三度の飯より寿司がすき volume27

『方丈記』【前編】

パソコンが壊れました。
突然に。
普段そんなに頻繁には使っていないMacBook Air、11インチのものでした。写真や音楽の整理、時々インターネット、そして主にこういうコラムなどを書いては保存していた8年もののMacちゃんでした。長年連れ添ったMacちゃんでした。
でした、と過去形にしたのは認めたくないけれど完全に壊れたからです。
経緯はこうです。

まず先日i Phoneの画面が割れました。
カメラ機能が使用不可になりました。
機種変更をしよう。
その前にバックアップを取らなくちゃ。
Macにつなごう。
あれ?「容量が足りない」って出てるよ。
写真データを外付けHDDに移そう。
よし、これだけ移せば十分だろう。
あれ?まだ「容量が足りない」って出てるよ。
「その他」50GB…?
「その他」って何だ?調べてみよう。
…ふーん。よくわからないけど、「その他」を減らすいろんな方法を試してみよう。
なになに?キャッシュを消す?ふむふむ・・・(作業を進める)。
あれ?いろいろ消していってるはずなのに「その他」が今度は100GBに増えたよ。
怖いよ。
とりあえず電源を切ってみよう。
よし、再起動だ!

…起動できない…

というわけです。
いまもしタイムマシンが海外旅行並みに当たり前の時代だったら。写真を外付けに移していた時に戻りたい。戻って私は私に言うのだ。
「書類も移しておきなさい」と。

パソコン自体が壊れたことよりも私に一番ダメージを与えたのは、中身のデータ、つまりは書類フォルダが全部消えたことなのです。そこには、2011年、このMacを手にした時から書き続けてきた日記があったのです。私の8年間の記録。自分以外の他人に絶対に見られたくないロングロング・ソー・ロング日記。あろうことか、私はどこにもコピーをとらずひたすらこのMacの書類フォルダ、ただひとつの場所のみに存在させていたものだったのです。
せめてこの8年の間に一度でもいい、自分のメールに添付して送っておくとか、門外不出のUSBに保存しておくとかしておけば良かった…!と、いまさらいくら嘆いても8年の吾輩の記録は元には戻りません。
予期せぬ事態が起きて他人に読まれたら一大事という、己の用心深さ、そして猜疑心の強さが仇となりました。

毎日書いていたわけではありません。しかしこの8年間、嬉しい時も悲しい時も、ともに笑い、ともに泣き、いつでも振り向けばそこにいた。泣きながらキーボードを打ったこともありました。怒りをぶつけるようにたたき打ったこともありました。もう元には戻らない、あなたとともに過ごした日々。人生とは、なんとあっけなく、儚いものなのでしょう。別れは突然やってくるものなのだと、誰かが教えてくれたなら。嗚呼。あなたとの、別れの準備をする暇もなかったよ。

淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、またかくのごとし。

この無常感はしばらく消えそうにないので、こんなネタですみませんが次回に続きます。

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