随に(まにま-に)volume16

『シェアハウス』

3ヶ月ほど前に帰国しました。
やっぱり私には日本が一番、としみじみです。
蒸し暑さだけはどうにかならないものかとは日々思っています。きっと皆さんもですよね。
ここ数週間、フランスの友人知人が夏のバカンスを利用して遊びにきてくれましたが、
うだるような暑さに、観光に同行するのにも気合がいるほどです。

帰国後すぐは、京都の友人宅への居候を拠点に、京都と東京の間をノマドに行き来する生活でした。

何を隠そう自他共に認める、重度の寂しがりな私。
気を許せてなんでも話せる、女前100点の友人宅での居候は快適満足そのものでした。

朝早くから家を出て、遅くに仕事を終える彼女の帰りを、豚汁やなめこ汁を作って待っているのは、楽しい時間でした。私の料理のレパートリーの無さも同時に露呈し、1人反省してしまいましたが。

居候生活、ずっとしていたかったところですが、
当初から居候もひと月の予定でしたので、渋々と帰国前に一度コンタクトをとっていた不動産に会いに行くことに。
結果、1件目の内見先のシェアハウスに決定しました。

6、7人にそれぞれ鍵付きの個室があり、リビング、浴室、トイレ、キッチン、洗濯機等が共用の住まいです。
数年前に居候先の友人とアパートのシェアを考えたこともあれば、パリに住んでいた頃は、ホームステイのような状況だったため、人と住むことに抵抗はほぼありません。
それでも、実際に日本でソレをするのは初めてだったので、入居までの数日はわくわくでした。

結果、シェアハウスを選んだことは、私にとって大正解でした。

朝、いってらっしゃいと言ってくれる人がいること、
帰宅時に、おかえりと言ってくれる人がいること、
休日に今日なにするの?  と尋ねてくれる人がいるということ、最高ですね。
正直、友人に料理を作って待つことを楽しんでいたことも含めて、早く自分は結婚した方がいいのではないかと、強く思います。

ただ実は、わくわくしてたという前述の内容に反して、入居後数日は居候先の友人がすぐさま恋しくなり、わざわざ職場からより遠い彼女の家に帰っていました。
我ながら、客観的に考えると、早よ鍵返せよ、とその時の自分につっこんでしまいそうです。心からありがとう、友人。

それでも、最初の1週目が過ぎるころには、他の住居者とも仲良くなり、現在では人に自慢してしまう京都の我が家です。

もちろん、こんな風にいえるのは、人に恵まれたということに尽きると思います。
男性も女性もいて、学生と社会人、フリーターと様々です。
国籍も基本的には問わないようで、私の入居の時点では中国出身の子が男女共に一人ずついました。
加えて今は私が紹介した、フランス人の女の子も短期間だけ住んでいます。

中国の二人とは特に仲がよく、最近さぼり気味ですが、この環境はチャンスだと思い入居後すぐから、中国語を教えてもらっています。
女の子は、私が桃を好きなことを話して以来、中国語で桃をさす、〝タオ ズー〟と私を呼んでくれています。日本語がとても上手で、少しだけ発音にアクセントがある彼女が、「タオ ズー おはよう」、「タオ ズー 元気? 」と声をかけてくれるたびに、優しい気持ちになれます。
男の子の方はというと、最近私のことを〝呑兵衛〟と呼んできます。
決して毎日飲んでいるわけではありません。
ただ、外で食事をして飲んで帰った時や、夜にビール片手に食事を作っている時に、偶然にもその子とリビングで遭遇することが多かったからでしょう。そしてその子自身が、お酒通で、新しいワインやウィスキーを飲む時に、シェアメイトに声をかけてくれるのですが、そのお誘いにのっかるのが私だからでしょう。
最初は、「呑兵衛じゃありません、タオ ズーです〜。ピーチです。ピーチ。」なんて、反論していたのですが、つい先日私がリビングでパソコン仕事をしていたところ、
「飲んでるか、勉強してるか、仕事してるのしかみたことが無い」と言われ、なぜか褒められた気になってしまいました。なので、しばらくは私の呼びかたに関しては野放しにしておこうと決めました。
でもしばらくは、です。今後、新しい入居者がいた際に、そう呼ばれていることで誤解が生じるのはいけないので…

まぁ、そんな感じで楽しく過ごしていて、私はみんなに勧めたいのですが、シェアハウスというものが根本的に気持ちの面で無理な人もやはりいるのだなと、それもまた住んでいる中で実感したことです。
というも、3日で出て行ってしまった方もいたからです。
海外に行かれるまでの数ヶ月住む予定で入居してきたものの、仕事後にリビングに人がいるとどうしても緊張して入っていけず、シェアハウスは合わない、と判断されたようです。私が実家に帰省中のことですので、お会いすることもありませんでした。他の入居者も見たことがなかったと言っていたので、相当顔を合わせるのを避けていたのでしょう。

そんなちょっとした事件も含めて、私にはとても新規なことに満ちた素敵な環境です。

19歳の学生2人の会話や、相談事をききながら、懐かしい気持ちになって、自分がだいぶその子達からするとおばさんだろうと思うこともあります。言っている事がいまいち、理解できないことも。
中国語を学んだり、今まで食べた事がないくらい辛い(けれど、つい箸をまたのばしてしまう)四川料理を食べさせてもらったり、おばばな気持ちになったりしながら、共同生活を楽しみたいと思っています。

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