パリのマダムの・・・

『Capitol (仏語Capitole)キャピトル』

今回のアメリカ大統領選、同サイトのまつやまゆみさんも書いていらしたが、フランスでのTV報道、実況中継を見ていて、私もいくつか気になったことがある。

まずは、Capitalキャピタルではなく”Capitolキャピトル”と聞いてすぐピンと来る人はどのぐらいいるかしら。もっとも日本では、”キャピトル東急”以外あまり耳にしないかな。

誰もが一度は目にしているであろう、United States Capitolアメリカ合衆国議会、あの巨大ドームに象徴される新古典主義建築の”議事堂”を指す。
ご参考:https://www.visitthecapitol.gov/sites/default/files/documents/brochures/translations/japanese/US_Capitol_Congress_JAP.pdf

ワシントンD.C.の小高い丘の上にあり、Capitol Hillと呼ぶ。
古代ローマの7つの丘の一つ、Capitolinus Monsカンピドリオの丘に由来している。
ローマでは最も高い丘で、ローマの最高神ユーピテルやユーノの神殿があった場所で、
ローマ帝国において、国家第一の格式を誇る神殿、立法府として尊重されていた。

私が最初にキャピトルという言葉を意識させられたのは、トゥールーズを訪れた時。12世紀来のCapitole de Toulouseがあり、市庁舎として利用され、オペラハウスも併設している。市庁舎を仏語で Hötel de villeオテル・ド・ヴィルと呼ぶが、トゥールーズはCapitoleキャピトルと言うので特別感がある。
ご参考:http://jp.media.france.fr/sites/default/files/document/press_release/トゥールーズ観光局プレス資料2015.pdf

では、日本の国会議事堂を、英語でなんと言うか、ご存知だろうか。
私は、ある時、丸ノ内線に乗っていて、気づいた、というか、気づかされた。
「今どこだろう」と窓の外を見ると、”国会議事堂前”。その英語表記を見て、へえーっと、ちょっと意外だったので覚えている。正解は、”National Diet Building”。

そう、あの”ダイエット”?! 普通には食事療法などで使われる言葉と同じ。英語表記だけ見たら国会議事堂は想起できなかったと思うが、頭を大文字Dにして国会や議会を表す。
日本以外に、デンマーク、スウェーデン、ハンガリーなどで使われているそうだが、日本
は明治期の帝国議会からで、おそらくプロイセンの影響があったものと思われる。
ご参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/議会

歴史を振り返れば、18世紀のヨーロッパは、国境紛争と王位継承、海外植民地の争奪を巡って数々の戦争が繰り広げられた。特にヨーロッパにおけるフランスの喪失とイギリスの海軍優位による飛躍は、北米大陸を巡る戦いにも及んだ。

アメリカ独立戦争とは、イギリス本国とアメリカ東部沿岸13植民地との戦争だった。
1760年代、イギリス帝国は、植民地に対して税を課すだけで、人民が自ら政治体制・社会制度を自由に決定できる自決権を一切認めていなかった。
ご参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/13植民地

1776年7月4日、各植民地代表者による大陸会議Continenntal Congressが独立宣言。
1787年9月17日、大陸会議が主体となって、アメリカ合衆国憲法Constitution of the United Statesを作成。ヨーロッパの君主国とは全く異なる、世界初の共和政原理を掲げ、世界最古の成文憲法として、明確な三権分立、すなわち、立法府としてアメリカ連邦議会、行政府としてアメリカ大統領とアメリカ連邦政府、司法権は最高裁判所、となった。
ご参考:https://tenki.jp/suppl/kous4/2017/07/04/24001.html

ところで、アメリカ合衆国United States of America(略号USA)に対して、アメリカ連合国Confederate States of America(略号CSA)が存在した。南部地域にある、サウスカロライナ州、ミシシッピ州、フロリダ州、アラバマ州、ジョージア州、ルイジアナ州、テキサス州の7つは奴隷州によって形成された共和制国家。南北戦争は、USAvsCSAだった。

北部は急速な工業化で奴隷制度は必要としなかったが、南部は綿花のプランテーション農業のため奴隷制度を必要とした。
北部を基盤とし、奴隷制拡大に反対して共和党から出馬したエイブラハム・リンカーンが合衆国大統領に当選し、南部の危機感が頂点に達し、1861年2月4日に独立。4月12日に南北戦争勃発、1865年4月9日に降伏。
(青がUSA、赤がCSA、水色が奴隷州)

