三度の飯より寿司がすき volume7

『女の年齢』

「おいくつですか?」
と聞かれて積極的に自分の年齢を答えられますか?
私は答えられません。答えるけど、内心穏やかではありません。
私がこの質問に対して積極的に真実を告げていたのは30歳までです。
(嘘をついたことはないですよ!念のため。)

「妙齢」という言葉がありますが、結局この「妙齢」って何歳から何歳までを指すのかが、いまだにわかりません。
辞書を引くと、「妙齢・・・若い年ごろ。特に、女性の若い年ごろ。」とあります。なんだか、わかるような、わからないような・・・。
「妙」を引くと、「妙・・・いうにいわれぬほど優れていること。きわめてよいこと。また、そのさま。」とあります。ということは、若くて綺麗な女性の年頃、と理解したとして、範囲は18歳~30歳くらいを指すのでしょうか?しかし、最近では年増の女性のことを指す言葉として使う人も多いように思えます。時代とともに言葉の意味が変わってきたのでしょうか。

20代の頃、フランスに旅行に行った際に、現代の意味での妙齢の女性と知り合いました。明らかに自分よりかなり年上の女性に年齢を聞くのは失礼であろう、という頭があり、婉曲的にその人の年齢を探ろうといろいろと質問をしていた私(性格悪いですね・・・)。その意図を察した彼女に、「そんなの何年前でもいいじゃない!私の歳をきかないでよ!」と一蹴されました。
そりゃそうだよなあ、別に誰が何歳だろうと、関係ないよなあ、と、その時私は心の中で猛省したのでした。

そして自分も妙齢となり、あまり自分の年齢を聞かれることが愉快ではなくなってきました。なのに、やっぱり時々やらかしてしまいます。

先日、還暦を迎えたばかりの女性と、数人で雑談をしていました。その中には、他に50代、40代、30代、20代と年齢も様々な女性がいて、そこで芸能人の年齢の話になりました。とある芸能人が今年62歳だ、というような話をしていた時のこと。その芸能人はとても若々しくて、全くそんな年齢に見えない方だったので、思わず「えー!結構いってるんですね!」と言ってしまった私。同年代の女性が目の前にいるのに・・・!
言ってしまってから、「あっ」と思ったのですが、もう遅いですよね。
しかし、まわりのみなさんは「ね~!若いよね~!」などと意に介する風でもなく、そのまま雑談は穏便に続いていきました。
しかしその時私の心の中はざわざわしていて、こんな失言をしたことをすぐに後悔していたのです。

ちなみにこれ、昔初対面の男性に言われてぶっ飛ばそうかと思った一言なんですが(ちなみにその時私は28歳)、自分でも言ってしまうとは・・・!
「結構いってるんですね」というのは、言い方を変えれば褒め言葉なのですが(とてもその年齢には見えない、もっと若く見えます、という意味なので)言われたらカチンとくる言葉ではありますよね。

私が言った言葉は、その還暦の女性に対して、2つの失礼な意味を含んでいると思います。1つは、「60代が、結構いってる歳(つまりおばあさん、的な)である」ということ。もう1つ深読みしてしまえば、「その芸能人は若く見えるけれど、あなたは年相応である」ということの示唆にもなりかねない。そんなこと思ってないのに、そうとられかねない言葉ですよね。

年下と仕事をしている時に、私くらいの年齢の女性をババア扱いしている含みがある言葉を聞く場面に出くわすことはよくあるのですが、私も人のことを言えないなあ、と反省しきりです。
これって、想像力の欠如がもたらす失言だと思うんです。相手の立場に立ってものを考えることができない人が使う言葉。自分に関係ないことって、そこまで気がまわらないことが多いですものね。でも、それではダメだと思います。
私もうっかり失言しないように、今後、気をつけていきたいと思います。

・・・ちなみに、私に年齢は聞かないでくださいね!

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