Ton Chin Kan シングルマザー奮闘記(その17)

『一万円札』

「すごい悲しい」
と家につくなり、急にこの台詞をはきすて、ソファにボフッとダイブしたTon。
「どうしたの? 今日学校で何があった?」
とさすがに心配になり珍しく寄り添い、話を聞くことに。

(もしかしていじめかな? 2年生の3学期だともういじめとか始まるのかな)
私の脳裏に不安がよぎった。

私「大丈夫? 何か嫌なことされた? ママがTonの代わりに嫌なことしてきた子達やっつけるから言って。ママはTonの味方だからね」
私の中で完全にいじめられていると確定。
Ton「・・・」
(これは絶対だわ。 どうしよう、まず先生に連絡して、副校長にも。 あとは、児童・・・)
と頭の中をぐるぐると色んなことが駆け回る。

我が子の一大事。
何がなんでも母さんはTonを助けるから。
と脳内で盛り上がっていると、

Ton「・・・Tonね、1万円札持ってないから、本当に悲しい」
私「うん、そうだよね、つらいよね。。。ソレはいやだよね。
??? ???え ?・・・・・・・・はぁ?!」

Ton「だってお友達の○○くんは一万円札持ってるんだって!! Tonはないよ!」
私「いやだから、え?! 悲しいってそれのこと? え?? それだけ?? それで泣いてるの!?」
脳内パニック再び

Ton「だってTonは一万円札ないもん~」
と泣きながらソファに顔を埋めてテンションがた落ち。

・・・ちょいとおまち。
母さんはね
Tonが小学校でいじめられていると確定(失礼な奴)
そのいじめをなくすために何ができるのであろう
なんでもしてやる、Tonのためなら!!
と気合いを(勝手に)いれて、一瞬でTonをいじめから守るストーリーを頭の中で作り上げて盛り上がっていましたので頭が追いつかず。

そして絞り出した一言

「ごめん。どうでもいいわ。そんなことでいちいち落ち込まないで」
Ton「だって~!!」

そうなのです。Tonは一度こういうテンションになるとなかなかしつこい、父親似の性格。
(悪い所は全て父親似と思う私)

私「はいはい。わかったから」
Ton「なんでトンには一万円札がないの?」
私「お年玉でもらった千円札と五千円札持ってるでしょ?! 数えてみ!! 一万円以上あるでしょう」」
Ton「数えても一万円以上あっても、一万円札はないのっ!」
私「だから一万円超えているでしょ」
Ton「一万円札がないっ!」
私「・・・」
Ton「一万円札がいいの!!!」
私「足し算できなくなったのかい? 足し算してみて」
Ton「足し算しても一万円札にはならないのっ!」

なんでしょう、この一万円札というものに対しての固執。
どなたですか?? Tonに一万円札をもっていると自慢したクラスの子は。
私がこんなに面倒くさいことに巻き込まれる原因を作り上げたそのクラスメイトの顔がみてみたい!!
とイライラしながらも

「わかったから、ちょうどママ両替できるから換えてあげるね」
Ton「なんでTonのお金取るの?!」
「え?? だから一万円札が欲しいんでしょ? だからトンの五千円2枚と、ママの一万円札をかえっこしたらTonのは一万円札になるよ」
Ton「・・・嫌だ」
「ええ?!」
Ton「だって減るもん」

またもや私の脳内パニック。

Tonよ、君は一体何年生だ。
保育園チームのChinとKanが言うならまだしもTon、君は小学生だ。
そして算数も習っていて、テストもしている。
足し算、引き算、かけ算のテストだけは毎回なかなかの好成績。
なのに君は今なんて言った? 減る?? え?? 怖いわ、もう!

とは口にはしませんでした。
が、乱れまくった心を、深呼吸をして整えてから、

「わかった。ちょっとこれみてほしいな。一緒だから。お金的には一緒の価値になるの。見た目が違うだけ。ほら、大丈夫でしょ。Tonがほしかった一万円札になるよ」
Ton「・・・でも2枚が1枚になっちゃう・・・」

ついに我慢できずに悪魔に大変身した私の表情をみたTonがついに妥協をして、

Ton「本当だね。これで大丈夫! ママありがとう!」
「よかった~!解決ね~」

顔は悪魔のままで言ってみた。

これたぶんですが解決していない案件ですよね。
きっとまた来年のお年玉とか
それかお誕生日あたりに一悶着起こりそうな予感がしております。

おーい! 我が家の長男、Tonは大丈夫なのでしょうか~!?
次回は「発表会」です。
それでは皆様実りのある一週間を。

一覧へ戻る