“妻が働く”夫たちの本音 第6回 

(前半)

【プロフィール】
O・Mさん 1973年生 44歳
勤務先:電機メーカー 研究開発部門
職種:研究開発
結婚時の年齢:37歳(奥様:30歳)
お子さん:ひとり(2歳の男の子)

 細面に長身のOさん。趣味のテニスがそのスリムな身体を維持しているのでしょう。7歳年下の奥様もテニスをされるそうです。

「妻は同じ職場に勤務していて、テニス仲間だったんです。付き合って1年、結婚するんだったらこの人と思っていましたし、私は30代後半になっていたので、そろそろ結論をということで、出した結論が結婚でした。結婚に関して積極的だったのは、妻に聞くと私と言うかも知れませんが、私は妻だったと思います。私は正直なところ、あまり結婚願望が強くなくて、結婚のイメージが湧かなかったので、ふんぎりがつかなかったんですよね」

 奥様も同じく電機メーカーの研究所に勤務。お子さんが生まれる前は一緒に出勤して、帰りも「そろそろ帰るよ」とメールして二人で帰るほど仲睦まじいご夫婦です。

「そんなに結婚生活に夢を見ていたわけでもないですし、思っていたことと違うというのはお互い必ずあると思いますけど、それが許容範囲だから今も結婚しているんでしょうね。でもあんまりギャップはなかったのかな。あったかもしれないけど忘れちゃいましたね」

 現在はお子さんを保育園に預けてご夫婦で働いていらっしゃいます。

「独身時代はコンビニ弁当ばかりだったのですが、結婚してからは食事も作ります。妻は今、埼玉県の職場に勤務しているので、朝が早いというのもありますが、朝食は私の担当です。味噌汁を作って、私が漬けた漬物と納豆とか、簡単なものですけれど。妻を送り出してから子供のお着替えと歯磨き。そして7時半に車で保育園に連れて行きます。一旦家に帰って少し家事をしてから出勤。職場までは近く、25分くらいで着きます」

 きちんと家事を分担する夫。さぞや奥様は感謝しているのではないでしょうか。

「今回、家事の分担に関して妻に聞いてみたんですよ。すると妻の感じでは妻がちょっと多いと言う。でも私の感覚では私がちょっと多いと思うんです。ということは客観的に見ると半々なんでしょうね。性格的には私の方が几帳面。妻はそれほどではない。そうすると私の方がいろいろ気づいてしまう。「あそこちょっと曲がってる」とか、まるで姑のように(笑)。価値観を妻に押し付けるのもストレスになるかなと思っているんです。でも一緒に生活する中で、自分がだらけると相手がだらけても文句を言えないじゃないですか。自分がこうしたいというレベルは自分が保って、相手にも同じレベルを求める。見本は示さないといけないですから」

 なかなか厳しい旦那さんの側面が見えてきました。

「最近時々家事をわざと忘れるようにしています。例えばゴミ出し。ゴミ集めからゴミ出しまで全て私ばかりがやっていると、さすがにストレスが溜まってきます。それで何度か、燃えるゴミの日にゴミ集めをしないで放置しておいたら、妻も私の気持ちを汲んでか、最近は少し手伝ってくれるようになりました。そんな駆け引きで微妙なバランスを保っています。もちろん妻しかやっていない家事もあって、そこは私が見えていないということもありますね。子供を保育園に迎えに行くのは妻がやっています。今は短時間勤務にしているので、夕方5時頃に帰ってきて保育園へ行きます。でもお風呂に入れるのは私の役目。妻は風呂でゆっくりしたいからと言うのですが、子供と一緒に入らないのはもったいないなと思うんですけどね」

 研究者らしく几帳面な性格がそのまま家庭でも発揮されているようです。家計の分担もさぞ厳格なのかと……。

「給料が出ると、私から妻に1ヶ月の生活費として十万円くらい渡して、これでよろしくと。妻の給料は妻が管理、私の給料は私が管理。貯金もそれぞれでしています。よっぽど高いものでなければ自分の責任で買って、特に文句は言わない。本当は厳密に管理して貯金をするともっといいペースで貯められるのかもしれないですけど、そこはまあ意外とお互いまあまあという感じで。このやり方は、特に話し合って決めたわけでもないです。今まで揉めたこともないし、ゆるく決まったのかな」

 2歳の男の子を持つご夫婦。子供育て方に関してはどのような考えをお持ちなのでしょう。

「しつけは厳しくしたいと思っています。そういえば先日、父親に電話で怒鳴られて非常に腹を立てているんです」

 40過ぎの息子を怒鳴りつける70過ぎの父親とは一体……。(後半へ続く)

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