「アラカン」~お楽しみはこれから volume28

『オリパラロス』

私のスケジュールは、7月後半から9月の頭まで2020オリンピック・パラリンピックのスケジュールでびっしりと埋まったままです。
中には、奇跡的にチケットが取れた競技が大きな赤丸で囲ってある。
これが全てパーになってしまったなんて…
7月に入ってからは、カレンダーを見ながらため息ばかりが出ています。
私の2020年の夏はどうなるの~

競技者当人でもない私が、なんでオリンピック・パラリンピックが無い夏をこんなにも嘆いているのか。
まあ強いて言えば、毎年の(この場合は4年に一回の)祭りが中止になってぼやいている村の『祭り好きおばさん』の心境ですかね。
 
これまでも、オリンピックというお祭りを私は随分と力<リキ>を入れて楽しんできました。
「お祭り好きおばさん」らしく、周囲を巻き込んだことも数知れず。
北京オリンピックの谷本歩実さんの柔道の試合をTVで観戦していた時。
息子と息子の友達たちがそばで大騒ぎしていたので叱り飛ばして、正座して試合を観るように命じたことがあります。
「あなたたち!今、大事な柔道の試合が行われているのよ!真剣に観てください。
この人のコーチは古賀さんと言って、あなたたちの生まれた年のオリンピックで金メダルを取った人なのよ!!!」

叱られた当人たちは「だから???」とキョトン。
息子はいつのもこととして受け流したようですが、息子の友達たちは「オリンピックになるといつも以上に怖くなる人」のレッテルを私に張ったようです。
 
ここまで書いて思うのですが、オリンピック・パラリンピックという「スポーツの祭典=お祭り」が今年開催されないことにがっかりしている日本人は、ビジネス以外の分野でも案外多いのでは?
声に出さないだけだったり、気が付いていないだけだったり…
と言うのも、世界的に見ても、日本人のオリンピック好きは他国に引けを取りません。
さらには、日本人のオリンピック好きは他の国とはちょっと質が違う、ともされています。
一般的に、「オリンピック=自国のメダル獲得数=勝ちか負け」が熱狂度合につながるとされます。これはわかりやすい理屈で、だからこそ米国や中国やその他スポーツの強い国がオリンピックを後押ししてきました。
日本もこのパターンに当然のことながら当てはまります。
ただこれだけではなく、日本の場合は「スポーツそのものに対する興味」も強く出るようです。
これは二つのことを意味します。
人気スポーツや見慣れたスポーツ以外のものにも飛びつく
単に勝敗の行方だけでなく、競技ルールや歴史そのものにも興味を示す

②については、昨年のラグビーワールドカップの後、それまでラグビーを観たこともなかった人が「ノックオン」だの「ジャッカル」だのの用語を使って話していたのを思い出していただければわかりやすいでしょう。
①については、特に米国との比較でよく語られます。
あれだけメダルを獲得している米国ですが、実際のテレビ視聴率は、人気スポーツに極端に偏るとのこと。
一方、日本の場合は、もちろんある程度日本チームが勝っているとの前提はありますが、いわゆる「マイナースポーツ」であっても抵抗感なく盛り上がって観戦する傾向にあるようです。
(お祭りの間は熱しやすく終わると冷めるけど、またお祭りが来ると熱くなる…)
そう言われてみると、オリンピックをきっかけに、新たに興味を持ったスポーツは誰にでもあるのでは。
例えば私の周りでも、平昌冬季オリンピックの後、取引先のお偉いさん方に「カーリング大好きおじさん」が増殖していたことがありましたね(笑)
 
色々なスポーツを同時に楽しめるオリンピック。
サッカー・ラグビーのワールドカップやバレーボールの世界選手権など、真剣勝負の世界大会とはまた違った楽しみ方がオリンピックにはあるのです。
そして、これまで多くの人が観る機会のなかったパラリンピック競技の数々。
もし開催されていれば、日本人はまじめにこれらのスポーツを観て、応援して、スポーツを超えた様々なことを学んだはずです。
その機会がなくなったことは、やっぱり大きな「ロス」ではないかしら。
 
来年開催の可能性など、今は論じることすらできない状況です。
選手やスタッフや関係者の方々のことを思うと悲しい気持ちになってしまいます。
私個人としては…このポッカリ空いた穴を、例えば夏の長期旅行で埋めることもままならない現状下によけいロスト感を感じてしまうのかもしれません。
 
早く世の中が平安を取り戻しますように。

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