Ton Chin Kan シングルマザー奮闘記(その47)

『どこで覚えたそのセリフ』

とある日にそれは起こりました。
ホルモンバランスの乱れなのか
プレッシャーからの疲れなのか
はたまた終わりの見えない離婚裁判の疲れからなのか
その日の私は普段以上に荒れていました。

起きたときから謎のイライラ。

(これじゃあだめだ!)
と自分で自分を鼓舞し
爽やかにTon Chin Kanに挨拶しよう!
と決めてからリビングに向かうと…

それぞれが楽しそうに携帯やゲーム機、テレビに夢中。

まっ、これも日常の光景。

「おはよう!」
と優しさ溢れる母親のかけ声。
イライラする気持ちを必死に押さえ、これでもかと優しい穏やかな声でしてみました。

シーン

(ゲームやらをみながら各々が楽しそうにはしゃいでいます)

「おはよう!」
負けじと穏やかに。

すると
誰もこちらを見向きもせずにどうでもよさそうな適当な声で
「あーママ? おはよう」

カッチーン。
その挨拶が着火剤になってしまいました。
わかっているのですよ。
身勝手なワガママで勝手にイライラしている自分の悪いと。
でも
最低限、挨拶は目を見ながらしなさいと毎日口酸っぱく言っているのに…

そして思わず低めの声で
「とりあえず今すぐに手にもっているもの全てを置いてこちらを見なさい。」
この日は一気にボルテージがふりきってしまったので低すぎる私の声に
Ton Chin Kanもびっくり状態。

普段ならこの私でも段階をふみます。
徐々に徐々にゆっくりと落ち着きながらも、最終的には爆発をしてしまいですが(笑)
この日だけは一気に爆発。

朝ご飯を食べる前からご乱心な母さんにTon Chin Kanもあっけにとられていました。
そして一通り叱って騒いでからの朝ご飯作り。
母さんが朝ご飯をドッシャンガッシャンと額にしわをよせて作っている様子をみて
Ton Chin Kanは気が気では無い様子。
時々目が合うと
(あ、やばっ)
というように目をそらすTon Chin Kan。

出来上がったホットサンドをテーブルへ。
「ご飯できたよ」
普段からハスキーといわれる母さんの声が余計に低くなっているため響きわたっていました。

Ton Chin Kanは急いで着席。
いつもならボーッとこぼしながら食べているのに、
「今日の朝ご飯とっても美味しいね!」
とあからさまに気を使い出すTonとChin。

それでも朝一にどっかんと爆発してまだ鎮火ができきっていない私は
「残さずたべなさいよ」
と低すぎる声で返答。

朝食後、普段であればすぐにゲームや動画を見始めるTon Chin Kanが
おとなしくソファに座ってニュース番組をみていました。

さて、この状態がいつまでもつのだろう。
と意地悪母さんの私はそのままの状態でほっとくことに。
するとしびれをきらしたTonが

「ねーゲームしたいから携帯貸して」
するとChinが
「Tonばっかり携帯でゲームしていてずるいじゃん」
するとKanが
「KanもやりたいからTonはだめー!」
するとTonが
「ねーママ! 早くかしてよ! いつまで怒っているの?
ChinとKanは他のやっておけばいいじゃん! もうめんどくさいなー!
ねー早く貸して」

そしてTon Chin Kanの喧嘩がはじまり、
Chinは嘘泣き。
Kanは
「にぃにたちが意地悪したから嫌いー!」
と大騒ぎ。

…早く貸して。だと?
鎮火しかけていた炎がボッと大きくなっていきます。
その怒りに拍車をかけるようにChinとKanがお祭り騒ぎ。
そりゃ噴火が起きてしまいますよね。

ここでもまたいいますが、わかっているのです。
身勝手だと。
イライラしているのは自分がうまく何事もできないことによって勝手にストレスが
たまってこうなっていると。

でも、でも、でもー!

母さんだって人間だもの。
一生落ち着いて、穏やかになんか私にはできっこありません!
そしてなんだかんだ私も大騒ぎで、Ton Chin Kanも大騒ぎだから地獄絵図(笑)

そして私自身もこれはやりすぎたなと反省して少しずつ落ち着いてきたところに
Tonが一言。
「ママ。言いたいことがあるんだけど。いい?
ママはいつも可愛いけど、
笑っているときの方がもっと可愛いよ」

ズッキュン。
やられました。
この一言で朝からのこと全て反省いたしました。

「Ton、Chin、Kan。言い過ぎちゃってごめんね」
「いいよ。僕たちが悪かったから。
でもいつも可愛いママでいてね」

1枚上手…完全にやられました(笑)

どこで覚えてきたのよ、そのセリフ!
気になってしょうがありません!

次回は「寝る場所確保」です。
皆様実りのある一週間を。

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