随に(まにま-に)volume23

『一回くらいは』

「まぁ 一回くらいは結婚してみてもいい。」

なんて台詞が自分からも、そして周りの友人たちからも飛び出す最近。

きっと、これは相手を考えずに迂闊に話そうものなら、
「まぁ」なんて、その程度の気持ちで結婚はするものじゃない、だとか
「一回くらい」なんて、そもそも結婚は何回もするものじゃない、だとか
「してみてもいい」なんて、適当にするものじゃありません、だとか
否定的な言葉が聞こえてきそう。

実際、そんな言葉を言われたこともあった。

「結婚願望はある ?」という質問に対して、
「いつかはしたいと思っている」という答えは許されるのに、
(そしてこの手の質問をしてくる人は、大抵この答えに満足気に頷く)、
なぜ、「願望というほどではないけれど、試しに一度してみるのもいいと思っている」という答えは奇異に響くのだろう。

そして、また「しない」という選択の理由として、「結婚があるから離婚もあるし」という回答も相手を不快にさせてしまう気がする。でも実際、結婚を経験しない以上、離婚という経験は存在しない。

最近、交流の範囲が広がったのは自分にとっていいことだが、この手の話題に気軽に答えられない相手が増えた。
今まで交流があまりなかった、仕事相手としての30代〜40代前半のサラリーマンの出現である。
その年代の人が周りにいなかったわけではないが、いわゆる会社員、会社員した人は少なかった。
そんな私に、彼(女)らはとても新規の生き物として目に映る。
初めての出来事と、突っ込みどころも多すぎて、新鮮味に満ちたこの数ヶ月。
言葉には出さず飲み込んだ言葉も多くあった。

その一、やたらと出身大学の話をして、マウンティングをとる→(飲み込んだ言葉)「え、卒業したの十数年前ですよね。いつの話してるんですかー。あと、ランキングトップ3くらいの大学じゃないと、順位結構変わってますよ ?」
その二、、、
止まらなくなりそうなので、これについてはまた別で、観察結果とその感想をまとめたいと思う。

結婚についてはこんなエピソードが。
それは、数名で打ち合わせの後に食事をしたときのこと。
「游さん、何歳だっけ ?」
「28歳に今年なりました。」
「おー、そろそろ結婚して親を安心させなきゃね〜〜 !!」

こんなステレオタイプな会話、比較的結婚年齢の低い鹿児島の田舎ですらおきたことなかったので、びっくりしてビールを吹きそうになった。

「て、こんなこと言うのも今はセクハラか〜 !」

(このセリフも、新たな環境でよく聞くようになった言葉。
私にとっては、気分を害する質問ではないので、この一言で社内の立場が危うくなる可能性があるなんて、気の毒にも思う。
けれど、あたかも免罪符であるかのように「こんなこと言うのは、セクハラか〜 !」を、わざわざ毎度言ってくるのは、少し面倒。
うっかり、こっちが微笑むのを忘れたら、きっとそう言う冗談が通じない相手というレッテルが貼られ、今後コミュニケーションが取りづらくなるのだろう。)

「結婚はしないの ?」

(飲み込んだ言葉)「セクハラ言う自覚はあるのに、続けるのか 」

私に質問が来るまでは、一人はいかに別れた奧様との結婚生活が大変だったかを語り、
他一人は、奥様には嫌悪しかないけれど、子供のために別れることができない不都合を語っていた。
よく、この流れで親のためにという理由であれ、結婚を勧めてきたなと最早可笑しくすらあった。
私はこの流れでは、「離婚するのって大変そうだし」という勇気はまだなく、「いい相手がいれば」と、これまた月並みな回答をしたと思う。
改めて自分で書いていて、なんて薄っぺらい会話をしているんだと、少し悲しい ……

ちなみこのあと、彼らは日本各地の風俗街について情報共有されていました。

彼らが特別低俗だとか、女性に対して意地悪だとかではなく、企業に所属する友人にこのことを話してみると、「そんなもの。」らしい。

もちろん、彼らに私の本音を話したらどんな反応が返ってくるかは、分からない。
冒頭でイメージしていた否定的な言葉ではなく、何か聞いてよかったと思える箴言をもらえるかもしれない。

私は、一緒にいたい人と、いれればそれで良くて、
カップルにとって(税金だとか、海外なら滞在許可証とか)、必要があれば結婚すればいいと思っている。

また、結婚することで、今まで散々心配をかけてきた親が、私という人間に対して安心を得るとは到底思えない。けれど、孫の顔はみせてあげたいと切実に思う。

周りの同世代女子も似たような考えの子が多い。
そういう年頃なのだろうか。これもまた、今時のステレオタイプに過ぎないのだろうか。

今回登場したいわゆる中年の男性陣も、妻あるいは元妻の欠点を話しながら、年下の女性に結婚を勧めるという、矛盾にも思える行動をしたい、そういうお年頃なのだろうか。

また、彼らが話していた独身で焦っている女性の存在。そんな年頃になるときが、私にも数年後くるのだろうか。

世間一般の意見はおいておいて、焦るのがことさら苦手な私。
焦るくらいなら、「一回くらいしてみてもいい。」そんな気軽さをむしろ忘れずにいたいと思う。

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