“妻が働く”夫たちの本音 第2回

(後半)

【プロフィール】
S・Mさん 1977年生 40歳
勤務先:アパレル雑貨メーカー
業種:営業職
結婚時の年齢:34歳(奥様:34歳)
子供:なし

 
 最近マンションを買ったというSさん。ローンの支払いや、食費、光熱費など月々かかる家計はどのような分担にしているのでしょうか。
「お互いに決めた額を出し合うようにしています。例えば、僕が20万円、彼女が15万円出して、その中でやりくりする感じですね。それ以外はそれぞれ自由にということで。このやりかたは結婚する時に彼女から提案されたものです。彼女は結構堅実ですよ。コツコツと貯めるタイプ。でもいくら稼いでいるか知らないんですよ。僕はあると使っちゃうんで、貯金してよと言われてます」

 マンションは郊外の3LDK。家では新しいマンションの部屋を飾るインテリアの話などして過ごすことも多いそうです。
「彼女もゴルフを始めたので、予定が合えば一緒に行ってます。二人で行くこともあるし、会社の人と行くときに参加したり」

 趣味も共通、友達感覚です。お二人とも今年40歳。お子さんのことなどどのように考えているか尋ねてみました。
「これまで子供がなかなか授からず、不妊治療も少しは試してみましたが、今はそこまでしなくてもという彼女の考えを尊重して向き合っています。まだ年齢的にもあきらめてはいませんけど、苛立ちを抱えながら日々過ごすよりは、出来たらラッキーと軽い感じでとらえて、お互い仕事をしながら余暇を楽しめたらいいなと」
 そこには支え合い、前向きにとらえる夫婦の姿がありました。
「欲しいという気持ちは僕の方が強いかもしれません。でも今は子どもはいないものして人生設計を考えています」
 将来、どんな家庭を想像しているのでしょうか。
「共通の趣味を二人で楽しんで過ごしたいですね。それを通じてコミュニケーションもとれればという感じですかね」

 不規則になりがちなフリーランスの奥様。Sさんの会社員としての規則的な仕事のリズムが、家庭をきちんと保っているのかもしれません。
「朝7時半ごろ家を出て、夜は8時から10時の間に帰って来るのが普通です。もし僕の仕事も土日関係なくということだったら、お互い交わらないというか。すれ違いになってしまうかもしれませんね」
 仕事のことで奥様に要望などあるのでしょうか。
「あるとき、移動時間がもったいないということで、都内に住みたいと言い出したことがありました。その時は言い合いしましたね。だったら仕事を減らせよと。でも仕事の内容に関しては何も言いません。しいて言えば、週末の仕事の量を抑制してもらえば、二人の時間もできるのかなと思います」

 女性が仕事を持つことに対しての考えを聞くと。
「社会と接点がないと不安になることもあると思うので、いいことだと思います。外で刺激を受けるのはいいんじゃないでしょうか。僕がずっと家にいることを思うと、きついですね。1カ月持つかどうか。そこは女の人も一緒じゃないですか。特に彼女は専業主婦は無理でしょうね。もちろん家のために少しは稼いでほしいというのもあります」

 奥様の仕事を十分理解し、尊重しているSさん。でもやはり二人の時間をもう少し持ちたいようです。
「忙しい時は、この世の終わりくらいの表情でやってますからね。身体は大丈夫だろうかと心配もしますよ。彼女が仕事ばかりで、さびしいから飲みに行っちゃおうかなとか思うこともあります。ただ僕がいなかったら喧嘩になるでしょうね。仕事が落ち着けばいろんな流れが変わってくると思います」

 忙しく仕事をする妻に必要なものは、やはり夫の優しさと思いやりなのでしょう。

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