Ton Chin Kan シングルマザー奮闘記(その14)

『歯医者さん』

扉をあけるとすぐに鼻にくる独特な香り。
耳の奥の方を突き抜けていくような高音。
「痛みを感じましたら手をあげてくださいね~」
といわれ、手をあげても止めることなく
「頑張って~」
といわれる場所といえば
そう歯医者さんです。

私が唯一気合いでどうにもならない箇所。そう歯なのです。

風邪や熱、身体の痛みなどは、気合いと根性で一応はどうにかなってはくれます。
ですが、歯だけはどんだけ気合いをいれて頑張っても、改善傾向がみられないため歯医者さんを頼ります。

今やコンビニよりも多いと巷で噂になっている歯科医院。
駅の周辺、住宅地見渡すと必ずありますよね。
どんなに小さな駅でも数軒はみつけることができます。
こうなりますと、選びたい放題。
自分に合う歯医者さんをみつけるのが、早く治療ができる近道だと思っています。

例えば私は、歯医者さんが苦手です。
最近ではおしゃれな歯医者さんが増え、技術ももちろん進化して独特な香りもなくなり、音もほぼしなくなったとはいえ、
痛いのです。歯の治療が。
これが時々自分に合う先生にあたると、

「ん?今治療に必要な部分触った?」
とわからないくらいお上手。
そして何より治療が早く終わる。これが本当に私にとっては大事なこと。

合う、合わないがあるにせよ、技術の進歩もあり、そこまでの区別がつかない昨今の歯医者さん事情
なのでHPの雰囲気や、外観などで選んでもそこまでの外れには当たりません。

ここからは最近お邪魔した歯医者さんのお話。
店構えがおしゃれ、受付の方も丁寧で迅速。HPもしっかりしている。清潔感あり。
物腰の柔らかい若い男性の先生。申し分ない雰囲気の歯医者さん。

初めての日。
丁寧に治療箇所を見てくださり、ここはこうしていけます。や、ここはこうしましょう。
とわかりやすく説明してくれました。
そして歯磨きをするのが苦手な私は、クリーニングもお願いしてお口の中がすっきりさっぱりで、次回の予約を済ませて爽やかに帰宅。

こういう日は意味があるのかないのかわかりませんが極力歯を綺麗に保ちたいため大好きな珈琲も控えます。

そして二回目。

丁寧な受付を済ませ、待ち時間もなくすんなりと席へ。
(そういえばこの間の初診もすぐに案内されたな)
という若干のモヤはありましたが、時間がもったいないのでラッキーととらえていました。

優しくて美人な衛生士さんから説明を受け、
先生もすぐに登場。
「はい、お口をあけてください~。この間の箇所は軽めの虫歯でしたが今回のはちょっとお時間がかかるかもしれませんから痛みがありましたら手をあげてくださいね~」

と若いのに物腰の優しい紳士な先生。

「はい」
と私も気合い十分。

キキキン、キキキン、キキキン

(なんだろ、この変なリズム。気のせいかな)

キキキン、キキキン、キキキン

(気のせいじゃない。というか、なんかしんどいぞ)

というのも一緒にでてくるお水が喉まで流れ、そして謎の不快感リズムを刻みながら削っているため苦しくなってきてしまい思わず、天井に向けて左手をパッとあげました。

「どうされました?」
と先生。

「ごめんなさい。なんだかものすごく息苦しいです」
と私。

「あ、なら間を狭めて途中休憩挟みますね」
と先生。

原因をわかっていないな・・・と思いつつも、苦しいとはお伝えしたのでどうにかマシになるかな、と自分に思い込ませて口を開け準備万端。

キキキン、キキキン、キキッ、キキキン、キキキン、キキッ、キキキン

ちょっとまって先生!!
キキキンが余計に小刻みになってちょっと長くなった上に、なぜか不快感が増しているではないかい!!
苦しいっていったはず。
あれ? ほんの数十秒前にいったよね? あれは夢だったのかい?
伝わってない?? 息苦しいだけじゃ苦しいことって伝わらない???

「先生!水に溺れそうです!」
と必死に言わないと何も伝わらないの?!

鼻で息をしているから息苦しいなんてことにはならないぞ。
と思っている?!

と、そもそも大人なんだから我慢して。スタンスなのかわからずで混乱の中、
またもや天井に向けてスッとのびていく私の左手。

「水が」
と私。

正直、水がのどにザーザー勢いよく流れていくのは100歩譲って我慢ができました。
本当は、その不快感リズムで歯を削るのは止めてくださいと言いたかった。
が、優しい私は言えずに思わず「水が」の一言。
そしてようやく、喉へのダム放水はどうにかとまり、息苦しさは解消。

しかし不快感リズムは止むこと無く、私は最後まで我慢し、詰め物をしてその日は終了。

それから2時間くらい経ったころに治療した箇所に変な違和感が。
といいますかお水を飲んでも痛い。

うん、痛い。。。いたーーーい!!

虫歯だったときより痛いってどういうことよ!?
という苛つきに加え、あの不快感リズムを刻む歯医者さんへの不信感が募るばかり。

クレームを電話して言おうとおもったのですが、土曜日だったため午後の診療はおやすみ。医院まで戻って直接ピンポンをならそうとも思ったのですが、もし医院をあけてもらって診てもらっても、またあの不快感リズムで治療をされるとおもったらクレームも、再診もしたくない。

もうあそこには行かない!と決意し、土曜日の午後も診療していて、長年やっていそうな清潔感のある歯医者さんに診てもらいにいきました。

先生「詰め物がずれていますから、直接神経に食べ物や飲み物が触れていますね。あーこれは痛いはず」

???

もうこうなってきますと”喉へのダムの放水”に続いて”不快感リズム”までも100歩譲って許せます。

だからせめてね、詰め物くらいはきちんと目標に向かって詰めようよ。
目標となる歯をこれでもかと不快感リズムで削っていたじゃない。
その歯だけひたすら診ていたじゃない。
なぜにずらす。
わざとかい?私が左手を挙げすぎたから嫌がらせかい?

この一件で、私の歯医者さんへの苦手意識がより一層高まりましたことは承知の通り。
選びたい放題ある歯医者さん。外れに当たることが少ないといいましたが、嘘です!

外れはありました!

見た目に騙されてはいけないと悟った一日でした。皆様もお気をつけて!
(もちろん巷には良い歯医者さんはたくさんあります!たまたま私が外れにあたっただけのお話です)

次回は「手続き」です。
それでは皆様実りのある一週間を

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