三度の飯より寿司がすき volume6

『女子力ってなんだ』

近所の不動産屋の店前で、気になる物件を見つけました。
風呂トイレ別、2畳ほどのキッチン付きフローリング7畳のアパート。
キャッチコピーが「十分すぎる水周りで女子力高まる!」
どうやら女性限定の物件のようなのですが、赤字で目立つように「大和撫子限定」と書いてありました。
バカじゃないの。

この物件、ガスコンロ2口、風呂トイレ別、洗濯機置き場が部屋の中にある、など「家事のしやすい環境」ということをおそらく伝えたいのだろう思うのですが、出てきた言葉が「女子力高まる」て・・・・・・。これ、普段からあんまりものを考えていない、ボキャブラリーの貧困な、視野の狭い男が作ったフレーズですよね、きっと。(偏見でしょうか?意外と女性だったりするのかもしれませんね・・・)
第一、大和撫子って、どうやって見極めるんですかね?
面白いと思って書いているとしたらかなりサムいです。言い回しもなんかダサいし。
つうかそもそも「女子力」ってなんだよ、って話です。
絶対こんな不動産屋で家借りたくない。絶対。と思いながら毎日この店の前を通っています。(通勤路なんで・・・)

その不動産屋を通り過ぎ、電車に乗り継ぐと会社に着きます。
着いたら着いたで、お昼の時間になります。
私は大体お弁当を作って持参しているのですが、それを広げて食べていると、
「自分で作っているの?すごいねー!」とか、「えらいねー!」と言われることが時々あります。
この、自分が生きていくために自分が食べるものを作ることを他人が褒める文化って、なんなんですかね。いつからはじまったんですかね。
いつも疑問に思っています。
少し口が悪い感じで私の心の内を申しますと、
「てめえで食うモンてめえで作るの当たり前だろうが!」。
しかしそんなことを言っても人間関係が悪くなるだけなので、いつも心の奥底に閉まっております。
すごく手の込んだメニューが入っていてそれを褒める、とかならわかるんですがね。
男性でお弁当を持ってくる人もいるのですが、たいてい嫁(この漢字嫌い)に作ってもらっているのがほとんどです。(自分で作れよ)

一人暮らしのおばあさんに向かって、「毎日ご飯を作ってらっしゃるのですか。すごいですねえ。」とは誰も言わないでしょう。
でも一人暮らしのおじいさんがご飯を作っていたら「すごいですね」とか言われるんだろうな。変なの。

中高年男性によく使われる「お湯も沸かせない」という形容詞があります。あれって「沸かせない」んじゃなくて「沸かさない」だろ、といつも思います。
妻が夫のことを「うちの人はお湯も沸かせない人だから・・・」などと、亭主関白で硬派な男、というような、どちらかというと良い意味で使っている人が時々いるので意味不明です。「人間として生きていく力もないんですよ・・・」と、自分の夫の能力不足を露呈しているようなものなのに。それにそんな男、いまや確実にモテませんしね。

生きていくために食べるものを自分で作る。
それは男だろうが女だろうが同じこと。
自分のことは自分でやろう。小さい頃にそう教わったはずなのに、大人になると自分のことを人任せにするのって、なぜなんでしょうね。

「女子力」という言葉が、掃除・洗濯・炊事などの家事が得意で、身綺麗で、気配りができて笑顔を絶やさない、自分よりも他人をたて、外見だけでなく教養などの内面磨きも怠らない、などの意味を持つのだとしたら、女子だけでなく、確実に男子も女子力を持った方がいいですよね。
こうやって考えると、「女子力」って人間として生きていく力ですよね。生活していく力。ということは、もはや「人間力」。

と、いうことは。
冒頭の不動産屋の広告に書いておくべき言葉は、女子力ではなく。
「十分すぎる水周りで人間力高まる!」
個人的には、これが正解だと思います。

一覧へ戻る