「アラカン」~お楽しみはこれから volume72

【音楽編⑩】『Ed Sheeran +-=×÷Tour 2024』

縁あって、1月に京セラドームでEd Sheeranを堪能してきました。
外国人タレントのコンサートへ行ったのは本当に久しぶり。
うーんと若い頃は、ちょくちょく洋楽コンサートに行きましたが、世の中がどんどんJ-POP全盛となり、少しずつ足が遠のいていました。
それがコロナ自粛も明け、いろんな大物アーティストの「4年ぶりの来日公演!」という広告をあちらこちらで目にするようになり、『行きたい病』が発症。今回、無事に症状を少々抑えること(⁉)が出来ました。
でも、あまりにも久しぶりの参戦だったので、素人のような経験や驚きもいっぱい。もしかしたら「浦島太郎」レベルかもしれませんが、恥を忍んで一筆。

小さな発見は、会場に行く前から始まりました。
チケットを見たら、コンサートの開場から開演まで3時間も空いている…?
不思議に思って調べてみると、いわゆる「前説」(サポーティングアクト、と呼ぶらしい)をやるゲストがいる、とのこと。
このゲストがCalum Scottと知り、まずビックリ。
Calum Scottは、”Britain’s Got Talent”でかつてゴールデンブザーを獲得したシンガーソングライターで、その筋では結構有名。
私はサポーティングアクトも聞くべく早めに入場しましたが、Calum Scottが2ピースバンドを引き連れて、上質な1時間近いステージを「普通」にやってくれたことに2度目のビックリ。凄く得した気分を味わえました。

さてEd Sheeran ご本人の「本編」の方は、文句つけようがない熱い熱いライブでした。本当に楽しかった~。
Ed Sheeranファンには当たり前のことでしょうが、彼はルーパーペダル※を駆使してアコースティックギター1本で歌う人なので、広いステージ上には彼一人。
(今回のコンサートでは、バンド版が数曲あったので、ステージ上に数人いる時もあり。でも、 “it’s irregular=例外的”だそうです)
※ ルーパーペダル: リズムパートやベース音をリアルタイムに多重録音して、それを繰り返し再生する機械。一人でも重層的な演奏が可能に。
私がこれまで見てきた洋楽タレントは、バンドやコーラスに加え、大勢のバックダンサーを連れた派手な演出がほとんど。なので、ライブハウスではなくドーム級で一人ステージでの歌を聞くのは初めてでした。新鮮!
おまけに、アンコール入れて3時間近いステージを、MCタイム無し。途中、着替え等で一瞬ステージからいなくなる時間もありましたが、ほぼぶっ通しでステージに出ずっぱり。曲間に1~2分の軽いおしゃべりはあったけど、それだって、ルーパーに録音するためにギターを鳴らしていたり叩いていたりと、曲の準備時間がほとんど。歌を届けるためのステージだった、と改めて感服してしまいます。
また、おしゃべりの中で、ちょくちょく日本に対する愛情やリスペクトを言葉にしてくれて、それもすごく心に響きました。
例えば、バラード曲を歌う前。「日本で初めてコンサートをやった時は、聴衆が静かなので盛り上がっていないのかと、少し悲しかった。でもその後、日本人は僕の歌を真摯に聞き入ってくれていることが分かり、母国で歌うのとは違う感動を覚えた。だから僕は日本で、特にバラードを歌うのが好きなのさ」と。(←かなり私の意訳が入っています、悪しからず)
Ed Sheeranはコンサートの無い日も、「4年ぶりの日本、最高!」と東京の街を練り歩いているXを幾つもアップしていたし、東京公演では、以前から親交があるワンオクロックのタカとステージ上で「Wherever you are」を日本語で熱唱していたようです。日本に対する思いは単なるお世辞ではないような気がします。

Ed Sheeranのこういう面に一目置いてしまっている私は、バブル期の「日本は遠くて面倒くさい国だけど、日本でコンサートしないとワールドツアーの元が取れない」的態度丸出しな”外タレ“の残像を知っている古い時代の人間だからでしょう。
実際、セトリをカットしてコンサート時間を大幅に短縮、ドタキャン、料理人数人連れて日本食一切拒否、等々の日本軽視の行為はよく報道されていましたからね。もちろんごく一部のタレント限定でしょうが。
いずれにせよ、Ed Sheeran様。心のこもったコンサートをありがとう!!

聴衆についても一言。
私はEd Sheeranの曲は好きですが、そこまで詳しくない状態で今回はライブ参戦しました。ですから、“Sing with me!”と歌うことを求められても、超有名曲でないと歌詞が分からず。何なら、歌詞がモニターに出てきても、かなり早口で歌うので、そもそも言葉が追いつかないこともしばしば。
でも周りのファンの人たちは、しっかり歌っていたな~。
それに、Ed Sheeranのアイリッシュ訛りの早口のおしゃべりやジョークにも結構反応していて驚きました。(アイリッシュ訛りはかなり癖が強く、難易度大)。
好きこそものの上手慣れ、とはよく言ったものです。

最後に。
やっぱり一番驚いたのは、ライブ後すぐに、いくつものビデオ映像がYouTubeやXに投稿されていたこと!
日本人アーティストで、「ここの部分は撮影OK。拡散してね」というのには遭遇したことがありますが、ライブのほぼ全容を正々堂々とアップしてもOKな時代なのだ、と改めて感じ入りました。
早く新しい時代のライブ観戦に慣れないと…

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