パリのマダムの・・・

『足と脚』

女性は靴が好きだ。イメルダ・マルコス(知らない人もいるかな? フィリピン第10代大統領フェルディナンド・マルコス夫人)やセリーヌ・ディオンの3000足に及ばずとも、クローゼットに入りきらないくらいたくさんの靴を持っている人も多いと思う。

何とかして自分の脚を綺麗に見せたい女心がある。靴を選んでこそのトータルファッションだし、靴をメインに洋服を決めることもあると思うが、靴は個性を反映する。

私は左足の親指の骨が突起した外反母趾で、高いヒールの靴は長時間履いていられない。そこで靴選びにはいつも難儀するが、常に靴に魅せられ、新しい靴が欲しくなる。

そもそも、靴は足を隠すが、足は”欲望”の対象にする力を持っているのだという。
洋画の”お熱い”シーンで、洋服を脱いでいるのに靴を履いたままベッドイン、なんてのも見かけたことがあると思うが、どうやら「靴を脱ぐ」行為は、エロティズムのオブジェにもなるようで、フェチ用のこんなオブジェも売っていて、驚き!
https://www.amazon.fr/Fétiche-Fétichisme-moule-égyptien-romain/dp/B07P852Q38

精神分析学の創始者たるフロイトによれば、足を覆う靴は、女性にとって男根の代用物で、要は、ペニスを持たない女性の強さの象徴なのだそう。まあ勝手な連想ではある。

私は、無い物ねだりか、美しい足・脚が好きだ。これもフェティシズムの一種なのだろうか……理想は、適度な筋肉質で、骨っぽく、少々男性的な感じもする”脚”、が好みだ。

というわけで、前置きが長くなったが、
フランス語だと、足はpiedピエ、脚はjambeジャンブ、英語なら、足はfootで、脚はleg。でも日本語だと、音では「足」と「脚」を区別できないし、そもそも日常では、「脚」の部分を含めて「足」と言ってしまうなど、曖昧に使っているように思う。

脚は第二の心臓とも呼ばれ、心臓や肺の動きを活発にする。脚(足)を動かす筋肉運動によって循環系に働きかけ、体液停滞(むくみ)を防いでいるが、足(脚)の不具合で他の部位の様々な病因が起きてしまうことがある。そもそも手と同じく足にも利き足があって、それが左右の不均衡を起こし、全身の歪みを引き起こすと言われている。

フランスには足病学の専門家Podologueポドローグ(足の整形外科医)がいる。姿勢障害、
嚢炎、神経痛、筋肉痛、変形性関節症などを是正し、症状を回避ないし軽減する処置を
行うほか、靴のインソール、オーダーメードの靴などのアドバイスもしてくれる。

日本では、しばらく前から、シューフィッターなどの職業も登場しているようだが、専門医というカテゴリーはあまり発達していないように思うが、どうだろう?

履物は、足の保護が基幹だが、目的と用途によって、正しく選ばなければならない。
靴を選ぶ時は、誰しも、足のサイズと幅を基準にすると思うが、侮れないのが、足の形だ。
フランス人は、エジプト型が多く50,8%、次がギリシャ型で23〜31%、3位はローマ型で6〜27%、という統計だ。世界的にも、この3つがメインのようだ。


フランスで製造される靴は、スタンダードな足の幅にエジプト型をベースにしたモデルになっている、という。従って、エジプト型の人は、先の尖ったものも、丸型のものも、どんなタイプの靴でも履ける、ということになる。

ギリシャ型は、親指より2番目が長いので、先が尖っているか、丸い形になっているものが適応し、四角い形のものは合わない。

ローマ型の四角いタイプは、一番靴選びが大変ということになる。もちろん、つま先が細く尖ったものは合わないだろうし、先が丸いから良い、というわけでもないので、つま先がある程度自由に動くようなものを選ぶ必要がある。

