パリのマダムの・・・ volume67

『今更考える“血液”型』

夫がロボコップ?!になって1年が過ぎた。

しばらく前から、右足の付け根が痛んだり神経痛と思われる症状に苦しんでいたのが、意を決して専門医に診てもらうと、夫の股関節は80歳くらいに“御老体”化していた。

右左の脚の長さが違うのを放置し、力任せに股関節を酷使してきた長年のツケか?
体重も増えて負担も倍増したか、股関節の軟骨が完全に摩耗していた。

カンヌの医者は、人工関節手術にはまだ若すぎる、との判断で、最先端の再生治療を受けることになった。彼のところには、有名なサッカーの選手も治療に訪れていた。

まずはヒアルロン酸注射。太腿の前側から股関節に向かって注射をするのが、とてつもなく痛くて泣いたそうな。次に、PRP(Platelet Rich Plasma)療法という再生医療を受けることになった。これは、自分の血液を取り出し赤血球を取り除いた血しょうを、軟骨部分に注入して細胞再生させる治療法。2週間の間を置いて3回行った。

他にも、APS(Autologus Protein Solution)という、自分の血液を使うのは変わらないが、タンパク質溶液を使う方法で、変形性膝関節症に使われていたり、自分の幹細胞を利用したACR(Autologus cell rejuvenation)という治療法もあるようだ。

これらが、所謂アンチエイジング治療で結構普通に使われているのも知った。なるほど、肌の若返りだけでなく、90歳を過ぎてもかくしゃくとして活躍している世界の著名人たちの“秘訣”は、こうした技術に頼っているらしい。

夫はその後、大きな改善が見られないため、パリの専門医の診察も受け、結果、外科手術より最善な方法はない、との結論を出したのだった。手術日程を決め、付随する検査もしたのに、直前のPCR検査が陽性になって、結局、手術は5週間先に延期となった。

今度こそと、ビクビクしながら受けた直前のPCR検査は陰性、手術は無事に遂行され、2日後には退院。その間、ワクチン未接種の私は付き添いもできず、パリの友人に援護を頼み、TGVの乗降にはアシスタンスをつけ、車内では手術前に購入した松葉杖で対応。
私はカンヌ駅で夫を出迎えたが、タクシーに乗り込むのも一苦労、やっとこさの帰宅。

その後は、傷の消毒と血液検査を担当する看護士さんやマッサージやリハビリの運動を一緒にしてくれる整体師の方々が、自宅に来てくれ、徐々に自立して動けるようになった。

こう書くと、相当お金がかかったのでは?と思われるかもしれないが、フランスの会社員には、国の医療保険で還付されない自己負担分を補うMutuelleミュチュエルという共済保険がある。職域毎に違う民間保険で、以前は任意だったものがいつしか義務になった。おかげで、夫は、これらすべてが還付されたのだった。

その頃私はコロナに罹る事もなく、血液検査を受けるついでに、抗体検査も受けてみた。
というのも、そもそも、免疫があるかないかは抗体を調べれば分かるはずなのに、ワクチン接種が先行されることに合点がいかなかったから。

結果は陰性……もしCovid-19が人為的に作られたものならば、何らかの方法や原因で接触しなければ、抗体が出来るはずもない?! 逆説的に、ワクチン接種が目的ならば、理屈抜きで接種を推進されるのは当然である。

ただ、私の中では、注射にしろ薬にしろ、身体に薬物を入れる行為は、本来、子供と大人で違って当たり前だと思うし、また体格や体重の違いを考慮しない、ユニバーサルな分量というのはあり得ないのではないか、と思っている。

さて、ABO式の血液型だが、O型の赤血球に結合している糖鎖が基本型で、図のようにそれに別々の種類の糖がついている。
糖にはいろいろな種類があるのはご存じと思うが、例えば、私が大好きなでんぷん、血液に取り込まれる時には、ブドウ糖になるし、ブドウ糖は脳にとっての大切なエネルギー源で、ブドウ糖が不足すると命取りになる。

血液型といえば、日本では、気質や相性などの占いが話題になるが、欧米人は、そもそも自分の血液型を全く気にしていない人も多い。夫も然りで、付き合って間もない頃「兵役の時調べたはずだけど、何型だったっけ……」てな具合で、逆にびっくりしたものだ。

