「アラカン」~お楽しみはこれから volume58

『スポーツイベント』

11月初の秋晴れの日。久しぶりに東京ドームでの野球イベントに行ってきました。
『高校野球女子選抜 VS イチロー選抜 KOBE CHIBEN』
結構話題になっていたので、ご存じの方もいらっしゃるかも。
イチローさんが去年から始めた女子高校野球を応援するイベントで、女子高校野球選抜強化プログラムの一環として女子選抜チームとイチローさんが率いるKOBE CHIBENチームが『ガチ』対戦する試合です。
イチローさんの言葉を借りると、「野球を真剣にやって来た高校3年生の女子野球選手が目指す甲子園」を目指しているそうです。

私はあまり多くを期待せずに、普段から草野球に興じている友人数名と軽いノリで行ったのですが、結論から言うと、かなり見ごたえのある真剣勝負で楽しかったです。
まず、高校生女子のレベルの高いこと!
10数校から選抜された即席チームなのでしょうが、守備の連係も素晴らしいし、送球も早くて正確だし、バッティングも思いっきりが良いし、一緒にいた男性陣も舌を巻くほど。
『学校では、男性の部活に追いやられて練習もままならない可哀そうな境遇の女子野球部員』などと勝手なストーリーを思い描いていましたが、(もしかして、実際に厳しい境遇なのかもしれませんが)、しっかりと普段から練習をこなし、実力をつけてきた人たちの集団でしたよ。きびきびしたプレーっぷりは、見ていて気持ち良かった!
また、イチローさんのチームも『ガチ』でしたね。
このチームは、30歳~60歳までのおじさんたちを集めた草野球チームらしいのですが、中には名門の早稲田実業や松山商業で野球をやって来た人もチラホラ。
そして、なんと去年引退した松坂大輔さんも4番ショートで登場!
身体はかなり重そうでしたが、さすがにグローブ裁きは秀逸でしたし、4打数3安打の猛打賞でしたね。(←偉そうな発言ですみません!)
そのような中で、一番の『ガチ』はイチローさんご自身。
ご本人曰く、「真剣な野球ができるように一年間かけて身体を作ってきた」とのこと。9番投手として登場して、130㎞/hr台で137球完投しました。
友人の解説によると、球速130㎞/hr台と言うのは素人ピッチャーにとってはかなり速い球だそうで、「毎日練習している俺達でも、なかなか打てないし、絶対投げられないわ~」だそうです。
それを49歳のイチローさんが9イニングやりのけてしまう。凄いことです。
(最後のインタービューでは、「さすがに身体がボロボロです。来年も出来るか分からないけど、頑張ります」とおっしゃっていました)
高校生女子たちの球速は平均して110㎞/hr台でしたから、イチローさんのピッチングはかなり厳しいものだったのでしょう。
でも必死に食らいついて、何本かヒットを飛ばしていましたよ。
試合そのものは7対1でイチローさんのチームが勝利しましたが、点差に関係なく、両チームの真剣勝負は自然と観客から拍手が沸き起りました。
特に女子チームがクリーンヒットを放った時と、イチローさんが三振した時は大盛り上がりでしたね。やっぱり、真剣なプレーは観ていても分かるものです。

試合だけでなく、このイベントそのものが気持ち良い時間でした。
イチローさんをはじめとする関係者が、純粋に女子高校野球のために「野球」を使ってひと肌脱ごう、という趣旨からこの試合を開催しているので、主催者側の利権とか邪念が感じられない。
お金を払って観にきている観客たちも、仮に最初はイチローさんや松坂さん目当てであったとしても、真剣勝負に目を奪われ、純粋に試合を楽しみ、開催趣旨を理解し納得して拍手を送っている。
全てをひっくるめて、「スポーツ/選手を盛り上げよう」という穏やかな善意で成り立っているのが分かる新鮮な空間でした。
やっぱりこのところ、「オリンピックを巡るお金とえげつない利権」のニュースが世の中を騒がし、大きなスポーツイベントのイメージが悪くなっていたので、今回経験は一服の清涼剤でしたね。
もっとこのようなイベントが認知され、開催される世の中になればいいのに。

…と偉そうなことを言いましたが、サッカー好きな私は、今月末は、オリンピックに次ぐ大きな世界大会、FIFA World Cupで眠れない日々を過ごすのだろうな。
まあ、主催者側はともかく、プレーに関わる選手・スタッフや熱狂している我々ファンは、純粋にスポーツを楽しみ、それに打ち込んでいるので罪は無いハズ。
存分に盛り上がっていくぞ~!!
奇跡を信じて!!

一覧へ戻る