It’s a 笑 time!

Episode 10

今日は、行きつけのお魚屋さんのお話。

街の中心であるその場所に、30年来続いているお店。
現在のオーナーが買い取ってからは20年
昨年改装のために2週間閉めていた。

いつもは父と息子、二人で店先にたっている。
二人とも、これがなかなかのイケメン。

街で会ったら、絶対に魚屋さんには見えないなぁ。
(って、私…魚屋さんにどんなイメージを…笑)

初めてこのお店に行った時、お父さんの方が、私に
「イタリア人?」
と聞いてきた。
DIESELのメガネをかけていたとはいえ
冗談でしょ?! と思ったら、ホントにそう思ったらしい。

若い頃にミラノに住むフランス人のディスプレイデザイナーに
ナポリターナって言われたことを思い出した。

自分では、どう見ても日本人…と思うのだが
フランス人にはイタリア人に見えるらしい…。

フランス人の夫が「イタリア人?」と聞かれるならわかるけど…
夫婦は長い事一緒にいると似てくる、って、よく言うけど
まさか…そういう事? いや、そんなわけないよね。

「イタリア人じゃないわ、日本人」

「日本? 
友人に、東京に行ったことがある奴がいて、
あれ、なんていったかな、魚市場……」

『tsukiji?(築地)』

「そうそう、そこが圧巻だったって、言ってた。」

この会話がきっかけで、仲良くなり常連さんとなった。

二週間かけての改装後、後ろの壁に、牡蠣の養殖場の写真が貼られた。

「ここの牡蠣は、目の前の海から、とってきたばかりなのね」

「そうなんだよ、だから新鮮だよ〜」
と、お父さんもご機嫌。

他にも、壁にある魚の装飾オブジェが、色鮮やかでいい感じ。

ある日、お客さんが、壁に掛けてあった“亀”を買って行ったので
今は3種の魚だけ。

オブジェの魚のお値段は『1000euroくらい』
高いのか? いや、安いのか??

さて、この魚、何だかわかります?

フランスでは、Espadonと言われている魚、日本ではメカジキ。

陸揚げされると色が変わるけど
これは海の中にいる時の実際の色なんだそう。
綺麗ねぇ~♡

美しさを語った後でなんだが
私は、この切り身を生姜焼きにするのが好き
これがなかなかイケるのです。

後日、二人は、ポルトガル人親子と判明。
とはいえ、息子の方はフランス生まれで、ポルトガル語は話せない。
自分はフランス人としか考えられない、って言ったりしていた。

その彼、お父さんと一緒だと、笑顔は見せてもあまり話をしないけど
一人の時は、とてもおしゃべり!(^^)!

私は、週初めの夕方に行くことが多いのだが、息子一人の時が多く
結構、会話をしている。

ある日のこと
彼「質問があるんだけど…」
私「なあに?」
彼「Sèche(紋甲イカ)って、calamar(ヤリイカ)に比べると硬いよね。どう思う?」
というので

「うん、確かに、硬いといえば硬いけど
その歯応えも、イカ好きにはたまらないと思うけど、どうして?」

「この間、家で、バーベキューをしたときsècheを焼いてみたんだけど、
なかなか噛みきれなくて、口の中でもぐもぐ……
だから、いつも買ってくれるお客さんはどう料理してるのか、気になって…」

(日本人なら何か秘策を知っているとでも?!)

ちょっと考えて、
「表面に“斜め格子”に隠し包丁を入れると、噛みやすくなるわよ」

「そうか、じゃあ次はそうしてみるよ。
今度、お袋にもそう言って作ってもらおうっと」
と、可愛いことを言う。
とっても好印象…だが
下の写真を見てほしい。

地中海産のマグロと大西洋の鯛を
彼に、お造りにしてもらった。

平切りもそぎ切りもあったもんじゃない
拍子木切り?! というのが、ちょっと笑えるでしょ?

またある時、フランスでは珍しく、マグロの中トロがあったので
それをお刺身に、とお願いすると

今度は、目に逆らって切ったので、形も厚みもバラバラ
噛むと繊維が引っかかって、せっかくの美味しさも半減…

(うーむ、板前さんのYou tubeでも見て学んでくれないかなあ)
と、ちょっと思った…。

また別の日に彼がひとりでいるお店へ入っていったら
待ってました! とばかりに話しかけてきた。

「先週、あなたの話をしていたんだよ。
実は先週、父と一緒にいた時、買い物する時の身振り手振りが
あなたとそっくりな人が来て
話をしたら、なんと! その人も日本人だったんだよぉ」

わあっ、この町に日本人が居た!

以来、いつ会えるかワクワクしている。
できれば、この魚屋さんでバッタリ会いたいなぁ。

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