It’s a 笑 time!

Episode 14

今回は秋の味覚のお話。

パリやフランスを旅した人なら
街頭で、“焼き栗”を売っている光景を目にしたことがあるのではないでしょうか。
真っ黒だったり半焼けで硬いのも混じってたりする
実に素朴な皮付きの焼き栗
仏語では、marron chaudマロン・ショ「熱い栗」と言います。
(焼き栗⇒熱い栗 まんま…ですwww)

ところで
marronマロンと聞けば、わかる人も
châtaigneシャテーニュと言われたら
急に???となるのでは…

両方ともフランス語では『栗』なのですが…

マルシェで、栗を買ったら
ある時は『マロン』と言われ
また、ある時は『シャテーニュ』と言われて…困惑

だって、そんなに見た目、違わないし。

で、実際はどう区別するの?
というところから
若い頃の失態が、蘇ったところから
このお話はスタートしまぁす。

パリから電車で20分くらいの郊外
ナポレオンの最初の妻ジョゼフィーヌが愛した館がある
Rueil Malmaisonリュエイユ・マルメゾンという町に住んだことがある。

森を散歩していたら、あちこちに“見た目「栗」”が落ちていて
おっ! これは栗ご飯を作れという神のお告げか?!
(大げさな…ですよね)

かなりテンション高めで、たくさん拾って、帰宅。

まずは茹でて食べてみた

…にっ、にがい……

お砂糖や蜂蜜をかけてみたりしたが
どうやって食べても…まずい…

後から知ったチョー怖い事実…
栗だと思って食べたその実
消化不良や、腹痛、吐き気を起こす毒物指定になっているモノ
実はこれ、日本語でいうところのマロニエ
西洋トチノキの実だったのだ。

ややこしいのは
marronマロンのなる木もMarronnierマロニエ…ということ。
因みにchâtaigneのなる木はchâtainnierシャテニエという。

さて、皆さまはマロングラッセ、知ってますよね。
フランスでは一般的に、特別な時に食べるイメージのあるお菓子。
特にクリスマスには、ドル箱(ユーロ箱?!)商品 !
有名メーカーは、生産が追いつかないくらいなのだそうで。

このお菓子、そこそこ以上に可愛くないお値段がします。
でも、高価なのには、訳がある。
その訳、実はマロンとシャテーニュの違いに隠されていたのです!
(今回はどうも大げさになりがち?!)

栗のイガを取り除くと
大きな実が一つの場合と、小さい実がいくつか入っているものとありますよね。
次に、その皮を剥くと
割れ目というのか、仕切りのある場合とない場合があります。

図のように、これが、マロンとシャテーニュの違い。

で、marron glacéマロングラッセには
その、大粒で、実が固く、仕切りのないものを使う。
というのも、仕切りがあると、崩れやすく
あの一粒で形も味も“栗~ぃ”というモノは作れないからなのです。

そのため、フランスでは、大粒のマロンを品種改良して栽培しています。
(接木した)栗の木から取れる栗で
一般的には、大粒のシャテーニュをマロンというようで
(あ~、どこまでもややっこしい…)

詳しくは、仕切り率12%ぐらいのものをマロンと呼び
特に、マロングラッセに使う栗は
仕切り率5%以下のものを使うことが多いらしいのです。

原材料が希少なので高価なのも頷けますよね。

その上、このマロン
イガから取り出しマロングラッセにするためには
多くの工程を経て20日間くらいかかるのだとか。

先ず凡そ1週間は水に浸して
水面に浮かび上がってくる欠陥品をより分ける。

さらに、そこから、ナイフで外皮を剥き
1~2日、また水に浸ける。
しぶ皮をはがして栗を一つずつガーゼで包む。
それをお鍋に入れてシロップを加えながら煮しめていくのだが
加えるシロップの糖度を変え
煮て、冷ますを5日~1週間繰り返し
その後、一つずつガーゼをはがし…
と大変に手間がかかる。

これら多くの製造工程が、マロングラッセを高価にしているもう一つの理由。

マロンクリームは作っている途中で形が崩れてしまい
販売できなくなったマロングラッセから生まれた…
という話もある。

最後におまけで…
毎年時期になると決まって繰り返される話題のことを

フランスでは marronnier(マロニエ)
イギリスでは chestnut(チェスナット)
アメリカでは evergreen(エバーグリーン)

って言うんですって…。

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