「アラカン」~お楽しみはこれから volume21

『令和2年のニュース』

令和最初の年末年始があっと言う間に過ぎてしまいましたね。
お正月太りと仕事という現実と向き合いながら、随分と今年は物々しい世界ニュースで始まった年だな~、と改めて思い返しています。
特に、「米国・イランの一発触発状態」は怖かった!
偉そうに後講釈すれば、無駄な金をかけたがらないトランプ大統領が戦争行為に踏み切らない公算の方がそもそも大きかったのかもしれません。
でも「予測を裏切る」トランプ大統領ですし…
それにイランの対応次第では… 
まだ完全解決したわけではないので安心はできませんが、とりあえず赤信号から点滅信号ぐらいにはなったのかしら。

それに比べて、日本発世界的ゴシップ・ネタは「ゴーン氏逃亡劇」。
(※「ゴーン被告」とは表記しませんが、日本の司法制度を蔑ろにしているわけではありませんのでご了承を)
このニュースに関しては、詳細がわかるに連れてメディアの反応も「驚き」「怒り」「疑問」「呆れ」「失笑」「煽り」等々、憶測も含めた感情豊かな報道が続いています。

私の場合、このニュースを聞いて驚いた後に去来した最初の感情は「心配」。
80-90年代に米国で “Japan Bashing(日本たたき)” に遭遇し闘ってきた経験があるので、世界中から「日本は『人質司法だ!』」という意見が噴出して、一斉に日本批判が始まるのではないか、と身構えてしまったのです。
でも豈図らんや、一部の報道を除いて、海外でも意外に冷静な反応でしたね。
「金だけ持っている成り上がり先進国」としか見られていなかった80年代から、日本はまともな法治国家だ、と認識されるだけの進展がこの30年の間に少しはあったからだ、と思いたいです。
そこには、Sushi等の和食ブームやアニメ人気、サッカーサポーターの行儀良さやインバウンド旅行客増加による好意的な評判など、文化面での交流も寄与してきたのかもしれません。
いずれにせよ、ゴーン氏のような影響力ある人物の劇場型発言を鵜呑みにしないだけの日本理解が、世界的に広がりつつあることに安堵感を覚えます。

ただ、これで終わりとは思えません。
いくらゴーン氏でも、日本はおろか欧米で経営者として復帰できる確率はほぼ無いでしょうし、現レバノン政情が長期安定型だとは言い切れないでしょうから、もっとお金が欲しくなる日が早晩やってくる。
そうなると暴露本が一番売れるわけで、すでに噂されているように「自分の正義を訴える」本を出版することになるでしょう。
日本側としてはその時に慌てて反応するのではなく、しっかりとした世界向け発信を今から準備してはいかがでしょうか。
僭越ながら、私の提案は内容と発表方法の2方向から。
まず内容としては、これまでの正式発表の繰り返しだけではなく、内外で指摘されている疑問点・勘違いを整理して論理的に説明していくものを加える。
そして、「金があるから逃亡できた」発言をはじめとするゴーン氏の行動は、日本だけでなく全ての法治国家に対する冒とくである、と毅然と言い切る。
更に重要なのは、発表方法。
まず上記で挙げたようなことを、一カ所にまとめて整理した形で発表する。
今どきネットサーチすれば何でも出てきますが、正式見解をまとめて掲載している公式サイトは案外少ないので、それを提供するだけでも価値が高いと思います。
そして次に重要なことは、これをオフィシャルに英語でも発信すること。
この逃亡劇が最初に明るみに出たとき、「ゴーン氏が多言語を駆使して記者発表しているのに、なぜ日本政府は日本語だけの発表なのか。外国人記者クラブで会見ぐらい開いたらどうか」とコメントした人がいましたが、私も同感です。
中国ですら、政府見解を発表する「英語版Twitter」を発信している時代ですよ。
(中国語使用人口は世界一であるにも関わらず、この努力!)
台湾の蔡英文総督のTwitterは中国語・英語主体ですが、日本人向けメッセージの時は日本語が登場します。(例:1/11のTwitterは印象的)
日本政府は、「ゴーン氏の事件は日本国内の司法問題」というメンタリティを捨て、しっかりと世界を意識した情報発信と日本の立場の主張をしていくべきです。
子どもに「英語力をつけよう!」と主張する前に、きちんと政府も模範をたれよ、というところでしょうか。

堅苦しいこと長々書いてしまいました。
でも、ゴーン氏のニュース関連でどうしても書きたいことをあと3つ、お許しください。
①  日本の司法制度も反省点多いよね
日本の司法制度の問題点も、今回の事件でかなり浮き彫りになったと思います。しっかり反省するべきところは反省して改善していきたいものです。

②  ケリー氏どうなってしまうの?
ゴーン氏と一緒に逮捕された元日産代表取締役のケリー氏は置き去りにされてしまいました。どうなるのかしら、と知り合いでもないのに心配しています。

③  今回の事件で一番とばっちり受けたのは、オリパラ組織委員会?
オリンピック・パラリンピック組織委員会の友人から聞いた話。
「人間が入れるほどの大きな荷物」への検閲・監視がきびしくなってしまうため、選手団の移動時間が増えてしまう、と心配している人が増えている?

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