Ton Chin Kan シングルマザー奮闘記(その40)

『我が家の新入り』

いつも通り仕事から帰宅して玄関を開けてみると
足元に見たことのない小さめの箱がポツンと置いてありました。

私の帰宅に気付いてTonとChinがバタバタバタと玄関に駆け寄ってきて一言。
「ママ!トカゲ捕まえてきたから大きなケース買ってきて!」

ん??? トカゲ?

恐る恐る箱を開けて見てみると、今まで生では見たことのない大きさのトカゲが。
しかもとても艶々で美しい。
ニホントカゲなので色合いはこげ茶に白いラインが入っているだけではあるのですが、その美しさと立ち姿にうっとり。
思わず
「ちょっと今からケース買ってくるから待ってて!」
と言ってしまいました。

早速買いに走り、帰宅。
近所の川から土や草を拝借し、購入してきた石を敷き詰めお家の完成!
なかなかの出来栄えになり私とTon Chin Kanは大満足。

その中にトカゲを放つと、普段感じていた匂いや土を思い出したかの様に安心した様子を見せてくれました。
本当は逃してあげるのが一番だとは思いますが、
ザリガニや、亀、めだかを捕まえてきて私に飼いたいとお願いされるのを
「飼えないよ。ダメ!」
ばかり言ってきた私。
生き物の命を預かることは大変なこと、と教えてあげたくて毎回すぐに
「返してきなさい」
と言っていたのですが、なんだか今回は飼って見て大変さを学ぶと同時に、生き物を愛でるということも学ばせようと思い立ったのです。

なぜこう思ったかというと、最近よく遊ぶようになった同級生の男の子の存在が。
その子とは川に何回か遊びに行っています。
まー普通に虫や魚を捕まえては逃して遊んでいるのだろうと何も特に考えずに遊ばせていました。
が、ある時に学校の先生からその子が学年において若干の問題児というお話を伺いました。
私的には
(問題児と問題児がつるみ始めちゃったのね〜)
くらいでしたが
よくよく先生のお話を聞いているとその子の普段の生活態度がなかなかな様子。

Tonは間違えを正したくて注意をしたいのが言葉にできなくて、思わず手が出て怪我をさせてしまうタイプ。
なので周りの理解も少しだけあり、特に先生方からはありがたいことに可愛がっていただいています。

しかしながら、その子はちょっと違う様で。
ただ単に鬱憤を晴らすためにいきなり喧嘩をふっかけ、自分から手を出しては怪我をさせたかと思えば
自分の母親に「僕だけやられた」といい、母親が学校に連絡してくる様子。

あらあら、こりゃめんどくさい(笑)
この2人がつるみだしたということ。
結構問題なのではないか!!
何も考えずに遊ばせていたことが急に不安になった私はある日遊びから帰宅したTonに今日は何をしたのかを細かく聞いてみることしました。

初めのうちは小学生らしく元気に遊んでいる様子が伺えて、
(なんだ!心配することないじゃん)
とほっと胸を撫で下ろしました。
が途中から雲行きが怪しく…

「Aくんね、虫とか生き物が嫌いなんだって。気持ち悪いって叫んでたよ。
でね、捕まえたやつをTonにちょうだいって言ったのに、気持ち悪いって言ってね
笑いながら石でね…(自粛)」

?? 本当に? それってダメなやつ!

それほど悪いことはしないだろうと安心して遊ばせていた私がおバカでした!
「あのさ、その時どう思った?」
と思わずTonを問い詰めると
「ダメだと思った」
とTon。
「注意した??」
と私。
「…してない」
とTon。

思わず睨んでしまった私。
するとTonが
「ダメなことってわかってたけど…何も言わなくてごめんなさい」
「わかってるならいいよ。Tonはそんな恥ずかしいこと絶対にしないでね」

と伝えこの話は終わったのです。
この年齢だからしょうがないことなのか。
でも、大体はこの年齢には命の尊さがなんとなくわかるのではないのか。
とモヤモヤが募りました。

その出来事をきっかけに何か生き物をTonに飼って
全ての命が大切ということを身をもって学ばせようと思い立ったのです。

そしてそのある意味事件から約1週間ほどして
ニホントカゲが我が家に加わりました。

その数日後には尻尾がメタリックブルーの仲間も加わりまして、
今は家に二匹のニホントカゲと
餌として生きているコオロギ、バッタも飼っています!

『多頭飼いは共食いの危険性がある』
ということを調べたので
同じケースに入れるのが初めは不安だったのですが
数時間後にはずっとくっついて離れないくらい仲良しに。
親戚かな? 親子かな?
それともオスとメスなのか。
(ニホントカゲはオスと雌の区別がほぼつかないと言われています)
約2週間近く経ちましたが、二匹が仲良く寄り添いながら暮らしています。
なんとなく生き物を飼ったことによって会話も増えた気がしています。
何せ爬虫類好きの私には堪らない可愛さ。
唯一の癒しになりそうです!(笑)

さて次回は、「自由研究」です。

皆様、実りのある1週間を。

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