「アラカン」~お楽しみはこれから volume25

『ポスト・コロナの世界』

最近「ポスト・コロナの世界」に思いを馳せることが増えました。
例えば14世紀のペスト大流行は悲惨な歴史として語り継がれていますが、一方で「ペストは近代の陣痛」という言葉もあるぐらい、歴史の発展に大きなインパクトを残したそうです。
それまでの西ヨーロッパは宗教的支配や思想に縛られていましたが、ペストの流行により「神なんていないのでは…」、「どうせ死ぬなら…」との思いが膨らみ、人々は神の呪縛から解き放たれたそうです。それがシェークスピアなどによる近代文学の発展やニュートンの万有の法則の発見につながったとか。
また経済面では、ペストによる大量死が農民の労働力不足をもたらした結果、それまでの領主による支配(領地の農民に共同で農業をさせて年貢を採る)が崩壊。そこで、生き残った有力な農民に土地を貸し出し個人で経営させるようになり、それが近代の資本主義・自由経済主義にシフトしていったらしい。
「風が吹けば桶屋が儲かる」式の説明ではありますが、歴史の偶然と必然の交わりが垣間見られるこのような話はロマンがありますよね。

では今回の新型コロナ騒動の後の景色はいかに?
私が近い将来の “こうあって欲しい” と思っている日本の姿の一つが、「活力ある地方都市が全国に多く台頭している」こと。もしかして、今回の新型コロナの経験は、日本を一極集中から引き離すきっかけになるのでは、との期待が徐々に膨らんできました。
そもそも感染症とは、基本的な定義として「人から人へのうつす病気」のこと。これからも様々な感染症と付き合っていくことが必然であるならば、大都市集中密集型を避けた暮らしを目指していくことも必然ですよね。
さらには、大都市に人口が集中しているのは、効率を求めて大企業をはじめとする会社が都市に集中しているから。
でも今回、多くの人が強制的にリモートワークや在宅勤務を経験し、業種や職種によってはできそうな感触を得たはずです。また毎日通わなくても、リモートと組み合わせることの可能性も見えてきました。
もちろん、環境整備(含む、子どもは学校や保育園にいる!)や会社側の対応はまだまだ必要です。また、全部の仕事をリアルからバーチャルに置きなおせるはずはありません。
でも無理して大都市近郊に住まなくても、飯の糧は確保できる芽が出てきたわけです。毎日満員電車に乗って職場に行かなくても、効率性を落とさずに仕事ができる術が見つかってきたのです。
これまで一部の人しか理解できていなかった上記のことが、頭が固いといわれていた「パソコン苦手世代」にも認知されたのではないでしょうか。
(ちなみに、私のオーバー80歳の母親でさえ、Zoomでイタリア語のレッスンを
続けています!)
それに、今の大都市密集型モデルでこれまで通りの仕事を続けては、将来の感染症予防と経済の両立は難しいことははっきりしています。
ある調査によると、日本の大都市の場合、自宅から職場までの距離が2.5㎞以上の人を全員在宅勤務にすれば、逆に2.5㎞以内の人が全員出勤しても人の移動は8割減る、との結果が出ているそうです。
東京なら例えば新宿から代々木八幡や東中野ぐらい、
大阪な梅田から十三ぐらいが約2.5㎞。
「人との接触を8割減らす」ことが日本の政府によってお題目のように唱えられましたが(過去形で語るのは少し早い…)、東京や大阪では永遠に新型コロナに対処できないことになってしまいます。
今こそ、魅力的な地方都市台頭のチャンス!

そもそも、生活の基盤は、住んでいる地域の自治体の機動力や柔軟性に大きく依存していることを今回のコロナ騒動を追っている中で感じませんでしたか。
(某大臣は、「地元(の企業)を助けるのは地方自治体の仕事!」と最初のころは宣っていました。つまりは中央政府の仕事ではない、と言いたかった? 途中からこのような発言は消えましたけどね)
そういう意味では、今回のように、各地の知事の手腕や特徴が大きくメディアに取り上げられ浮き彫りになったことは、地域の魅力度の発信としては重要でしたね。私は結構興味深くフォローしました。
ヒト・モノ・カネに恵まれている東京都や大阪府知事が存在感を示すのは当然としても、情報収集力や機動力を駆使して国に先駆けて行動を起こし判断を明確に説明していた北海道や和歌山県知事などは、頼もしかった。
(あっ、訂正。小池知事や吉村知事の中央政府とのジャブ打ち合いは、知事さんたちにエールを送っていました!)
逆に、「中央政府がガイドラインを出してくれないと動けない」、「政府からのお金が早く来ないと何もできない」とぼやきから入る知事たちがいかに情けなく映ったことか。
これからの地方の活性化は、「中央とのパイプ=いかに中央から金をひっぱれるか」や「長年の経験」だけが売りの知事では駄目なのだろうな、との思いを強めた次第です。

・・・ここまで書いたことを読み直してみると、最初に大風呂敷を広げた割には、近い将来しか語れていないですね。私の想像力・創造力の限界、ということでお許しください。
ただ、この新型コロナ騒ぎが単なる暗いニュースで終わらないよう、何か将来に向けて飛躍するための大きな一歩にしたいと思いませんか。
私たち国民こそが大きな志を持ちたいものです。

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