パリのマダムの・・・ volume48

『“Jersey”って知ってる?』

タイトルから何が浮かぶ? 
仏語だとジェルゼと発音し、何のことかわからんになるが、英語でジャージーと聞いて場所がすぐわかる人はそういないかもしれない。
英仏海峡チャンネル諸島にある小さな島。地図のように、ノルマンディの目と鼻の先、サンマロ湾に浮かぶ島なので、仏本土まで14km、英本土からは何と160km離れているが、“Crown Dependencies英国王領地”として続いていて、複雑な英仏の歴史が垣間見える。

私にとっては、いの一番に、右写真のミルクアイスが浮かんで、mouth-watering(垂涎)!
エジンバラに夫の単身赴任が決まった2014年の夏休み、家族3人でスカイ島まで1泊2日のレンタカードライブ旅、途中のガソリンスタンドで目に止まり、試してハマった。以後、パリと行ったり来たりする私のために、夫がこれだけは買い置きしてくれて、小さな冷凍室を占領していた。これが“ジャージー乳牛”で作られている逸品なのだ。

ちなみに、若者特有のイントネーションで言われる“ジャージ”もこの島が元祖。“漁師”用衣料に用いられた”メリヤス地”の総称になっていて、日本にはアメリカから入った。
ご参考:https://www.nanigoto.net/entry/2020/10/26/102732

実は、この辺りの“漁業”に関して、英仏間で揉めている。今年5月には、英国は軍艦まで派遣して威嚇。仏国は地元漁師たちが漁船100隻を出して抗議デモ。さらに、仏海洋相は、報復措置として電力供給を止めると発言。何と、この地域の電力は、90%以上、フランスが供給しているのである。
ブレグジット以降5年半の移行期間が設けられ解決交渉が待たれていたが、9月29日、英国側が仏漁民に対し、75もの漁業権を拒否、漁業政策の問題がまた浮き彫りになった。
ご参考:https://www.bbc.com/japanese/57005262

そこは、933年ノルマンディ公ギヨーム1世がブルターニュ公国から奪った領地。元々ノルマンディは、9世紀にデンマークのデーン人が造った公国だったのだが、1066年、ギヨーム2世がイングランドを征服し、イギリス王ウィリアム1世(仏Guillaume=英William)として戴冠、イングランドとノルマンディが一つの王室の下に支配されることになった。

こういう歴史もあって、チャンネル諸島は、国家元首としてでなく、ノルマンディ公として統治しているのだという。王室属領は、Overseas Territoiesとは違う自治権を持つ。ジャージー管区とガーンジー管区はEUに加盟していないが、ブリュッセルに事務所を構えている。何やら怪しいでしょ。ブリュッセルが何か、という背景の一端が見える?!
ご参考:http://www.clair.or.jp/j/forum/pub/docs/man.pdf

ジャージー島は、知る人ぞ知る、Tax Haven(Heavenではない)租税回避地の一つ。法人税や所得税、利子や配当に対する税金が、0または極めて低いことが特徴で、しかも、金融機関の情報が秘密にされることなど、ブラック〜グレー・マネーの温存になる。

オフショアという言葉も聞いたことがあると思うが、サーフィンなら、「On shore海風/Off shore陸風」だが、金融経済的には、「海外で」の意味で、非移住者(外国人)に対して、租税環境を優遇している国または地域を指す。

古くはスイス、ルクセンブルグ、オランダ、オーストリア、ベルギー、モナコが有名だが、オフショア・システムは、70年代の金融自由化で大英帝国の歴史的遺産の上に形成されて資産隠しが整備された。蜘蛛の巣のようにネットワークがあちこちのタックスヘイブンを跨ぎ、違法行為にならぬようしっかり抜け穴をくぐっている。


したがって、情報が暴露されるのは、その一部であり、ライバル勢力、或いは、その上をいく”組織”が仕組んだ、という読み方もできる気がする。
例えば、ジュリアン・アサンジや、エドワード・スノーデンの事件も、身柄の引き渡しやら、裁判の経緯やら、何か腑に落ちない。世界で起きる事件で思うのは、実行犯と確信犯は違うだろう、ということ。確信犯の名前が挙がることはまずない。

過去に、“パナマ文書”とか“パラダイム文書”流出で、メディアが煽って、企業や富裕層の顧客情報が暴露され、エリザベス女王や様々な大統領や首脳も攻撃の対象になった。

Appel社もその一つで、2013年に巨額の節税行為が問題視された。GoogleやFacebookも採用していたダブル・アイリッシュという2つの子会社を置いて税金を回避する方法をとっていたが、2014年、EU欧州委員会によってそれが禁止されてしまう。2016年8月、EUは、Appelに最高130億ユーロの追徴課税を命じ、Appleとアイルランドは控訴。Appleは、システムを継続利用する対策として、ジャージー島への資産移転を図っていたが、2020年7月15日、欧州司法裁判所は、EUの主張を斥け、Appelが勝利している。
ご参考:https://www.bbc.com/japanese/41897146

最近のトップニュース、新たに“パンドラ文書”が出た。現旧首脳35人など政界大物、音楽やプロサッカー界、裁判官、軍幹部まで、世界の富裕層の脱税と隠し財産が暴露された。
ご参考:https://gigazine.net/news/20211004-pandora-paper/

いずれの文書も、ICIJ国際調査情報ジャーナリスト連合が協力している。報道美談のように語られているが、それ自体の活動資金が“寄付金”なのだから、裏が知れる?!名を連ねるスポンサーは、ジョージ・ソロスのオープンソサエティ財団、ロックフェラー基金、カーネギー社、フォード財団、オランダのアッデシウム財団、スウェーデンのシグリッド・ラウシング基金、ノルウェーのフリット・オルド財団など……
ご参考:https://www.newsweekjapan.jp/kimura/2017/11/post-38_1.php
    https://toyokeizai.net/articles/-/112693

ところで、注目すべきは、アメリカ自体にも巨大なタックス・ヘイブンがあること。中でも、バイデン大統領が1973年から2009年まで上院議員を務めたデラウエア州……ブラックロック、バンガード、ステート・ストリートなど、庶民には耳慣れない銀行だが、いずれも世界最大級の資金運用会社で、金融資本の実動部隊としてここにある。
ご参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/ブラックロック

さて、EUが巨大ITのGAFAに実効税率をかける、という対策案を公表した。数年来検討されてきた税金システム『デジタル税』が、いよいよ実現化される模様だ。ところで、GAFAの大株主はスイス中銀、しかもスイス中銀も株式が取引されていて、最大の個人ファンドのようなものになっているというカラクリ。なんだか闇の奥が深すぎて……
ご参考:https://agora-web.jp/archives/2035576.html

税金の問題には、既得権益者ら(勢力グループ争い)の“イタチごっこ”があるように思える。国王・領主の時代から、身分の高い人こそ働かないのが当たり前。時代の変化に追従したくないのは、税収を享受してきた側、王族や貴族、宗教界なのかもしれない。対するは、勅許(或は国策)で”自由”を得て商売を作ってきた多国籍企業も負けていない。そして、いずれの背後にもメガバンクやユダヤ系投資家集団がついている?!
ご参考:https://www.businessinsider.jp/post-167344
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60506350Y0A610C2FF8000/
】  

はたして、新旧支配勢力のサバイバルゲーム、今後のルールはどうなる?蚊帳の外に置かれる庶民は、消費税増税・公共サービス削減等、都度都度翻弄されるだけ。税制や規制を破壊してきた者たちが一掃されることを願って止まないが、合法とは何か、という問題には正誤がある。容易ではないが、人の道として解決されなければならない。

一覧へ戻る