随に(まにま-に)volume17

『親戚の男の子』

「弱り切っているときに、真っ当な事言われても、まじなえるだけだよ。まじむかつく」

こちら先日、久しぶりに実家に帰り田舎の法事に参加した際に耳にした言葉です。
この言葉を発したのは、遠縁の中学生くらいの親戚の男の子。
彼との細かい繋がりは分からないのですが、確実に血縁らしく、改めて小さな田舎に帰ってくると親戚ばっかりだなと実感です。
蛇足ですが、10代分さかのぼると1,000人以上は先祖がいるという事なので、人が外に出ても外からはなかなか入ってこない、この田舎にいる人たちは広義で言えば全員血の繋がりがある、親戚なのではないかとふと思いました。

さて、この男の子がなぜこの言葉を発するに至ったかの経緯は未だにわかりません。
おそらく何か目の前にいたお母様とおぼしき人に対しての反論だったのでしょう。
このセリフだけ、感情が高まったのかやけに声を張っていたので、近くの畳の上でぼけっとしていた私の耳に届いたのです。

その時も思ったのですが、こうして改めて文字にしてみても
なんて的確にありのままの気持ちをぶつけている返しなんだと関心してしまいます。

私がそう思ったのに対して、何がきっかけの口論だったかわかりませんが、
今度は、言葉遣いや、親に向かってむかつくなんて、とぐちぐちと続くお説教。
お母様の口調もヒートアップして、口論の収集が迷子になっていました。

確かに「まじ」なんて2回も言わなくてよかったし、
最後についでに感情的にでた「むかつく」はいらなかったよね。

分かってても、私も今だに親に似たような反論、未だにしちゃうんだけどね。
外では、頭の中でどんな悪態ついてても、黙ってその状況楽しめるくらいにはなったのにね。
私も長期で実家に帰ったのが久しぶりで、無自覚のうちに生活や考え方のテンポが実家にいた頃のそれと随分変わっていたようで、母と度々ぶつかりました。
その中で、母親に「外面ばっかり良くなって!!!!!」 とそれこそ感情的に叫ばれた翌日、父が会話の後に母に「外面ばかりいいもんじゃ…」とため息混じりに言っていたのを耳にしてしまい、母の顔を見ながらニヤニヤしてしまったのは忘れられません笑 
他の家を知らないので比べようはないのですが、我が家はとっても仲が良いのだと思います。

ただ言い方はナンセンスだったにしろ、彼の言ったことの内容は、確かになんて正論、とすっと言葉が入ってきました。

彼のように自ら、自分の擁護をすように言ってしまうと、今回のように残念な展開になってしまうのでしょうが、人と接するときは大事な考え方だと思うのです。
でも、つい日常の中では、社会の中の”当たり前”だったり、他者にまで”完璧”を求めすぎてしまい
忘れてしまいがちな、思いやりのある考えかただと思います。

中学生ぐらいだし、勉強のことかな、部活のことかな、誰かと喧嘩でもしちゃったのかなと、考えてしまいます。
そうすると、勉強にしろ、部活にしろ、人間関係にしろ、親に詰められて、どうしようもない気持ちになった中学時代の思い出が蘇りました。

例えば、部活。バレーボールをしていました。祖母、母、姉と同競技をしており、大会会場には声援を送りにというよりは、指導しにきていました。大会会場ではまず監督、コーチにコートの上で怒られる、次に同じことを休憩所で言うてくる母。そして、時にそれは、帰りの車の中や、家に帰ってからも続くことがありました。便乗する、別競技で高校卒業後に実業団に所属していた、スポーツに異様に厳しい叔母、等々、何故か部活動の時間より、家で泣くことの方が多かった気がします。逃げ道を作るように、同じく応援に来てくれていた、母が所属しているママさんバレーの監督が、気を使って、母も来るのに私の送り迎えを買って出てくれるほどでした。

時間を遡ってあの頃に第三者として現れることができるのなら、
「もうすでに怒られてたの見てたじゃん? そのミスについては、もう分かってるんだし、弱り切っている時にそんなに真っ当なこと言わなくてもいいじゃない。それより、気持ちを切り変えれる言葉を与えてあげて」と、監督とまるで同じことで私を叱る母に言いたい。

相手の気持ちを汲み取って、言葉をかけてあげる。
それこそ当たり前にようなことで、実際しようと思うと難しいですね。
正論返せば良いってもんじゃないって言うのは分かっていても、ついついってことも。

逆に叱られともしょうがない、見放されてもしょうがないと思うような謝罪をしなければならない時に、想像していたように叱られたりするより、優しい言葉をかけてもらったりした方が、頑張ろうって思えたり、相手への信頼度が上がること、私はたくさんありました。
私もそんな人に対して余裕のある姿勢を持てたらと思うのですが、変わるって難しい。

大事なことを改めて考えさせてくれてありがとう、遠縁の男の子!!
いつになるか分からなけど、また法事で会えたら、素直な君ととてもおしゃべりしてみたいと思ってます。

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