パリのマダムの・・・ volume94
塩の話 その2 『テロワール』
「旨味たっぷり、天然の……」
と形容詞がつくだけで、気持ちが揺らぐものだが、そこに、
「フランス最高級…」
と “フランス” 要素がつくと、
それをゲットすることによる高揚感はハンパなく、
もはや、脳は、オキシトシン満杯な幸福状態
『たかが塩 されど塩、いやいや“フランス”の塩よ』
と言うのが、イントロのレジュメでした。
ということで、“フランス”の塩のお話を。
日本同様、フランスも塩と一口に言っても種類はたくさんありまして
その中で、海塩の二代横綱といえば、
前回登場した、地中海のカマルグ産と、
ブルターニュの大西洋の塩、ゲランド産です。
更に、もう少しボルドー方面に南下すると、
Ils de Ré イルドレという島があり、そこの塩も有名です。
海の塩だけでなく、岩塩を含むフランスの塩
どんな塩がどんな料理に合うのか
など、語られることは多いけれど
最後はどれが好みかという話になるのだと思います。
フランスのワインを語るときに、
terroirテロワールという表現を使いますが、
お塩も然りで、
その地方の地理、地勢、気候による特徴や、伝統製法もあり、
当然、ミネラルやオリゴ成分の配合の違いがあります。
しかしながら、個々に身体自体が要求するものも違うはずで、
そこは、天の声や鶴の一声、他者の評価ではなく、
自分の味覚 というか、好みだと思うのですが…。
フランスでは、家庭料理で使う食塩は、大きく3種類に分けられて売っています。
1)gros sel グロセル
grosというのは、大きい、太い、重い、という意味で、selが塩の事。
時間をかけて塩分を溶かす料理、パスタを茹でるときや、
鯛を塩で包んでオーブンで焼く(日本語の塩釜焼き)時もこの塩を使います。
2)sel fin セルファン
finというのは、grosの反対で、細かい、薄い、小さい、という意味合い
一般的な塩で、広範囲に使われるもの。
粒が小さいので、空気中の湿気を吸わない、ということもある。
3)fleur de sel フルールドセル
fleurは花で、つまりは、塩の花、小さなクリスタル状になっている。
調理ではなく、むしろ料理の仕上げ、またはテーブルソルトとして使われる。
さらに、sel humideユミッド(湿り気のある)とsel secセック(乾いた)という
カテゴリーに分けられます。
天然の海塩は、ほぼsel humideで、いずれもミルは使いません。
ミルを使うのはsel secのみ。そのほとんどが岩塩で、海塩でもミル用に精製された
sel secもありますが、使う塩によってミル自体の材質を選ぶので要注意です。
イントロで、フランス好きの女子たちによって購入されていた塩はfleur de sel。
値段的にも一番高級ですが、それは、時間と手間がかかっているから。
当然と言えば当然、日本の塩も、いや塩だけでなく、全ての品がそうですよね。
塩田に溜められた海水が日干しにされ、そこに風が吹いて、塩が固まる、
という太陽と風のなせる技であり、
収穫は、人の手でなされ、一切、精製をしていない天然塩だから、ということです。
大抵の場合、料理の仕上げに使う、と書いたけど、
チーズやサラダはもちろん、
デザートのお菓子にちょっと散らす、ということもあります。
日本で、和菓子を食べる時に、塩昆布を添えるのと似ている気がします。