三度の飯より寿司がすき volume64
『ホットフラッシュ!』
もう6月です。
そろそろ梅雨に入ってきますね。
みなさまいかがお過ごしでしょうか。
今年1月に立てた目標、なんだったっけ……と思ってコラムを読み返していると、いままで抽象的かつ達成できなさそうな目標ばかり立てていたことを反省し「毎月コラムを書く」という一見達成しやすそうな文言に落ち着いたかのように見えましたが、もう6月。こちら今年3本目のコラムです。「隔月でコラムを書く」になっていますね。嘘ついてますね。すみません。ここから巻き返します!
今朝、会議があるとばかり思いこんで早く出社したら誰もいなくて「?」となっているところに「今日は会議無いですよ」と同僚に言われ途方にくれたので今これを書いています。
ここ最近、上半身(特に頭)が急に熱くなる現象が私の身に起きています。しばらくするとすーっと通常の体温に戻るのですが、最初はそれとわからなかった、が、しかし!
SATC(SEX AND THE CITY)のサマンサ現象が、私にもいよいよやってきたのです。
SATCの名場面中の名場面、私の大好きな場面ベスト5にもランクインしているサマンサがウィッグを投げるシーン。この回のタイトルは「女の髪は命 Out of the Frying Pan」。
乳がんの手術を受けたサマンサはがん患者の集まりでスピーチをすることに。化学治療の副作用で髪が抜けたサマンサは坊主にしておりウィッグを被っているのですが、あらかじめ用意してきたスピーチ原稿を皆の前で読み上げている最中、ホットフラッシュで汗だくに。「癌にはなるわ更年期だわ汗止まんないわこんなの被ってられっかっつーの!」と本音ダダ洩れで勢いよくウィッグを宙に放り投げる。するとサマンサを傍で支える恋人のスミス(サマンサと一緒にバリカンで坊主にした)が立ち上がり声援を送る。そして会場にいる女性たちが次々と立ち上がり、自分が今被っているウィッグを次々に放り投げていく……という大感動シーンなのです。
20代の時に繰り返しSATCを観ていた私にとっては「更年期=ホットフラッシュ=サマンサ」だったのです。40代になったら自分もああいうふうになるのかなぁ、と遠い未来を漠然と思い描いておりましたが、とにかく画面の中のサマンサが格好良かった!いざ自分があの時のサマンサの年齢に近づいてもそこまで暗い気持ちにならずにすんでいるのはひとえにSATCのおかげであります。むしろ、「私にもついにきたか~!ホットフラーッシュ!」という、少し楽しい気持ちにもなっているのです。
ドラマや映画など、観た人に少なからず影響を与えるコンテンツの役割はとても重要だと思います。これが「女は年取ったら終わり」とか「更年期とか閉経とか恥ずかしいことは口に出すものじゃない」みたいなドラマばっかりだったら希望も何もあったもんじゃない。平成の日本のテレビではバラエティ番組も含め女性蔑視価値観押し付け番組がたくさん流れていましたが、アメリカは断然進んでいた(もちろん番組、作品にもよりますが)。SATCのような女性によるエンパワーメント系コンテンツを若い頃から摂取できていたことは、私にとって非常に幸運なことでした。
意識していなくても、日常的に目に入ってくるものによって私たちの価値観は形成されてしまう。作る側の責任は重いし、そういうことをきちんと念頭に入れた上で作らなければならないと心の底から思います。私も映像制作の端くれにいる者として、これまでもある程度心がけてきたつもりではありますが、これからますます身を引き締めて精進したいと思いました。
最後ちょっと真面目な感じになってしまいましたが、とりあえず性能の良い携帯扇風機を手に入れて、今年の夏と更年期をなんとか乗り切りたいと思います。