「社会と女性と法律と season2」

「機会は均等、結果は・・・」【その2】

3.「機会は均等、結果は・・・」
【関連する法律】
男女雇用機会均等法(1985年/社会と女性と法律とseason1Part15)
女性活躍推進法(2016年/Part1)
確定拠出年金法(2001年/記載なし)

【その1】法律はどこまで関わることができるのか…
【その2】自分のことなんだから
【その3】見えてるモノが違うから

その2 自分のことなんだから

まずは法律や行政に頼るという考え方ではなく、自分のことなんだから自分で考える、そんな気持ちが自らの人生に、もっともっといろいろな可能性を示してくれるのでは

B男くんB男くん

これまで社会全体のシステムが、転職はまれなケースで、一般的には一つの企業にずっと勤め続ける、いわゆる生涯雇用という考え方に立っていたと思うのですが、これからはそうとも限らないということですね。

C子さんC子さん

男女問わず転職しにくいので、転職に於いて日本は男女平等ですね…

A子さんA子さん

そうなのかなぁ、私は女性の方が転職しやすいと思っているけど

C子さんC子さん

女性のほうが思い切れる場合もあるけれど、転職しにくいというのはそのシステムができてないということよね。

A子さんA子さん

確かに男性が転職しにくいのは、さっきの3高ないし4低なんですよ。女性が男性に安定を望んでいるから。一方で、だからこそ女性はいろいろ勝負に出られると思うの。私は完全にそうだった。夫が安定しているから私はいくらでも勝負に出られる、もうそれをフルに活用させてもらっていたことは確かなの。これは男女両方が勝負にでていたらまたちょっと違ってたかもしれないけどね。

ポイント☝

3高4低を思い出すと・・・(詳しくは第二回その3参照)
 3高:高収入/高学歴/高身長
 4低:低姿勢/低依存/低燃費/低リスク

資料📖

転職者比率(就業者に占める転職者の割合)
 平均4.8%,前年と同率
 過去10年では2007年が5.8%と最高、以後は減少傾向が続く
 男性は2017年が4.0%、2007年が4.6%
 女性は2017年が5.7%、2007年が6.6%

転職者比率(就業者に占める転職者の割合)

労働力調査(総務省2017)

B男くんB男くん

転職者の比率をみればやはり女性が高いけど、男性でも勝負に出る人は増えているはずで、業績のいい新興企業などでは、そういう人を受け入れるところも増えているのではないですか。受け皿が増えてくるとチャレンジもしやすくなるしね。

A子さんA子さん

問題は国のほうの制度で、国が大企業に依存している年金制度とか保険制度とかを考えると、国もそういう大企業をサポートすることが政策であって、だから経団連みたいなところがすごく大事にされてきたんだと思うのね。いまそういった企業がどれほどあるかはわからないけれど、その企業が潰れると国の根本がつぶれるから、転職がしやすいような国にするのなら、国の側の制度改革もしていかないといけないと思う

B男くんB男くん

企業も変わる、国の制度も変わる、そういう意味で両輪でしょうね

A子さんA子さん

両輪だと思う

ポイント☝

転職と勝負に出るということは、決してイコールではないと思う。
大企業に勤めながら、その中で改革を計り方向性を変えるという事も挑戦ではないのだろうか?

C子さんC子さん

一方で、なんでも公にやってねという人が多すぎるなって思う

A子さんA子さん

私も、頼りすぎだと思う。年金ももっと自分で増やすべきだと思っているし、保険とかもそう。転職すればいいというのは簡単だけどなかなか難しいからね。最近になってやっと401Kのように持って歩けるものが出てきたけれど、私はこの存在ってすごく大きいと思うのね。今まではそんなものがなかったから、私が最初に転職したときには全部捨てているわけ。だからそういうのを全部捨てずに持って歩けることになれば、転職も絶対しやすくなると思う。そりゃそうよね、ある程度責任もって家族を育てたいと思ったら、そこまで考えないといけないし、そういうことをちゃんと考える人をつくらないといけない。

ポイント☝

社員に対する福利厚生として企業が国の制度をサポートしているもの

法律で義務付けられているもの(法定福利厚生)
雇用保険・労災保険・健康保険・厚生年金保険・介護保険といった社会保険の費用を一部もしくは全部を会社が負担している。

法律では定められていないもの(法定外福利厚生)
社宅を用意したり、家賃補助、資格取得の費用負担など
退職金や企業年金もその一つと考えられる。

国にとっては企業がこれだけ肩代わりしてくれているわけだから、その企業(特に大企業)を大切にせざるを得ないし、社員も会社をやめれば、そこまで積み上げてきた退職金や企業年金も終わる。受け取れたとしてもわずかな金額にすぎない。転職後はまた最初から始めないといけない。
転職を阻む、新しい挑戦を阻む一要因であることは確かではないか…

