「社会と女性と法律と season2」
「子育ては誰がする・・・」【その1】
4.「子育ては誰がする・・・」
【関連する法律】
育児休業等に関する法律(1992年スタート、2017年改正/社会と女性と法律とseason1Part16.17)
改正国家戦略特区法(2015年)
子ども・子育て支援法(2012年)
児童福祉法(1947年)
【その1】わざと落ちるって何?
【その2】夫と子育て
【その3】グローバルな環境で育つ
その1 わざと落ちるって何?
保育所の入所をめぐってこんなことも起きています。子供のそばに長くいたい、でもキャリアも大事にしたい。助けてくれる人が近くにいればいいのだけれど。
今回は子供を育てながら働く人にとって関心が高い「保育所」の話題から
“保育所が見つからない”というのが育休を伸ばす理由になるから、わざと落ちるために申し込む人がいるらしいよ。そういう人たちは予想に反して保育所に受かると「落としてください」と頼みに来るんだって。
2017年10月1日、改正育児休業法が施行されました。
保育所に入れないなどのやむを得ない事情がある場合、これまでは1歳半まで延長できましたが、それがさらに半年伸びて子どもが2歳になるまで育児休業を取得できるようになりました。その“やむを得ない理由”を証明するのに必要なのが、自治体が発行する認可保育所などの「不承諾通知」です。だから延長を希望する人はまず保育所に申し込みをしなければならないのです。
保育所に落ちることを狙っている人たちは、最も人気が高い保育所を選ぶのだけど、間違って受かることがあるわけ。そうしたら「落としてください」って役所に頼みにくるんだって。全体の中でまだそんなに割合的には多くはないけれど目立つようになってきているらしい。
一方で本当に入りたい人は、入所申込書に何カ所も書くわけですよ。希望をいくつ書けるかは市によって違うけど、多くのところで5~6か所、中には11カ所以上も書けるところもあるの。市役所では公平性を担保するためにポイント制を使って一つずつ、一生懸命計算して選んでいるのに、最初から落ちることを考えてる人が受かると、本当に行きたかった人が落ちて入れなくなるじゃないですか。それを繰り上がるからいいとか言って、そんな人たちを擁護する人もいるけれど、そういう問題じゃないと思うのよね。
それに、第二希望とか第三希望でも受かったら、もうそれに向けて生活の準備をしているわけでしょ。遠いから自転車を買って、駐輪場を確保するとか、私もそういう経験があるからわかるけれど、子供がどこの保育所に行くかに合わせて一生懸命準備するのよ、繰り上がる保障なんて何もないわけだから。
資料📖
全国保育所概況 (2018年4月1日時点)
利用定員は280万人(前年比97,000人増加)
利用者数は261万人(前年比68,000人増加)
数の上では足りているが、実際は地域で偏りがある。待機児童数は19,895人
そのうち、首都圏(埼玉・千葉・東京・神奈川)近畿圏(京都・大阪・兵庫)の7都府県と指定都市・中核都市の合計が全待機児童の70%を占めている。
東京都の場合
申し込み率=就学前児童人口に占める保育所等利用申込者数の割合
それでもいいじゃないという話もあって、確かにいろいろな形で働いている人がいるから一律には語れないのはわかる。このケースは私の中ではけっこう悪用ではないかなと感じてしまうのよね。育休を伸ばすためにそういうことをするのは、子供のそばにいたいという気持ちなのでしょうけれど、そばにいたいのだったらそばにいられるように自分で一生懸命やらなければいけない事があるんじゃないかな
そばにもいたいし、もらえるだけお金はもらいたい。自分のキャリアは保障してほしいし、与えられるものはすべて利用したい。
なんて表現したらいいかわからないけど、そういう人が増えてきているのは事実だと思う。
そのことが原因で落ちたかどうかはわからないけれど、第一希望に落ちて第二希望に向けて生活を変えている人はいるよね。
いるいる、いるって。
そういうわざと落ちる女性は、ゆくゆくは会社にもどりたいのかな。
そうみたい。でもね、仕事に戻りたいなら、どういう形で戻りたいのか、キャリア志向なのかどうか。キャリアで戻りたいなら、その戻り方、戻るタイミングを考えないといけないと思うし、働き方改革という意味でも、戻るだけが改革ではないはず。もっと広く考えないといけないのではないかな。
正にソレ、キャリアで戻りたいなら戻り方がある。女性の割合30%という話があれば会社もそれに向けて動くから、キャリアで戻りたい人と、そうでない人もいて、分けて考えてあげないと、新たな問題が起きる様な気がするんですよね。
もしそうならば、働き方改革をもっとすればいいと思うけど、なぜそれが女性にだけしわ寄せがくるのかと思うと腹が立つ。男性と半分半分にすればいいじゃない。なぜ女子のほうだけ時短を取得したり、保育所に関してやきもきしなきゃいけないの。
それは男性にも選択肢としてはあると思うけど
それは家庭内の問題じゃないの?
