「アラカン」~お楽しみはこれから volume9

『はやぶさ2』

宇宙に思いを馳せることは、古今東西・老若男女問わず、ずっと続いてきたことです。
今回の「はやぶさ2」のニュースも、科学者だけでなく、市井の人々の夢を掻き立てました。

はやぶさ2
宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した無人の小惑星探査機。2019年2月22日、地球から3.4億キロ離れた小惑星「リュウグウ」への着陸に成功。砂や石を採取し地球への帰還に成功すれば、初代「はやぶさ」以来の世界2例目になる。
(ウィキペディア、朝日新聞より抜粋・編集)

 
着陸のニュースを見ていたら、実に様々な人が着陸の瞬間を見ようとJAXAの研究所に集まっていたようですね。天体大好き家族や、ロケットオタクの科学者の卵たち。
中には、ウナギに似たあまり可愛くないぬいぐるみをもった女性もいました。アナウンサーに「そのぬいぐるみは何ですか?」と聞かれると「リュウグウノツカイです。もちろん小惑星『リュウグウ』を意識しました!」とのこと。
深海魚のリュウグウノツカイとは!
ぎょぎょぎょぎょ(さかなクンの真似です。失礼!)
実は、宇宙生物と地球上の深海魚とはかなり深い関係があるのです。もしそれを知りながら敢えて一般ウケする答えをテレビ用に披露したのであったら、この方、かなりの「宇宙通」だな~と、一人で乗り突っ込みしながら見ていた私も、少しばかり宇宙オタかもしれません。

深海魚と宇宙人についてはまた別の機会に取っておくことにして、話を戻します。
今回の成功の陰には、当然のことながら初代はやぶさの経験や知見が生きています。川口淳一郎・初代プレジェクトマネージャが「これ(はやぶさ2)はリベンジです」とコメントされていたのにそれが言い表されていると思いました。
初代はやぶさは2003年に打ち上げられ、2005年に小惑星「イトカワ」に着陸し、2010年に地球に帰還しました。世界で初めて地球重力圏外にある天体から表面の微粒子を持ち帰る、という偉業を成し遂げたのですが、とにかくトラブル続きだったようです。
映画にもなっているのでご存知の方も多いでしょう。
岩石や砂を採取するための弾丸を発射できなかったり、地球との交信が途切れたり、エンジンが止まってしまったり。2009年ごろ、JAXAの方が「地球に帰還出来ると信じています、が…」とコメントされていたのを覚えています。
それでも、初代はやぶさは奇跡的な地球生還を果たします。また、奇跡的なサンプル回収もできました。ひとえに、当時の科学者・技術者プロジェクトチームの意地と運を呼び込む頑張りと、はやぶさ自身の踏ん張りの総合力だったのでしょう。
それを象徴するのが、「はやぶさ、最後の写真」と呼ばれた記録写真です。
プロジェクトチームは、はやぶさが地球に近づいたところで、数年使っていなかったカメラを立ち上げるために地上から必死に通信を試みます。電波状態はかなり悪かったのですが、運よくカメラは反応します。ところが、肝心の写真が撮れません。5枚目までは真っ黒。
地球の大気圏に突入して交信が途絶える直前に、はやぶさは6枚目を送ってきました。これに、奇跡的に地球が捉えられていたのです。
この直後、はやぶさは大気圏内で燃え尽きるですから、はやぶさが最後に見たものが母星の地球だったのです。
実はこの地球、かなり霞んでいますし、完全な円になっていません。人間の目から見ると、涙でレンズが曇っているようにも見えるのです。記録写真としての出来はともかく、はやぶさの気持ちが乗り移ったかのようなこの写真は、当時、多くの宇宙ファンの心を鷲掴みにしました。
もしご興味あれば、お暇なときに「はやぶさ 最後の写真」でググって見てみてください。この写真にまつわるディープなストーリもいっぱい出てきます。
欧米人の友達に、「日本人は、ロボットを擬人化するのが好きだよね~」とよく笑われますが、この「はやぶさ」への思い入れは、完全にはやぶさを「プロジェクトの一員」として見てしまっているからなのでしょう。
それだけに、ロマンがいっぱい詰まっていると思うのですが…

目の前の「はやぶさ2」は、ミッションのまだ道半ば。
これから幾多もの試練があるでしょうが、「はやぶさ2」を含めたプロジェクトメンバー総出で乗り越えてくれると信じています。
私は外野から、素人オタクとして応援しながら夢を見させてもらおうと思っています。

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