パリのマダムの・・・ volume90
『お茶に纏わるアレコレ その2』
お茶は、初めは薬として、その後、飲み物になった。
お茶にも良し悪しがあるというのはわかるし
水と熱(煮沸)がミソなのだけど
高貴な品質を出すには
やはり、名人のお手並みを必要とするものだと思う。
素人意見で恐縮だが
お茶の世界観は、茶室にある、と
個人的にはそう思っている。
茶人の才こそが、日本文化におけるマイナスの美学を生んだ、と思うし
茶室は、狭いながらも、否、狭いからこその様々が
多くの茶人の美意識を刺激したはず。
実は、親友が嫁いだ家は
茶道のために建てたという
まさに「好事家数寄屋」の風流の極みの家。
庭には茶室(庵)もある。
義母の生前には、多くのお弟子さんが集まって
定期的に本格的なお茶会が開かれていた。
そういう事なので、茶器のコレクションも半端なく
博物館級のものも…
日本にいる時は、親友を訪ねる度に、目の保養をさせてもらっていた。
ところで、その母家には、お茶事用の広間があり
パリの我が家からお嫁入りさせた
スペインゴチック風、というよりむしろ、王党派?
アイリスが彫られた、アンティーク家具が鎮座している。
日本と西洋の風流が合体しているユニークな空間
ある意味、一種の茶気を醸し出す、と思ってしまった。
さて、親友の一人息子は、そのおばあちゃまの影響で
幼い頃から、茶を嗜み、なんと茶道のみならず華道の師範までとってしまった。
しかも、その道は趣味で、実はスポーツ万能な東大卒。
今は、「就職したいランキング」や「就職倍率ランキング」などで
毎年、外資系コンサルと共にトップ10にランクインする日本企業で
世界を相手に働いている。
私が、こうして大々的に親友の息子推しをするのは
良き日本人というものは、本来こうだ、こうあるべき
を体現していて見惚れるから。
なのに、本人も家族も、そうした事実を表に出すことを異常にはばかる。
それもそのはず、昨今の日本 、
文化教養のレベルの高い成功者を妬み
顔の見えない、責任のない、関係のない第三者が
嫌がらせ紛いの攻撃を発信をするという下品な風潮がはびこっている。
そういう行為が自らを蔑むことにすら気づかない
実に嘆かわしい。
結果、親友の家族は、普通にしているだけでも
嫉妬の矢面に立たされかねず…
「君子危うきに近づかず」なのか
「李下に冠を正さず」なのか
その経歴や努力を水面下に隠し過ごしている。
この、おかしな風潮は、外のお国からの影響 「皆平等論」のせいかもしれない。
なぜなら昔の日本人は、階級社会にあっても、もっと毅然として、素直で、懸命だった。
だからこそ、本質を知るべく、様々な「道」が生まれ、高みを目指したと思える。
因みに、影響を与えてきたであろう外の国の一つで暮らしていると
人々は、案外、平等と階級をうまく使い分け、自己主張はするも
思いの外、受け入れも素直である。
そして、彼らの日本に向く目は、日本社会の醜態はほぼ知らず
“日本良いとこ一度はおいで” と憧れの国になっている。
歴史ある文化や建築への憧憬に留まらず、自然の豊かさを愛で
さらには日本語というかなり特殊な言語まで興味を惹いて
一昔前には考えられなかった関心が向けられている。
なんという逆転現象だろうか。