「アラカン」~お楽しみはこれから volume11

『なくて七癖』

この歳になっても、新人向けのビジネス指南書に時々目を通します。
先日読んだ本の中に、
「『なくて七癖』と言うが、案外自分の癖はわからないものである。ときどき棚卸してみるのも大事」と書かれていました。
なるほど、自分では自分の癖はなかなか思いつかないもの。
そこでじっくり考えてみたのですが、意外なことに気が付きました。
私、最近新たな癖ができたのです。
それが独り言ならぬ「独り鼻歌」とでも言うのでしょうか。
昔から、気合を入れるときに『よしっ!』と声に出すタイプではありましたが、ちょっと質が変わってきたような…
原因はわかっています。
「マスク」のせいなのです。

そもそも、私はマスクを着用する習慣はありませんでした。
ところが去年の冬、「寒い季節はマスクひとつで楽になるよ」と同僚に教わり実践してみたら、これが意外に快適なことを発見。
冬のスポーツ観戦にもドライマウス対策にも効果的ではないですか。
それ以降、花粉の季節もマスクで乗り切ることにし、今ではマスク着用での外出がほぼ日常に。
使い捨てマスクを使えばあまり家計に響かないし、おまけに、化粧をしていなくても顔の半分が隠れるのだから、こんな楽なことはありません。

そんなマスク着用という新たな習慣と一緒に芽生えたのが、「独り鼻歌」というヘンな癖です。
最初にこれに気が付いたのは、ほろ酔い気分で夜の銀座の雑踏を歩いていた時のこと。
心の歌声が実は鼻歌交じりに小声で出ているではないですか!
すれ違う人の中に「あれっ?」という顔をする人もいました。
でもマスクで口元が隠れているので、こちらが目を泳がせなければ、ほぼ気が付かれずに通り過ぎることに成功。
Orange Rangeの『花』を一曲口ずさみ切ったときは、案外気分よくなっている自分がいました。
アップテンポな曲を選べば、運動気分で地下鉄2駅分歩いてしまったりして、これまた一石二鳥。
『時と場所と“ボリューム”さえ気を付ければ、誰の迷惑にならない!』と開き直ったのがいけなかったのかもしれません。
帰宅時に、夜中のドライブならぬ「夜の独唱」(?)で気分転換している自分をみつける回数が増えました。

でも、このヘン癖もそろそろ店仕舞いしないといけませんね。
なにしろ、これから暑くなるのにマスクはできませんから。
更に悩ましいことに、独り言は老化現象の入口だそうです。
「独り鼻歌も?」という疑問はともかく、心の声をコントロールできないのはやっぱり問題なのでしょう。
今ならまだ自制できると信じているので、令和の到来とともに、この癖とはきっぱり分かれることにします。

ビジネス指南書が意外なところで役に立ったな~

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