「アラカン」~お楽しみはこれから volume38

『「女性の多い会議、時間かかる」発言』

東京五輪・パラリンピック大会組織委員会(東京2020)会長である森氏の女性軽視発言。私だけでなく、多くの日本女性の気持ちを逆なでしました。

本件どのような顛末を迎えるかは現時点(2021/2/8)では不明ですが、事の発端は、2月3日の日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議委員会。
森氏が挨拶の中で「女性が多いと会議が長引く」など女性に特化した差別的見解を展開。参加中の評議員からは異議も唱えられずに会議は終わったそうです。(因みに、森氏の挨拶は40分間に及んだとか。これ、長くない??)
このような会議はクローズドが一般的ですが、さすが国際基準を重んじるJOC (⁉)。取材を申し込んだメディアがユーチューブでライブ視聴していたので、森氏の発言は即日公に知られることになりました。
これに対する世間の反応は、当然のことながら批判一色。国内外からの抗議は今でも続いています。
森氏は翌2月4日に謝罪会見を開きますが、かえって火に油を注ぐ結果に。私もTVで観ましたが、お世辞にも反省している人には見えませんでした。「子どもを一人も作らない女性を税金で面倒を見るのはおかしい」と以前(2003/6)発言したこともある森氏には、事の重大性を理解できなかったのかも。
また、「オリンピック・パラリンピックの精神に反する不適切な表現だったので撤回する」と読み上げた弁明も、個人的には突っ込みどころ満載。仮にオリ・パラ憲章に書かれていなくても、ジェンダー差別はいけないのですよ~
森氏はもちろんのこと、彼を取り巻く一部の人々も、やっぱり根本的にわかっていないような気がします。
結局、日本はまだ「男女平等指数世界121位」の国であることが現実なのです。

今回の森氏に代表される『昭和のモーレツ・右肩上がり時代を走り抜けた成功体験をバックに自分たちの価値観に絶対的自信のある』オジサマ達には、私も随分と苦労させられました。私が社会人になったのは男女雇用均等法前だったので、どこへいっても「唯一の女性」が当たり前。差別や悪意なき区別は色々経験しましたが、どうにかこうにか対応してきたつもりです。
でもこれが『昔話』で無いことが悲しい。
同じような状況がまだまだ日本に根強く蔓延っていて、多くの女性が社会で苦戦を強いられています。30年以上もたっているのに、おかしくない?
おまけに、私より年上のオジサマ達の一部が、まだ「現役の顔」して社会で幅を利かせているケースも散見。納得いかないわ~

・・・と愚痴は尽きません!
でもここで縷々と文句ばかり言っても現状は変わらず、生産性もゼロ。
ならば、今回の騒動を逆手にとって図々しく開き直っていく、というのはどうでしょうか。
私はそうしていくつもりです。
例えば、外圧の利用。
自分を教養人だと思い込んでいる人の差別的嫌味に対しては、「ニューヨークタイムス(FTでも可)では、森氏を『男女差別発言にも気がつかない時代遅れ者』と切り捨てていましたが、その記事読みました?」と。嫌味が分かるかしら?
本当は、ロワゾー欧州議会議員の名言、「おだまりなさい!」を使いたいのですが、これは喧嘩になる危険性があるから封印。

そのほか、森氏を直接引き合いに出してしまうのもアリかな。
ちょっと冗談ぽく、「まさか、今のは森氏的発言??」と突っ込みを入れて、相手にその話をそれ以上させない。ポイントは、笑いながらしれっと言ってしまうこと。周りの人も「まさか!まさか!」と突っ込んでくれるとなお効果的ですね。

個人的には、「女性の多い会議は時間がかかる」発言は、今度参加する会議でニコニコしながら絶対使おうと思っています。
これは、会議において「場をわきまえない」発言をしやすい環境を作るためでもある一方、自分を鼓舞するためでもあります。
なぜ自分を鼓舞したいのか。
今回のJOCの問題では、森氏の発言を他の評議委員が黙って聞き流したことに対しても批判が集中しています。
私も最初にこのニュースを聞いたときは腹が立ちました。でも後でよくよく考えてみると、森氏の発言をその場で遮るのはかなり至難の業だったのでは。だって、挨拶している人が、功労者(年長者を尊ぶ⁉)、議決権の無い名誉会員(発言は聞き流す暗黙の了解)、挨拶が長尺(…早く終わってくれ…)、等々。別に森氏でなくとも、敢えて波風立てたくない状況。悔しいけど、私も黙っていたと思う。
でもこれではいけない、というのが今回の学びなのでしょう。
いたずらに長い会議はもちろん反対。でも「シャンシャン」と予定調和で終わる会議はもっと意味が無い。(場合によっては『悪』!)
「内輪サークルメンバー」でない立場で参加している会議なら、尚更のこと、他の人が言い難いことを言うべき義務が発生することを肝に銘じなくてはと感じています。
どのような場でも、「女だから」と思わせないと同時に「女だから」と自分を枠に閉じ込めない気構えをもって参加したい。
今回の森氏発言を敢えて『マジックワード』として大いに活用していこうと思っています。

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