パリのマダムの・・・ volume98

『Fleur de lait 乳の花?!』

前回、『塩』 のお話で登場した 「Fleur de selフルール・ドゥ・セル」
今回は『乳』 のお話で 「Fleur de laitフルール・ドゥ・レ」 です!

Dessert glacésデセールグラッセ 『冷たいデザート』 を買おうと
MOF(国家最優秀職人章)を持つChocolatierチョコラティエ 『Christian CAMPRINI』へ。
https://christian-camprini.fr/catégorie/nos-patisseries/nos-desserts-glaces/

我が家では夏の定番、Solbet Citronレモンシャーベットと
名前が気になったFleur de laitミルクアイスクリームを買ってきました。

フランスでCitronシトロン(レモン)といえばMentonマントンが有名。
16世紀から栽培されていて、今では大ぶりのレモンが年間200トン近く生産されている。
マントンでは、毎年2月~3月の長い期間(カーニバルの時期)に
Fête du Citron レモン祭り というお祭りが開かれます。
https://www.fete-du-citron.com/

夫はこのマントン産Citronのシャーベットが大好き。

私はシトロンより、Citron vertライムの方が好み(^_-)
でも、一番ハマっているのは、Mandarineマンダリン。
甘さ加減とさっぱり感がたまらない。

さて、このエッセイの表題になっているFleur de lait
あまりにも一般化してしているFleur de sel
Lait と  Sel の違いだけなのに、聞き慣れない感がハンパない。

でも、気になったのは Lait と  Sel の違いではなく
”Fleur” の訳し方の方。
直訳したら 花
だからFleur de sel = 塩の花
だとしたら、Fleur de lait = 乳の花 ?!

日本語話者サイドから見ると、実は疑問点はソコではなく…
塩は元々 “波の花”と呼ばれ
それが転じて、今では“塩の花”とも言うようになったので
直訳したらFleur de vague
疑問はSelとVagueの違いの方が気になるところ。

様々な疑問と向き合うべく
最近すっかり、積ん読専用となった厚さ6cmほどの
使うと手首へのダメージが非常に大きい 大修館 仏和辞典を引いてみる。

あった、あった、これよ、これ!
fleur de farine 「極上の小麦粉」
fleur de civilisation  「文明の粋」

ということで、fleurは、必ずしも花とは訳さない。
fleurには極上品という風にも訳せる
これがとっても重要なのね。

Fleur de sel は「塩の花」だけど「極上の塩」

Fleur de lait は「乳の花」ではなく「極上の乳製品」と訳すのが
日本人にはスッと入るのでしょうね。

Fleur de laitは元々、イタリア発の言葉
Fior di latteフィオル ディ ラッテから来ています。
フィオル ディ ラッテは、牛の全乳を使って作られるフレッシュチーズで
モッツァレラチーズの一種。
別名、「ミルクの花」。
Fior di latteの直訳ですね。

またまた、話は逸れますが
日本のソフトクリームの形状をしたアイスクリームを
フランスでは、なぜか
glace à la italienneイタリア風アイスクリームと呼びます。

かなり寄り道しましたが、戻って
Fleur de lait という名のアイスクリームのお味は…
というと
ヨーグルトよりバターミルクって感じかな
でも、このままだと何かちょっと物足りない…
そういえば店員さんが
「ベリー系やショコラソースと合わせると最高よ」
と言っていたのを思い出した。
そういう事なのかしら。

まぁ、つまるところ Food is palatable.
『口に合うか合わないか』っていう話で
正に味わいは嗜好性なのだと、実感。

ところで、私には忘れられないミルクアイスクリームがある。
ミルクアイスクリームを食べる度に
忘れられないあの味と、無意識に比べている。

で、結果、今日に至っても、脳の刷り込みは更新されないまま…
例のあのアイスクリームがNo.1のまま。

「あーあ、食べたーい!!!
例のあのアイスが食べたい!!」

嗜好の針がマックスまで振り切れた瞬間
思わず口をついて出た言葉でした。

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