It’s a 笑 time!

Episode 13

とある夏の終わりの午後
娘と二人でCannetカネにある
『ピエール・ボナール』の美術館に行ってみた。

CannetカネはCannesカンヌの北側にある地区で
カンヌ駅からバスで行ける。

モネにとってのジベルニー

マティスにとってのニース
って感じで
ボナールはカネをとても気に入って、晩年を過ごしている。

この美術館は2011年6月25日にオープンした比較的新しい美術館で
世界に一つしかない。

バス停の目の前、入口を入ると、のっけから、楽しい雰囲気になった。

セキュリティがあって、ポシェットを乗せると、
(ご覧の通り、光シルバーのポシェットだったのだが)

「わあっ、素敵!
その“まばゆい”バックを開けて、中を見せていただけますか?」

にこやかにそう言ってくださったのは
セキュリティによくいる、威圧的なガードマンではなく
スーツを着た紳士的な叔父様だというのが、また良いではないですか。

チケット売り場には混んでるというほどではないが、人が待っていた。

すると、
「ショップでもチケットが買えますので、そちらへどうぞ」
と笑顔で案内もしてくれた。

が、そこはショップで買い物をした人のレジなので結局少し待つことになった。
が、それほど焦って急ぐものでもなし、あくまで“優雅に?”待った。

展示会場は、5階からスタートし降りてくるようになっていた。
で、エレベーターの乗ることにした。
エレベーターではアメリカ人カップルと一緒になったので
(アメリカ人も旅行し出したんだなぁ)
と…
これは間もなくコロナ騒ぎも終焉か!? なんて、頭によぎった。

5階で催されていたのは特別企画展示。
この特別展示は、なんと三菱一号館美術館とのコラボで実現したもので
案内には、企画をした三菱一号館の元館長さんと学芸員さんの名前も載っていた。

本来、2020年夏に行われる予定が、Covid-19で延期され
この7月2日からスタートしていたのだった。

後期印象派グループのコラボ展示みたいになっていて
Nabisナビ派の作品がたくさんあった。
Nabisとは、ヘブライ語で「預言者」を意味するそうだ。

ボナールの作品には、日本の屏風や掛け軸を、意識したようなものもある。

当時の人々の暮らしぶりや服装、町や公園での様子
とりわけ子供たちを捉えた絵が私は好き。

観て周っている途中で
フランス男性らしき人が付き添って鑑賞しているアジア人の母娘に遭遇した時
娘が仏語で
「彼女たち、韓国人だよね」
と…
耳をそば立てると、うん確かに……

実はこの頃、私たち母娘は、Netflixの韓流ドラマにハマっている真っ最中だった。
シナリオも然ることながら、韓国語の響きが興味深く楽しいという理由で。

私は、字幕をフランス語にするよりも日本語にする方が楽にドラマが楽しめる。
が、娘は、日本語で字幕を追うと、日本語の理解に苦しむことになり、
時々画面を停めて、説明を強いられる。

娘は言葉の音の響きに敏感なので、余計に興味をそそられる様だ。
前にも、秋田弁のドラマを見て
楽しそうに、秋田弁の辞書のようなものを、ネット検索して
音で真似っこを始めるくらいの興味の持ちようなのである。

話を戻して…
4階、3階と降りて、コンフェランスルームでは
当時の模様を映し出す、解説映像も流れていた。

この美術館では
会議室も、お庭やテラスもイベントスペースとして
貸し出をするようだ。

絵画が飾ってあるスペースで、音楽会を開催したり
テラスでのカクテルパーティ
着席で18テーブル180名のディナーも企画できるという!

もちろん、各種アトリエも常時行われている。
いいよね、そういうの~~~

入り口に戻ると、例の素敵なセキュリティの方ともう一度会えた。

「(クーラーの効き過ぎで)凍えちゃったわ~(*_*)」
と言ったら

Noooon……
と、大袈裟に身体をのけぞって反応

「涼しくて気持ちいいでしょぉ~」
とまたまた満面の笑顔。
素敵なホスピタリティ…OMOTENASHI?!

最後に、ショップに立ち寄る。
私は、美術館のショップを見て回るの大好き。
大抵何かしら買ってしまうのだが

今回は

わかるかなぁ?!
実はこれ、メガネ拭き。

6euroは高いか安いか?! だが、
娘曰く「この猫こわ〜い」

まあね、怖くないこともないが…
でも、猫好きって、こういうちょっとしたモノに反応するものなのよぉ…
と無類の猫好きな私は思う。

外に出ると、あったか〜い。
生きた心地になって、美術館のすぐ横にある、バス停に向かうと
その後ろの小高い場所に、市庁舎があった。

市庁舎とは思えない、素敵な建物でしょ?

小さな美術館って、どこかゆったりした時間が流れて、落ち着く。
この日も、大都会の喧騒から離れて、
ボナールの時代にタイムスリップしたような気分を味わった。

ご参考:
https://www.museebonnard.fr/index.php/fr/
https://www.mmm-ginza.org/special/201206/special01.html

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