そして1871年、アメリカにとって大きな転機となる法律がCapitol連邦議会で可決。
District of Columbia Organic Act of 1871 -「コロンビア特別区基本法」
この意味は、どの州にも属さない直轄地たる”特別区”を設立。THE UNITED STATES & corporate government” は、独立法人?! 要は、”連邦政府”は”企業”だという。
ご参考:http://youtube.com/watch?v=w4Z-zu_S2-s&feature=emb_title

その説明は、ケンブリッジ大学出版局で印刷された研究論文にもある。
ご参考:https://www.cambridge.org/core/journals/american-political-science-review/article/abs/is-the-us-government-a-corporation-the-corporate-origins-of-modern-constitutionalism/E8E2611FE9E9A205924F194BABBF4187

“ワシントンD.C.”はアメリカ憲法外の存在、ロンドンの”Cityシティ”と同じなのだ。
ああ、そう言えば”大阪都構想”。名前に纏わされるが、ワシントンやロンドンの治外法権の特別区を元祖にした”経済特区”を目指したものなのかも知れない、と頭に過ぎる。

次に、気になったものは宣誓の場面。
聖書主義があるアメリカでは、初代ワシントン以来、大統領就任式で聖書に宣誓する伝統がある。
バイデンが右手を置いた聖書は、妻の腕で支えるに非常に分厚く重そうだったが、”Bible de Douai”というもの。

実はドゥエと聞いてとても懐かしかった。フランスでもあまり知られていないロマン派の
詩人Marcelyne Debordes-Valmoreを大学の卒論で選んだが、ドゥエは彼女の出身地だ。
初めての一人旅フランスでその町を訪れ、誰もいない美術館の館内で、館長さんらしき
男性から「天皇に会ったことがあるか」と聞かれたのが、とても唐突で印象的だった。

Bible de Douaiは、ラテン語から翻訳された初の英語版。400年前、プロテスタント革命に直面したカトリックの伝統強化のため、北フランス(当時スペイン領ネーデルランド)ドゥエに、イギリスから亡命したカトリック信者らの司祭教育のために大学が設立されたのだ。最初に、1582年Reimsランスで新約聖書が翻訳され、1609年にドゥエで旧約聖書が出版され、それらが、アングロサクソンのカトリック教徒の参考書になった。

そう、バイデンは、ケネディに次ぐカトリック系二人目のアメリカ大統領である。
ケネディも、60年前の大統領宣誓時に、Bible de Douaiを使った。バイデンのそれは、1893年来家宝になっているもので、上院議員や副大統領の就任式でも使ってきた。

最後に、Air Force Oneでワシントンからフロリダへ移動した、トランプ大統領夫妻。
メラニア夫人の服装が目を引いた。
ホワイトハウスを出た時は、
– 金ボタンのシャネルのスーツ
– ルブタンのハイヒール
– クロコ革のエルメス・バーキン
到着後にタラップから降りてきた時は、
– グッチの派手な文様ドレス
– ロジェ・ヴィヴィエのフラットシューズ
これがトランプのジョーカー?! なんて、嘘か誠か、失笑するような物議もある……

南北朝?!の様相を見せた大統領選だが、未だにTVやネット報道に翻弄され続けている。
先の話のように、アメリカ合衆国が巨大企業なら、トランプvsバイデンは社長交代劇で、Capitol riotsは、言わば株主総会で騒ぎを起こした総会屋?!の演出という見方もできる。

米大統領選も英Brexitも、そして、対立する意見に溢れて実体がよくわからないCovid-19
からのマスクやワクチンの騒動も、金融経済問題抜きには考えられない。中でも、エネルギー争奪戦、何だかんだ言っても”石油”の問題が大きいと思う。連動して”米ドル”を始めとするマネーシステム自体がどうなって行くのか……

ただ、庶民は、惑わされ、恐怖を煽られ、萎縮して生きる意欲も減退していく気がする。
疲れ果てて大人しく羊のようになるか、煽られて闘牛のように暴力に走るのか、その両極面が見え隠れする現象は、一体、私たちに何を訴えかけているのだろう。

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