“妻が働く”夫たちの本音 第6回 

(後半)

【プロフィール】
O・Mさん 1973年生 44歳
勤務先:電機メーカー 研究開発部門
職種:研究開発
結婚時の年齢:37歳(奥様:30歳)
お子さん:ひとり(2歳の男の子)

「先日、家に帰ってくるなと父親に電話で怒鳴られたんですよ。もう70歳を過ぎているんですけど」

 なんとも元気なお父様です。

「どうやら電話する前に母親と揉めていたようで、些細なことで怒鳴り始めたんです。あとから後悔して落ち込んでいると母は言っていましたけどね。父は昔ながらの亭主関白で、俺のおかげで飯を食えているんだ、俺に口答えするなと言う父親。子供心に理不尽で、どうして自分でできることを自分でしないのかと思っていました。手を伸ばせば取れる爪楊枝を母に取らせる父の姿を見て、結婚したら自分のことは自分でやろう、家事も半分はやろうと思っていました」

 なるほど、今のOさんの家庭に対する考えは、子供の頃の経験がもとになっているのでしょう。

「30〜40年経って私も子供に怒ることもあるかもしれない。父とは違う子供との関係を築いていきたいです。父は威厳があったし怖かったんですよ。私も子供と友達になるつもりはないし、いい距離感でいたいですね。子供が立派に育って、家族の関係も良好にするにはどうすればいいか、これから模索していきます」

 何事にも几帳面で自分の考えをはっきりと持つOさん。奥様と子育てに関しての考えの相違などあるのでしょうか。

「妻は子供に対して、保育園に預けてごめんねという気持ちがあるのかも知れません。なるべく遅く送って行って、早く迎えに行きたいと思っているようです。でも保育園には友達もたくさんいるし、行ったら楽しいと思うんですよ。寝かしつけの時間も、妻は子供と触れ合う時間を優先したがるので10時になっていましたが、私は子供の睡眠時間を優先したい。毎朝6時に起こすので、夜は遅くとも9時には寝かせたいんです。ちょっと意見が食い違ったのですが、今は間を取って9時半(笑)。育て方に関しては意見がぶつかることが出てきましたね」

 子育てに関して奥様にこれだけは注意してほしいと強調します。

「子供の安全には気を付けてほしい。交通事故の危険がある所では手を離さないでと。歩道に出るときに自転車が横から走って来ることもあるかもしれない。来なかったからいいじゃないではなくて、自転車が来るかもしれないという想像力を働かせて子供を守って欲しいと思います。私が心配症かもしれないですけど、いろんなニュースを見ると心配になるんです。事故に遭ってから後悔しても遅いからねと。そうならない最大限の努力をして欲しいんです。そこを怠って事故が起こったら人災かもよと。妻には大丈夫、大丈夫と言われてしまうんですけどね」

 もちろん子供を思う気持ちは奥様も同じでしょう。

「朝、子供が泣いて後ろ髪を引かれる思いでも1時間半かけて通勤して、働いているのにはとても感謝しています。妻は育休中に子供を抱えながら10ヵ所くらい保育園を見て回って、優先順位を付けて申し込みをしたのですが、運良く第2希望で決まったんです。その通知を手にほろほろと涙を流す妻の姿を見て、私ももらい泣きしてしまいました。自分の子を自分がいいと思う所に預けたいという母親の気持ちですよね」

 かわいい盛りの2歳児。今は子育てを大変楽しんでいるようです。

「子供と触れ合う時間を多くしようと、夜も早く帰るように心掛けているので、仕事がおろそかになっていないか心配です。幸いなことに今はそんなに仕事量も多くないし、働き方改革ということで、無駄な業務は見直そう、無駄な残業は無くそうという流れがあります。育児真っ最中の我が家にとっては、すごくありがたいと思っています」

 奥様に細かい注文もあるようですが、仲の良い夫婦であることは間違いないようです。

「新婚旅行では、『もし結婚したら新婚旅行はここしかないね』と付き合っている時に冗談で言っていたウィンブルドンへ行き、丸2日間テニスの試合を観てきました。共通の趣味があるからできること。いいことだなと思います。その後、全豪オープンに行ったので、あと全仏と全米を見たらグランドスラムだなと話しています」

 一緒に楽しめる趣味は夫婦の絆を深めるようです。

「もしかしたら、家事をしない旦那の方が妻は楽なんじゃないでしょうか。家事はやるけど口出ししない人がベスト。でもそうはいかないんですよ。こうしたらと言っちゃう。子供が成人する時に私は62歳、私はもう働いているかどうかわからない。あとは妻に頑張ってもらいたいなと思っています。家事は私が全部やりますので(笑)」

 注文もあるけど思いやりもある。それがOさんの愛情の形なのでしょう。

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