三度の飯より寿司がすき volume22

『あなたが私にくれたもの』

誰かに何かをプレゼントする時、その人が何をもらったら喜ぶかなあ、とか。私はこれがすごくいいと思う、きっとあの人に似合うはず、とか。
選んでいるだけでちょっと楽しかったりしませんか。
私は楽しいです。
また、人からいただくのも、もちろん嬉しい。
以前ラジオで、プレゼントというのは一方的なものであり、相手に有無を言わせない若干暴力的な行為である、というようなことを言っている人がいました。相手が喜ぶだろう、と決めつけて贈るという意味ではそんな解釈もあるかもしれません。
ところで。
みなさんは、人生で一番嬉しくなかったプレゼントって、何ですか?
私は即答できます。
UFOキャッチャーの人形です。
学生時代、つきあいはじめたばかりの彼氏にもらったクレーンゲームの景品。
しかも誕生日プレゼントで。
私は心の中で「い・・・いらねえ・・・!」と叫んでいましたが、なぜかちょっとだけ得意げに差し出してくる彼に私の思いは全く伝わりませんでした。

まさに、バイオレントギフト(暴力的な贈り物)!

しかしまだ20歳そこそこで、思った事を人に言う術を知らなかった私は、ちょっと口ごもりながら「あ、ありがとう・・・。」とお礼を言ったように記憶しています。いまだったら「いらない。」と正直に言えると思います。

私は人形やぬいぐるみは好きな方ですが、安い生地を使い雑に作られた、手触りも全く良くないクレーンゲームの景品なんて欲しくなかったのです。
しかも中途半端な大きさで、頭に安っぽい紐とかついているし。

ただ自分の娯楽として、「クレーンゲームで人形を捕る」という行為だけが彼の目的だったはずなのです。結果、獲得してしまった景品なんて必要ないのです。『あ、そういや彼女が誕生日近いって言ってたな・・・。女子だからきっとこういうの好きなんじゃね?』
くらいのプレゼントです。いや、こんなのプレゼントともいえないです。
こちらとしてはゴミ処理業者でもないのに産業廃棄物を押し付けられた気分です。しかも若干恩着せがましく。
1体ですらいらないというのに、それらは5〜6体ありました。だから得意げだったのか、「俺、こんなにゲットしちゃったぜ!」みたいな?
ほんとうに、めいわく!
雑なビニール袋に入れられた雑な人形たちを私は実家の納戸に押し込み、その後その姿を一度も見ていません。

お察しの通り、速攻で彼とはお別れしました。
うら若い私にはかなり衝撃的な出来事でしたが、後々ネタになるのでいいかなとも思いました。
今、ネタとして昇華できたので満足です。

恋人や家族から、誕生日やクリスマスに予期して贈り物をもらうのも良いですが、不意打ちのプレゼントっていうのも嬉しいですよね。
何気ない会話を覚えていてくれて、私がこれ可愛いよね、いいなあ、欲しいなあ、などと言っていたものを、全く予期せぬタイミングでいただいたりするのは、本当に嬉しい。
幸せなことに、私には何度かそのような経験があります。

20代の頃、友達や職場のおじさんやらがうちに来てくれて鍋パーティをしたことがありました。会の途中でいきなり「誕生日おめでとう〜!」といわれ、私だけ「???」でした。その時は2月で、私の誕生日は3月なのです。
「私、来月ですよ?」という私の一言でみんな勘違いに気づいたのですが、「まあいいじゃない!すぐ3月だし!」と言われ会は続行。誕生日でもないのにプレゼントをみんなからもらってしまったのが申し訳なかったですが、大幅なフライングでサプライズ誕生会をされたのは後にも先にも初めてで、とても嬉しかったのを覚えています。

ところで自己紹介にもありますが、私は寿司好きです。食べるのも好きですが、あの姿形も好きなのです。
先日ハワイのお土産で寿司手ぬぐいをいただきました。しかもよくみるとスパム握りを寿司っぽくデザインしたイラストが描かれていて、何故、ハワイ・手ぬぐい・寿司・・・?という疑問が浮かぶあたりもなんだか良くて、とても嬉しかったです。

ここまでつらつらと書いていて思いました。改めて言うまでもないことかもしれませんが、プレゼントを贈る時に一番大切なのは、贈る相手を思う気持ちなのですね。
人に何かをプレゼントする時は、暴力にならないよう、ギフトハラスメントにならないよう、私も十分気をつけたいと思います。
でも選ぶ時点でわくわくしてるってことは、すでに相手のことを思ってるっていうことじゃないかな、と思うので、きっと大丈夫なはず。うん。

一覧へ戻る