三度の飯より寿司がすき volume31
『瞬発力を身につけよう』
少し前に、巷に出没していたぶつかりおじさん。
あなたは急におじさんにぶつかられたこと、ありますか?
私はあります。
あの人たちはゴキブリのように急に湧いてくるので、こちらは身構えることができません。
本当に急で、そしてすぐに立ち去っていきます。
私が屈強なラガーマンなら、「オイお前、ちょっと待て!」と言ってすぐさま後ろから追いかけ、おじさんの肩をぐいっと掴むでしょう。しかし、もしも私が屈強なラガーマンなら、彼らはそもそもぶつかってきません。自分より小さくて弱い(であろう)ものにしか危害を加えないのです。なんと卑怯な人間でしょうか。私は彼らの不幸を願わずにはいられません。
くるぞくるぞ、と体に力を入れて身構えていれば、小さめのおじさんであれば押し返すこともできるでしょうが、こちらは普通に歩いているだけなのです。常に誰かを押し返そうとして歩いているわけではないので、「えっ?何この爺!?」と一瞬何が起きたのか、理解しようとしているうちに敵はまた新たな標的めがけて去ってしまいます。私がぶつかられた時もそうでした。
すれ違いざまに男性に不快な言葉を投げかけられたり、ぶつかられたり、痴漢されたり、などということは、ここ日本で女性として長年生きていれば誰しも1度は必ず経験があるといっても過言ではないと思います。また、他人事だからでしょうか、意外と男性はその事実を知りません。
しかしそろそろ、私たちも瞬発力を身に着ける時だと思うのです。
マインド的にいつでも反撃できるようにしておくことは悪くないことだと思うのです。本音を言えば、わざとぶつかってきたおじさんに対しては、ぶつかり返すどころか股間を蹴り上げてアスファルトに投げ倒すくらいのことはしたいのですが、私は柔道も嗜んでおりませんので、実質的に不可能です。でも、声をあげるくらいはできるようにしたい。人は不意を突かれると案外声が出ないものです。もちろん恐怖心もあります。しかしそれではいけないと、マインド的に相手に悪態をつく感じで、最近私は歩いております。(もちろん、実際に悪態はつきませんし、あくまでも心構えという意味です。)
そんなマインドに切り替えて生きていたつい先日、美容院に行こうと私は原宿にいました。いつもの道を歩いていると、携帯のライトが点灯しているのに気づきました。何かのボタンを知らぬ間に押したのか?時々つけてもいないのに明るくなってしまうことがあるのです。「これってどうやって消すんだっけ??」とあたふたしながら歩いていると、向こうから自転車に乗った知らない男がすれ違いざま私に向かって叫びました。
「光らせてんじゃねーよ!」
・・・一瞬、ハア?と思いましたが、そう思うと同時に私はそいつの方を振り返り、大声で「うるせえんだよ!」
と怒鳴り返していました。
私は過去、見知らぬ女性にすれ違いざまに不快な言葉を浴びせられた経験がありません。いつも、いつも犯人は男です。今回はおじさんではありませんでしたが、若くもない男でした。
しかし、私は自分が咄嗟に声を出せたことにちょっと驚きました。
相変わらず不愉快な男の多い国だなと思いながらも、反射神経が格段に良くなっている自分を褒めてあげたい気分でした。
文字にしてみると小学生かよ、というやりとりのように見えるかもしれません。
しかし「知らない男にいきなり怒鳴られる覚えはないし、こちらは不快でしかない」という意思表示をしないと、という気持ちに駆られ、気づいたら咄嗟に大声を出していました。
もちろん、相手は頭がおかしいのでこちらが反撃すると何をされるかわかりません。なので時と場合を考えなければならないのも事実ですが、「こちらはあなたに対して非常に不快な気持ちである」ということを態度で示さないと一生彼らにはわからないと思うので、思った感情をすぐに大声で表す。ということをやっと覚えた私ではありますが、まずはこのマインドを草の根レベルから広めて行こうと思います。