日本人に多いのが、エジプト型で、欧米人に多いのがギリシャ型だというが、我が家は、夫も娘もエジプト型で、私がギリシャ型である。

指の長いギリシャ型の足は、性的倒錯の対象になりやすいそうだが、先に書いたように、私は外反母趾の上に、足指にマメの跡が残っているところもあり、美しくない。夏の季節、靴を脱いで素足になるのは結構勇気がいる。

日本の食事処では、畳の部屋に上がるために靴を脱ぐことがよくあるが、スペイン人の友人が戸惑ったことがあった。「靴を脱ぐ」行為は「洋服を抜く」行為に匹敵するという。
言われてみれば、確かに裸を見せるような気がしないでもない。

さて、足は人間の基本的な移動手段だから、様々な表現が生まれたのが興味を惹く。

日本語では、乗り物を使おうが使わまいが、どこかへ行くことを「足を運ぶ」と言い、
訪問が減ることを「足が遠のく」、遠方に赴くことを「足を伸ばす」という。移動手段がないことを「足がない」と言い、物事や人の進行を妨げることを「足止め」と比喩する。

暴力団から離脱することを「足を洗う」と表現するが、ローマ法王が犯罪を起こして収監されていた受刑者に対し、直々に「洗足式」を行ったと言う逸話も興味深い。

もちろん、フランス語にも「足」を使った表現がいろいろある。
例えば、comme un pied (足のように)は、”très mal(=very bad)”と言う意味で、
– Elle chante comme un pied. 「彼女は歌が下手だ」となる。

avoir un pied-à-terre は、
terreは土地を意味し、「地に足がつく」意かと思いきや、「別荘を持つ」ことを意味する。
– Nous avons acheté un petit pied-à-terre à Cannes, à 5 minutes à pied de la côte.
私たちはカンヌに小さな別荘を買ったが、海岸から徒歩5分の場所だ。

ついでに、”pieds noirs” ピエ・ノワー(ル)という言葉。直訳すると「黒い足」になるが、マグレブ(北西アフリカ地域) の、特にアルジェリアからの移住フランス人を指す。

北アフリカ植民地初期に移住したヨーロッパ人には、軍人が多く「黒い靴を履いていた」ため、現地人と区別した呼び名がついた、という説や、ワイン醸造のためのブドウ栽培、その過程でブドウを踏む農民たちの足が黒く染まっていたから、という説もある。

アルジェリアとフランスの関係は、植民地時代や戦争の傷跡が深く、政治的に一筋縄ではいかない。さらにレコンキスタ(再征服)時代、北アフリカに移住したセファラットユダヤ人も絡んで、フランスとマグレブ諸国間に移民問題の複雑な側面がある。

フランスの全人口の30%くらいは、そうした帰還者になるようで、彼らの話すフランス語には独特のアクセントがある場合もあり、それとわかることも多い。裕福な人も多い一方「移民」として差別の目が向けられることもあるが、彼ら同士の結束は深いようだ。

「異邦人」を書いたアルベール・カミュ、モードのイヴ・サンローラン、歌手のエンリコ・
マシアス、プロドライバーのピーエル・ラルティーグ、思想家のジャック・アタリ、政治
家で元首相のドミニック・ド・ヴィルパンなど、有名人は枚挙に遑がない。

最後に、同サイトの司寿嶺さんの領域にお邪魔して、『足占い』?!
スペインの整形外科医が古代エジプトやギリシャの彫刻や絵画などを調べ、そこに登場す
る人物の足の形を徹底的に分析・分類し、その結果を、中国やインドの古い歴史ある占い
に当てはめて、足の形から性格診断をしたものだそうだ。参考までに一例を挙げる。

『エジプト型』 ロマンチストで理想主義、孤独で、アーティスト的。
        気分に多少ムラがあり、集中力に欠ける一面もある。

『ギリシャ型』 リーダータイプで野心的。才能もあり想像力も豊かだが、完璧主義で、
        我儘、亭主関白・かかあ天下の傾向もある。多くのアスリートの足。

『スクエア型』 遊び心のある人で、素直でシャイだが社交的。好奇心が強く、成功に 
        つながる粘り強さがある。

当たるも八卦当たらぬも八卦?!

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