随に(まにま-に)volume2

『明日は我が身』

こんにちは、游です。

心の距離が近い人だから、よく知ってるから、一緒にいることがしんどいことはありませんか?
私は最近、家族と旅行した際にそれを感じました。

8月末、日本に一時帰国していました。
タイミング良く、オーストリアでコンテンポラリーダンスの学生をしている友人も、久しぶりに帰国中ということで、共通の友人たちが集まることに。

類は友を呼ぶというのは本当ですね。

集まったメンバーは、数年後はベースを海外におこうとしている子、仕事や学業で国内外を動きまわっている子、そして私を含む一時帰国中の2人、等々、、。いかんせん、じっとしていない、否、いられないメンバーの集まりでした。京都らしい町屋造りの畳のある居酒屋で夕食をしたのですが、同席するメンバーと一番長く会っていなかったのは、ダンサーの彼女。一応、今回の集まりの主役でした。でも、彼女はお店に到着した時には、かなりと疲れている様子。再会の挨拶もそぞろに、畳にぐったり座ってしまいました。訳を聞くと、留学先でできた友人が旅行として日本にきており、数日彼女の実家に滞在していたとのこと、その海外の友人と今しがた、別れてきたばかりだということでした。

「いろいろ案内したの? 観光疲れ?」と私が苦笑いまじりに尋ねると、

「ん〜、、もの凄く仲のいい子だから、近すぎてしんどい。観光どうこうっていうよりも。」

と、彼女は答えました。
私は、そこから話を掘り下げず「そういうことあるよね〜」と答え、とにかくその時、彼女が身体的な疲労より、精神的な疲労が溜まっているものと理解し、「美味しいもの食べて元気だそー!」といった感じでやりすごしたのでした。

この、「そういうことあるよね〜」ですが、明日は我が身。
先日、この子の疲労していた姿を思い出す状況に、自分が身を置くこととなりました。

9月上旬に再び渡仏してすぐ、10日間ほど実の母と姉がパリへきました。

母にとっては初の海外旅行、姉にとっては久々に有給をとっての旅行、2人に素敵な時間を過ごしてほしいと心から思ってはいたものの、2日目には2人に対して不満がある自分に気づき、とうとう6日目あたりにはストレスで胃腸炎になりました。
(ストレスで体にここまでの変調をきたしたのは、かれこれ部活に必死だった中学生の頃に、10円禿げを作って以来でしたので、自分でもちょっとびっくりしました。)

シェアハウスも現在進行形でしていますし、自分、そして冒頭にあげた友人たちがノマド的生き方をしてるため、数日人を自宅に泊めたり、泊めてもらったりと、人と四六時中居ること自体は、苦痛ではない性格の自分です。でも、今回はなぜ、と考えると、やっぱりダンサーの友人がさりげなくいった、「近すぎて」しんどい、というのがしっくりきます。言い換えると「相手のことがわかりすぎて」になるのだと思います。

ちょっとした表情で、思ってはいるけれど相手は口に出すつもりではないことが何と無く分かってしまう。
片や空腹 (3時間前までは鴨を食べるといって店も決めていたのに、ハンバーガーが食べたいといきなり言い出す)、片や疲れが足にきていてもハイヒールを履いてパリを歩きたい。些細な、本当に些細な、でもその人が譲れないことが分かってしまっているから、そしてそれを、海外旅行という滅多にない状況上、叶えてあげたいと思う自分もいたために、

中3泊4日で行ったバルセロナで、ほぼスケジューリングを丸投げされ、「私はバルセロナに住んでないだから! なんならパリも住んでるとはいえ、私からしたら海外なんだから! 」と、何かが胃の中で爆発したのだと思います。

友人とも旅行することはあるのですが、割とそれぞれ自分たちで予定を組み、都合が合わなければ、別行動というスタイルが、かなり自分にも適していたことに気がつきました。

フランスでちょっとしたアテンドのお仕事もさせていただいている手前、家族という身近な存在でこんなにきりきりなってたら、仕事としてなんてやっていけない、といった自己嫌悪も悪循環にストレスになっていたと思います。

後日この話を、アテンド・通訳業を本業としていて、私が密かに仕事の面で目標にもしている友人に話したところ、あっさりと「逆でしょ。身近だったからしんどかったんでしょ。私、家族と自分が全部主導で旅行10日なんて絶対したくないもの。」と返されてしまいました。もちろん、この意見に対して賛否両論あると分かっていても、
そのお言葉、旅行の前に私に聞かせてあげたかった……!

そして、逆もまた然り、身近な誰かの胃の中をかき混ぜたりしないように気をつけようと思ったのでした。

そして、居ると少しばかり疲れてしまうのだけれど、2人が帰ってしまったらこんなにも寂しい自分自身も大概やっかいだな〜。

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