、入れ墨、番号と聞いて思い出すのは、飼っていた猫の事。
登録番号が入れ墨で耳に入れられていた。
2005年当時は、それでアメリカにも移住できたので、パスポートとワクチン手帳を持って、後発で一匹旅をしてきた。

ところが、アメリカから日本に移住する段になったら、日本では入れ墨の個別認証が許されるのは検査用の動物のみで、ペットにはICチップを入れないとダメだという。
しかも狂犬病対策上、チップを入れて最初からワクチンを全てを打ち直しせねばならず、それをするのに7ヶ月もかかる。
その期間前に入国すれば、満期まで入国管理局で過ごさなければならない。
泣く泣く愛猫をアメリカで里子に出した。

そして番号制度の管理社会はどんどん人間界にも及ぶ。
例えば、日本では、マイナンバー制度の可否が騒がれ、お役所の間でも話が割れている。
で、保険証と一緒とか免許証と一緒とかって、話になっている。
いずれの所轄も必死だが、世界的な動きの一環だと思う。

この手の話には、尾鰭がついて、ヨハネの黙示録に予言されたフリーメーソンの全人類奴隷化だーっ、とかの陰謀論になる。
もしかして、番号を入れ墨されたユダヤ人が、倍返し?!でそんな方法を考えた、なんて、素っ頓狂な(こんな表現は死語?)思いもよぎるが、バーコード管理は、666の数字がマーキングされている。
バーコードをタトゥにして腕に入れれば、カードを忘れても携帯を失くしても、いつでもどこでも必要なデータが間髪入れず入手できる……それは便利、と考える人がいてもおかしくない。

コードと言えば、今ではQRコードが花盛り。
こっちは日本人が開発した、より多くのデータを盛り込むことができる、世界が驚愕した優れもの。
日本では、これが益々推進されていると思われるキャンペーンが世に溢れている。

日本のスパコン富岳が、6期連続でビッグデータ処理能力の2部門で世界1位というニュースを聞いた。
うーむ、関連している気がしないでもない。

ビッグデータは、特に医療分野での活用が進んでいるといわれる。
それを物語るのが、やはり新型コロナの出現だった気がする。
そこで、酸化グラフェンが出てきて、電磁波で操作される、なんて話も現実味を帯びてネット上で話題になっている。
話はどんどん奥深く、先の動物管理と同じように、人間をICチップで管理しようという動きも出てきた。

日本のみならず世界には、戸籍もない人々がいたり、それこそ、タブーな領域かも知れないが、生きているのか死んでいるのかわからない人々だっていて、それをどうやって管理したらいいんだ? で、あの手この手の秘策が出てきても決して不思議ではない。

管理したいのは、税金だったり、人口だったり、人々の生活に付随するすべてのデータなのだろうが、何でもかんでもスマート、スマートで、機械が”賢く”なる一方で、社会はますます頭を使わなくなる方向に進んでしまっている気がする。

一部の金持ちの野心と多くの民衆の利害が一致しているからこそ、そういう環境が成立してしまうのだろう。
でも、足掻いたところでどうなる?
その他大勢の羊でいる方が楽なことも多々ある。

何より、本当に極悪なのは、一見スマートそうに見えて、実は世論誘導をやっている”普通の”会社だったりするのかもしれない。

民主主義がなければ自由な発言も出来ないが、自由な発言をしているようで実は不法な検閲で操作されたものだけがSNSに載っているとしたら?

E pur si muove それでも地球は動いている……

ご参考:https://fashionbox.tkj.jp/archives/1302039
https://www.nippon.com/ja/views/b06701/?pnum=2

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