とにかく、こんな経験をしたこともあって、改めて、血液とはなんぞや、と気になったこともあり、血液型の歴史を遡ってみた。すると、地中海に人類が出現した頃、最初の血液型はO型だったそうだ。動物を追って移動する狩猟型で、火の扱いができるまでは生肉を食べていたわけで、O型にはそのための消化機能が備わっていたと考えられる。

O型の狩猟民族の一部は、中央アジアの高地に移動し、小型動物を捕獲し繁殖させること
に成功、牧畜を営む。牧草を求めて移動するので農耕には向かない。足りない食料は、動
物の乳を加工して賄う、ということになって、突然変異により、B型が生まれた。そこで、B型は、獣肉と乳製品の準肉食に対応できる要素を持った。

気温が上昇して人口が増えると、肉に頼らず植物を採取して食料にする必要に迫られ、栽
培へ移行して農耕が始まり、定住型になる。穀類を食すようになると、血液細胞が突然変
異を起こし、A型が出現する。つまり、A型は農耕民族の血液型であり、A型はでんぷん
組織を分解する酵素を生成、栄養とすることができる、というわけだ。

日本人にA型が多いのも、弥生人を祖先とする農耕民族から、ということになる。従って日本人の食生活における“和食”というのは、本来、農耕民族にとって最も快適なものであり、肉食や乳製品は、彼らの胃腸にはそもそも不向きだったことになる。

一方、大陸から牧畜を経験せずに日本の南西部にやってきたのが狩猟集団のO型(熊襲‐クマソ)。その後に日本の北側からやってきたのがB型(蝦夷‐えぞ)で、この両者が倭人の縄文人だった。北の地方にはB型が多く、それに内在するO型因子の覚醒で出生したO型もあるという。

農耕文化を携えてやってきた渡来人?!が支配するにようになって、人口も増えたに違いないが、縄文人は栄養不足になったはず。農耕を拒んだ集団は、O型かB型だっただろう。
両親のうちどちらかが違う血液型の場合、子供は、その特性を多少引き継ぐということもある。そしてAB型は、後世に、A型とB型が出会って誕生した。

A型は、和食が理想。肉や乳製品は食べない方が病気にならない……?!
B型は、穀類以外安心して食べられる。乳製品も肉類も消化できるが、”同時に”口にするのは負担になるらしい。
AB型は、AとBの両方の特性、強みも弱みも併せ持つので、何を食べても消化できるが、穀類、肉類、乳製品を同時に摂取しない方が良い、となる。
O型は、肉ばかり食べていても病気にならないし、肉と魚だけ食べていても大丈夫とか。
一方で、O型とB型がベジタリアンを目指すと内臓や血管が劣化する、らしい。

ただし、日本人にとっては米だけは別格のようで、何百年の世代交代の中で、米を食べ続けてきたので、穀物も消化できる酵素が住み着いている。(ホッ……)

興味深いことに、細菌も、A型の人はA型の細菌、B型はB型の細菌と、同じ血液型の細菌が体内に侵入しやすい状態になっているらしいのだが、

4種類の血液型で一番免疫力の強いのは、何と言っても人類の祖先だったO型。多くの病気にかかりにくいが、ノロウィルスだけは別で、感染率が高い。実際、私も牡蠣を食べて食中毒になったことがある。これも糖鎖が関係して、ということらしい。

B型は、O型の次に免疫力が高い。しかし、B型の性質を持った病原性大腸菌、サルモネラ菌、肺炎の原因となる肺炎球菌、また、インフルエンザA型にもかかりやすいという。
A型は、感染症に対する抵抗力が弱く、風邪をひきやすい。糖尿病、心筋梗塞になりやすいとも言われている。
AB型は、4種類の血液型の中で一番免疫力が低い。その一方で、微生物による感染症に
対抗できる抗体を作れる免疫系を持っていて、アレルギーにもかかりにくく、皮膚炎や関節炎、炎症などの自己免疫疾患にかかる確率も低いという。

さて、実家は5人家族全員がO型だったが、我が家もまさかの全員O型。理論上は肉食であらねばならないのに、私はむしろ穀類と乳製品が好きだ。若い時は貧血だったが、肉食が足りなかったのかも。夫は肉より魚派で、穀類や乳製品も好きだ。二人ともB型が関与している可能性はあるが、性格的にはA型寄りのO型な気がする。娘は、牛乳とカフェイン以外はオールマイティ、性格的には……子供の時には私寄り、現在は夫寄り(苦笑)。

何より食物は薬。脳は騙せるが腸は騙せない。皆様も血液を見直してみて下さいませ。

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