キャリア志向の問題だと思うな。
例えば保育所が見つからなかったら、旦那さんに「保育所見つからない。私はこの日から会社に戻るから、保育園が見つかるまであなたが休んでください」って、家庭でそんな話が成立すればいいんだけど・・・たぶん成立する家はほとんどないと思う。その問題を家族で解決しようと思うと相当男の人の頭がやわらかくないと。
それと男の人の家族がそれをどうこう言わないとか。私はそれを経験した世代だから。
確かに、相手の家に嫁いでいるような場合はそうですね
全くうちの場合はなかったな。
ラッキーね。私の家族は言う家族だったんだけど、何のことはない、孫が生まれたら孫をおしつけられるのが楽しくなってきて、すべて解決。もう息子のおかげ、私はそれは100%認めている
家族といってもそこまで広く考えないとだめなんだね、旦那さんだけじゃなくてその家族までね…
まだまだ、慣習風習いろいろあるからね。でも地方の方が、けっこう奥さんが働いているケースが多いっていうじゃないですか。そもそも農家ってそうだよね、奥さんで働いている人って一杯いるよね
共働き率って北陸3県がすごく高いんですよ。ナンバーワンを誇ってるのが福井県。私の出身地なんですけど、福井出身の女を嫁にもらうといいって、厭わず働くからなんて昔は言われていましたね。
何をやってるの、農業じゃなくっていろんなこと?
いろんなこと、とにかくお嫁さんが働くっていうことがお姑さんにとって当たり前の県なんですよ。自分も嫁に来た時、働いて家を助けてという状態だったので当たり前ということ。県内に大きな企業が少ないからご主人の給料が十分じゃないっていうのも手伝ってるんだけど。
もともと日本という国は共働きの文化ですからね。
資料📖
「男性雇用者と無業の妻から成る世帯」とは、夫が非農林業雇用者で妻が非就業者の世帯。
「雇用者の共働き世帯」とは、夫婦ともに非農林業雇用者の世帯。
総務省統計局「労働力調査」より作表
都道府県別共働き率
順位 | 都道府県 | 割合(%) | 順位 | 都道府県 | 割合(%) | |
1 | 福井 | 60.0 | 43 | 千葉 | 45.4 | |
2 | 山形 | 57.9 | 44 | 北海道 | 44.5 | |
3 | 富山 | 57.1 | 45 | 兵庫 | 44.5 | |
4 | 石川 | 56.1 | 46 | 大阪 | 44 | |
5 | 長野 | 55.9 | 47 | 奈良 | 42 |
東京は49.1%で39位、全国平均は48.8%
総務省 就業構造基本調査 2017より作表
そうそう、農家は奥さんが働かずに家で掃除洗濯やってるなんて、成り立たないと思うのね
そもそもの日本はどうでしたかって言ったら、本当にその通りで、お商売やってる家も同じよね。
お商売やってる家は当然のことで、核家族になったからこんなことになったんだよね。
結局、家に入れば人手があるという場合もあるじゃない。助けてもらえるし。ただ一緒にいるのがしんどいから家族だけでいたいっていうなら、じゃあどこを我慢するのっていう話になって。ちょっとうるさいけど、おじいちゃんおばあちゃんがいたら便利っていうのも・・・
女性が働きたければ旦那さんの家に入れということかな
それは一つの手なのよね
東京の場合は住宅事情、両方の世帯が住める家ばかりじゃないわけ
あらゆることをラッキーに乗り越えてきたからのんきに言ってるように聞こえるかもしれないけれど、やっぱりどっかで我慢はしなきゃいけないと思うの。全く我慢しないで、何もかも成し遂げられるという最近の風潮は嫌だな、自分の我慢はないんだって思ってしまう。
「保育園落ちた、日本死ね!!!」を書いた人のコメントを聞いた私の同僚が同じように怒ってた。自分は二人の子供を育てながら、保育所のことで苦労しながらいろいろなところを転々として、やっと今住んでるところにたどり着いて生活が落ち着いたところなのに、そんな努力もしないで文句ばっかり言うってね。
『保育園落ちた、日本死ね!!!』
2016年2月、保育園に入園できなかった子供の母親とみられる人間が、その思いをブログに書き綴った文章のタイトル。
「何なんだよ日本。1億総活躍社会じゃねーのかよ。」で文章は始まり、安倍内閣の掲げた1億総活躍社会に対する抗議や批判で構成されている
同じように保育園に落ちた母親らから賛同する意見がネットを中心に寄せられ、新聞やテレビも取り上げたことから話題となった。
保育園についてはいろいろなことを言う人がいるけど、預かってもらってる身としてはよろしくお願いしますという状態。私だけで子育てしていたら今の息子になっていない。保育園の先生にもお世話になったし、どっちのおじいちゃんおばあちゃんにもお世話になったし、それぞれにもちろんマイナスもあったかもしれないけど、プラスもたくさんあったと思う。
おじいちゃんおばあちゃんが育てると弱い子ができるということを言う人もいるけれど、弱さじゃなくて優しさと受けとってほしい。私の知っているおじいちゃん、おばあちゃんに育てられた子供たち、ものすごく優しいよ。
おじいちゃんおばあちゃんにもすごく優しいの
そういう優しさを弱さとしか捉えられない社会ってどうなのかなって思う。これだけ高齢化が進んで、若い人にお金も労働力も助けてもらって生きていかなければならない時に、その若い人が自分の権利だけ主張して強さで突き進む人ばっかりだったら、高齢者はどうやって生きていくのという話になる。母親が自信を持って“あの子は優しい”って言える子を育てたのは、母親一人じゃなかった。母親が一人で育てたらそうはならなかったかも…
自分ひとりで育てたんじゃなくて、いろんな人が関わってくれた。たぶん、核家族社会じゃなかったころの日本ってそうだったんじゃないかな、地域が育てたみたいな言い方をするじゃない。
子供にとって影響を受ける親以外の大人が周りに何人もいることは大事かも
私がそれなりの広がりをもった育て方ができたのは、自分が家庭に入ってなかったから。
女性が働いて、子供をどこかに預けたことが結果、いい方向に動いたと言えるのかな。
そう考えるようにしているし、そういうところを探す努力をしたわ。