B男くんB男くん

今までは考えてこなかったのかな。

A子さんA子さん

だって今までのサラリーマンはらくちんだから考える必要がなかったのよ。

B男くんB男くん

会社が全部面倒みてくれたから、今になって選択できるよっていわれても困るわけだ

A子さんA子さん

だから選択する事ができてもそれをしない人がいた。例えば、人間ドックを個人で受けたら費用がいくらかかるのか、知っているサラリーマンってどれくらいいる?笑
昔は銀行や証券会社の窓口って9時3時だったじゃないですか?だから銀行員なのに銀行の窓口に行ったことのない人がいっぱいいたと思うんですよ。だって物理的に行けないんだもん。証券会社もそう。実はそういう日常の事って全部奥さん任せみたいな人がいっぱいいたんですよね。よく医者の不養生というけれど、大銀行の人ほどきちんとした資産管理をしなくてもよかったのかも。だって社内預金しているほうがよっぽど利率もいいしね。なんかそういう甘えたというか、甘えられる環境だったと思うのね。日本の労働者の何割が大企業に勤めているのかはわからないけれど、大きな企業の業績がよければ中小企業も下請け会社も潤うというシステムがあって、国としてもそのシステムに助けられて、国の制度そのものをしっかりと見つめ直してこなかったのではないかな。

資料📖

国内の日本企業で働く従業員の総数はおよそ5,921万人、そのうち大企業と呼ばれる従業員300人以上の企業で働く人はおよそ1,433万人、全体のおよそ24%

(2017年場中小企業白書)

ポイント☝

アメリカの福利厚生は?

・健康保険
アメリカでは公的な国民健康保険がないことから、企業が保険に入り、従業員個人の保険料支払いを一部または全額負担しています。企業がどの保険制度を利用しているかによって保険の内容や支払い額が異なります。そのため、例えば転職をした場合、前の会社と今の会社で保険がカバーする内容が異なるという事態が発生することもあります。また、利用できる病院が限られている保険があります。さらに、医療費の負担額や負担率も保険によって異なり、歯科が保険に含まれているかとか、健康診断なども保険の対象になるのか、本人だけでなく家族にも適用できるか、なども異なってきます。

・年金
アメリカには退職金制度がないため、企業は401Kと呼ばれる投資型の年金積立システムを導入して社員の退職資金の準備を助けています。多くの場合、証券会社を通じて、自社の社員のアカウント管理を委託し、社員は毎月 “401K” に提供する金額と、その運用方法を選択します。企業はマッチングと呼ばれる方法で退職金の積み立てを支援します。100%マッチングなら、社員の積立額と同額を会社がそのアカウントに拠出するというものです。また転職先への資産移管が可能ということが支持される理由となっています。

B男くんB男くん

結局システムを作っているのも運営しているのも男性だから、男性にとって都合よくできているわけで、女性がどう思っているかはわからないし、気にもならない。でもこれからは、女性が少しずつ社会に出始めていくじゃないですか。そうすれば健康保険や夫婦別姓の話にしたって、それにかかわる女性が増えてきたらそのうち変わるんじゃないかな

A子さんA子さん

そうそう、そういう事なんだと思う。その変わらないことに文句を言う女性が多くて許せないという気持ちもわかるけれど、私流にいえば、うじうじ言わずにあなたが信念持ってやるんなら突き通せよっていうところかな。

C子さんC子さん

文句いうぐらいだったらやめたらいいし、やりたいのならやればいい。自分に自信があったら何でも言えるんだからって思うところはあるのよ。

A子さんA子さん

例えば夫婦別姓にするって決めたんだったら、それに伴う不都合まで考えて飲み込んで別姓にすべきだと思う。別姓にしてからの不都合を事前にあんまりぎゃあぎゃあ言うべきじゃない。役員もそう。女性が役員をやるんだったら、役員に伴ういろんな義務も引き受けてやらなければいけない。役員になるという権利だけを主張しても誰も幸せにならない。言われてなったんだけどっていうのは絶対ご法度だと思う

C子さんC子さん

その御法度じゃないけれど、「私がなりたかったわけじゃないのに」、「あの時の制度がこうだったから私しかいなかったのよね」って、そういう“ソレを言っちゃぁおしまいよ”っていうことを言う人って多いなと思うのよね、言っても意味のないことなのにね。

資料📖

上場企業女性役員調査 (2018年10月15日付け 日本経済新聞)
自分の成長を促した要因は「新規事業の立ち上げ」をはじめ、難しい課題に挑戦した経験だと答えた人が約9割

活躍の場を与えることが女性たちの能力や意欲を引き出し「役員への道」を開く。

*成長を促した出来事(複数回答)
 「取引先や顧客との交流」(53.9%)
 「上司との交流」(50.6%)

*何らかの難しい課題への挑戦
 「新規事業立ち上げ・新店開業・新戦略採用など」(44.8%)
 「高いノルマや目標の達成」(30.5%)
 「その他の課題への挑戦・困難な経験」(27.3%)

C子さんC子さん

結局ね、文句を言う事を前提に何かをしたり、国に助けてもらうことを前提に行動を起こすといった人がすごく増えたんだなって思う。自己責任ということを考えていないのよね

B男くんB男くん

そういう人は女性に多く見られるのかな。さっきの話じゃないけど、男性は国じゃないけど企業が守ってきてくれたから

C子さんC子さん

企業は女性を守ってこなかったけど、これからは男性も守られなくなるのかも…
今後は社会的に男性も女性も自己責任の時代になる???私はそうなって欲しいと思うけど…

3-2終わり

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