三度の飯より寿司がすき volume25

『新年から地獄』

あけましておめでとうございます。
今年初のコラムになりますので新年のご挨拶をさせていただきましたがもうすぐ3月です。
遅くなりましてすみません。

年末にその年やり残したことを振り返り、それらをどうにか12月中にやるのだ!と言いつつできないうちに年が明け、正月に抱負も何も語らずまたその年の師走にやりたかったのにできなかったことを掲げる・・・の繰り返しをしている自分にふと気づきました。
ちなみに私が2年連続でできていないことは、三国志読破と断捨離です。

しかし。
今年の私は少し違います。まず、新年に誓いを立てました。
正月実家に帰省した私はあまりにも暇すぎて、今年やることを箇条書きにしてみました。
20項目くらい挙げたのですが、なんとその中の1つをもう達成しました!快挙!!!
それは何かというと、「胃カメラを飲む」です。以前コラム(No.11)にも書いたのですが、私はこれまで一度もバリウム検査をしたことがありません。胃癌などの症状は末期にならないと自覚症状が出ないと一般的に言われており、胃の中で何か病気が進行していても検査を受けない限り何もわからない。だから検査はした方がいい。でもずっと避けていたのです。(詳細はNo.11をご覧ください)

1年に1度健康診断を受けるのですが、今年は「バリウム検査」の他に「胃カメラ」という選択肢があったため、意を決して申し込みました。
そしてそんなことはすっかり忘れており、検査当日。「胃カメラ希望の方は先に行いますのでこちらへどうぞ」と言われ別の階に通されました。そういや申し込んでたな・・・胃カメラって口からだっけ鼻からだっけ・・・どっちだったっけな・・・などと思いながら誘導され、少量の液体を渡されました。
恐る恐る口に含むと、甘い・・・何これ、おいしい!と頬が緩みます。あの、どろっどろのまっずそうな白い液体よりはるかにマシじゃないか。な~んだ、胃カメラ楽勝だな。
「次は麻酔ですね」と看護師さん。注射とかすんのかな・・・歯医者で慣れてはいるけどやっぱりやだな・・・などと思っていると口の中に液体を入れられます。苦いような甘いような、でもそんなに嫌ではない味。「飲み込まずガラガラとうがいをして、しばらく口を開けて上を向いててください」・・・はい。数十秒たって、「はい、もう吐き出していいですよ」・・・はい。
・・・おお。喉の奥がしびれてきた。な~んだ、麻酔も簡単じゃないか。胃カメラ余裕余裕。
と、思いきや、ここからが本番でした。
ベッドに横になり、猿ぐつわみたいな、マウスピースのようなものを口にはめられ目の前には大蛇のような胃カメラが。
え、何この長いの。
「はい、では入れていきますね~つばは飲み込まずに垂れ流してくださいね~」
淡々と私の喉の奥に大蛇を突っ込んでいく医師。「ウゲッ、ぐぇぇぇぇ、ゴボォォxznx」
声にならない声と涙が止まりません。それでも医師は「はい、楽にしてくださいね~」と言いながらカメラアシスタントがさばくケーブルのようなものaka.大蛇を私の口の中に入れていきます。目の前のちょっと短くなったケーブル。でも先は長い。暗い。これ全部入れんの?つうか入んの?「ヴォエェェぇwx」声にならない声と涙と涎が止まりません。
地獄みたいなこの状況で、唯一の心の支えは、背後にいる1人の看護師さんでした。嘔吐く私の背中に優しく手を添え、呼吸のタイミングを合わせながら、円を描きながらさすってくれているのです。この天使様が背後にいてくれる限りきっと私は大丈夫。

ヴォォエヴォォエオ・・・
つばをのみこまないでくださ~い
無理で~す
ヴォオェエxyqs・・・

天使様のおかげで、体の中に異物が混入していることに慣れてくると、目の前にモニターがあることに気づき、それを見る余裕が出てきました。
おお。これが私の胃の中か。
他人の胃を見たことがないので比較対象のしようがありませんが、決して汚くないように思われました。しかし、医師からは「ポリープがいくつかありますね~」とのこと、「まあでも良性だから大丈夫ですよ~」とのこと。ほうほう。ウゲゥッ。

なんかね、胃の中にカメラがあるっていうことが、わかるんですよ。
喉は麻酔で感覚がなくなっているけど、胃の中はわかるんですよ。金属的なものがそこにあるということが。いつもそこにいない冷たいあなたがいるということが。

「胃壁を360度確認したいのはわかりますが、ぐるんぐるんカメラをまわすのだけは止めていただけますと幸いです。」という文章を頭の中でタイピングしながら痛みに耐えていると、池野恋先生のりぼん大ヒット連載「ときめきトゥナイト」で、主人公の蘭世が小さくなって恋のライバル神谷陽子の体内に入った回を思い出しました。
小さくなった蘭世が陽子の胃の中に入って、上からビールが流し込まれ酔っぱらい胃壁をドンドン叩くと、陽子のお腹が痛くなる(当たり前っちゃ当たり前)という、それを今、私も胃カメラで追体験しているわけです。
カメラまわされ、痛いわ、嘔吐くわ、涙は出るわ。

大蛇がすべて回収され通常の自分に戻った後、「司さんは逆流性食道炎ですね」と医師。
診断、早っ。
全くの無自覚だったのですが、どうやらそうらしいのです。みうらじゅんさん&いとうせいこうさんと同じ病気じゃないか・・・!と若干嬉しくもある私。
基本的には食べ過ぎで、「食べてから2時間は横にならないでください」とのこと。
そう言われてみれば、私は食べてすぐ横になる、を日々繰り返していたのです。だって、22時に家についてそこからご飯食べて0時に寝たらもうアウトでしょ。難しいよ。
そこで夕飯を抜く、という発想にいたらないのが私がいつまでも痩せない理由ではあるのですが・・・。

よし。わかった。
今日から、食べ終えて2時間以内には寝ないようにする!
そうして今年の目標をまたひとつ追加した私なのでした。

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