“妻が働く”夫たちの本音 第5回

(後半)

【プロフィール】
S・Yさん 1985年生 32歳
勤務先:ECサービス会社
業種:システム開発
結婚時の年齢:30歳(奥様:28歳)
お子さん:なし

 
 結婚して2年ほど経つけれど、それどれ別に暮らしているという変則夫婦。結婚当初はどのように考えていたのでしょうか。

「結婚を決めた当初は、まずは落ち着くまでは別々で暮らして、1年くらい経って落ち着いたら一緒に住むところを探そうと、そんな予定を立てていました。それが、別に今のままでも問題ないよね、という感じになりつつあります。彼女は実家暮らしで職場も近く、経済的にもお金は貯まりますし、楽なのかなと。それでなんとなくズルズルと」

 二人は良くても、それぞれのご両親はどう思っているのか気になります。

「彼女の両親は、早めにいろいろ探したほうがいいよと言っていますが、そんなに強くは言われませんね。年に1回くらい、いつになったら一緒に住むのと言われるようですが。自分の両親も特には何も言いません。実家が遠いし、あまり連絡を取っていないというのもありますが」

 とは言っても、早く孫の顔を見たいという気持ちもあるのでは。

「子供は作らないと結婚前に約束していました。それは彼女の希望です。自分も子育てはできないと思っているので、それもいいかなと。彼女は小さい子が好きではないんだと思います。病院に来る子供の対応が大変なようで、だんだん子供はいいかなと思ってしまったようです。子供を持たないと決めているので、急ぐ必要がないんですよ。ゆくゆくは一緒に暮らすパートナーがいるっていうことなのかなと思ってます、今は」

 出産、育児と考えると、女性にとっては年齢的なリミットがあるのも確か。それを考えずに済むというのは、じっくりと人生設計ができるということなのかも知れません。
 二人で暮らし始めたら、どんな家庭を築こうとしているのでしょう。

「一緒に住んだら、平日は彼女が料理をする。土日は自分が家事をする、予定です(笑)。週末くらいはどこかに遊びに行って、外食できるくらいの収入で、暮らしていければいいかな。二人だけなので、そこまで貯蓄しなくてもいいし、共稼ぎでなくてもいい。広い家を持つ必要もないし、いろいろと考えなくていいというか、捨てられるというか、余裕をもって考えられますね。今はとりあえずお互い仕事優先でいいのかなと」

 一緒に暮らしていなくても、確かに考え方は同じなようです。

「今は週1回ぐらい会うくらいなので、喧嘩もしないですね。僕に対しても特にこうして欲しいとか言わないですよ。一緒に暮らしたら文句も出てくるのかもしれないですけれど。休みの時期が合えば、二人で旅行にも行きます。西表島によく行くんです。年に1回くらいですけど。日本の中でも、変わった動植物の多いところで、面白いですよ」

 いまどきの、というには新しすぎるかも知れないSさん夫婦の形。同世代の友人たちはどう見ているのでしょうか。

「変わってるとか、どうしてそうなってるのとか、新しいねとか言われます。でももしかしたら、もっと若い人たちはそうなっていくのかなと思ったりします。経済的にも親元から通ったほうが、貯蓄もたまるし、料理も出てくるし、効率的に考えたらそれもありかなと。それもいいんじゃないでしょうか」

 「結婚」という概念はどんどん変わっていくのでしょう。男は家族を養うもの。そんな考えはもう前世紀の遺物なのかも知れません。

「来年こそ一緒に住もうと言っているんですが、結局ズルズルと過ごしちゃって。一緒に住むのはいつなんだろうと思いますね」

 焦らずにじっくりと将来を考える。実はとても堅実に生活しているようにも思えるSさんでした。

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