三度の飯より寿司がすき volume19

『一遍上人、ありがとう』

年々、風呂が好きになっていく自分がいます。
「温泉」。
なんと魅惑的な響きでしょう。

子供の頃は湯船につかることが苦痛で仕方ありませんでした。
あなたの風呂の入り方は烏の行水と言うんだよ、と母親に指摘されても
別に風呂に入らなくても死ぬ訳じゃないし・・・などと思っていました。
面倒くさかったのですね。冬は寒くて億劫だし。
「家族で温泉旅行」なんて、何が楽しいのか全くわからなかった。
でもおばあちゃんやお母さんはずーーーっと湯につかっている。
私は退屈ですぐに出てしまう。
「裸になって湯の中につかる。」
たったそれだけのことが、大人はなんであんなに好きなんだろう。
と、ずっと疑問に思っていました。

しかし。
わたし、今、温泉、大好きです。
私も年をとったということでしょうか。
先日、大分に行く機会があったので、別府に行ってみました。初、別府。
駅前にもいくつか温泉施設はあるのですが、バスで山の方に登っていくと、まあ、あることあること!生まれて初めて温泉をはしごしました。

まず1湯目は、鉄輪むし湯。
1メートル四方の木戸を開けると、天井が低く、立つことができない8畳くらいの石室が広がっており、温泉で熱せられた床には清流沿いにしか群生しない薬草・石菖が敷き詰められています。そこに8分〜10分ほど横たわる、というものなのですが、これがきつい。中に入った直後から大量の汗が出て来きます。頭がくらくらするほどの熱さです。
木戸の前には係の女性がいて、内側からノックをするといつでも戸を開けてくれます。その時、むし湯にいたのは私ともう一人の20代くらいの女性だけだったのですが、私は5分でギブアップしてしまいました。でも石菖の香りは本当に良くて、できるものならもっと入っていたかった。汗もさらさらで、中から悪いものが出ていっている感じがします。汗だくになった後、内湯につかる。これで500円。まるで天国・・・!
効能:冷え性、疲労回復。
うん。いろいろ回復してきた気がします。
建物の外には、無料の足むしというのもあって、お金をかけなくても楽しめます。別府音頭で「一夜千両のお湯が湧く」という歌詞がありますが、本当にそこかしこから温泉が吹き出ていてびっくりました。歩いていて、道路の端からモクモクと蒸気がわき上がっているのです。

一遍上人、ありがとう。

ここで蒸し湯を作ったとされる一遍上人の木像に手を合わせ、次の温泉へ。
本日2湯目は、明礬温泉。
蒸し湯で冷え性の改善、疲労回復をしたところで次は硫黄泉。
美肌効果を狙ってさらに山奥へ。
外湯と内湯、のシンプルな2つの風呂があるだけなのですが、レストランや売店も充実しているのでここはお客さんが多く、賑わっていました。
入浴料600円。早速入ってみます。

うん。なんだか肌がつるつるになった気がする。
地表から噴出する温泉ガスから結晶を採取するという方法で江戸時代から天然入浴剤を作っているそうで、もちろん購入。これでしばらくは家でも温泉が楽しめます。

これだけ温泉に魅了される日が来ようとは。
やっぱり、年をとったということなのでしょうか。
私の故郷、埼玉でも近年各地から湯が湧き出ていて嬉しい限りです。
正月、実家に帰ったら、隣町の温泉に行こうっと。

みなさんのオススメ温泉も、ぜひ教えてくださいね。

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