人生 いつでも 真っ向勝負! volume13
『こんな事でもなければ…』
コロナ禍で自粛の日々…、決して喜ばしい時間ばかりではありませんでしたが
「こんな事でもなければ〇〇だよねぇ~」
なんて会話になって盛り上がったりしませんでしたか?
我が家では、この自粛期間中、そんな会話が結構、交わされて、都度、三人で盛り上がっていました。
そして圧倒的に増えた“家族揃ってテレビを観る時間”。
これまでは、三者三様、生活時間が違う事から、たまに揃えば、共有しなければならない伝達事項を伝え合い、見せたいモノなどを見せる、話したい事を話す。
コレを3人が3人で行うと、あっという間に時は過ぎ…テレビの前で三人が揃って一つの番組をゆっくり見て過ごす事は殆どありませんでした。
しかぁ~し、この外出自粛期間は、本当によく、家族揃ってテレビを観ていました。
まぁ、みんな家に居ますし、何より我が家は昭和の匂いが色濃く残る家でして(笑)、一家に一台、リビングにしかテレビがありません。家にいて、“テレビでも観よう”となると、必然的にその一台の前に家族が集まることになってしまうのです。
「今時、何でも、スマホでもパットでも見る事ができますよぉ~」
と仰る方もいらっしゃるかと。
そうなんですけど、あの小さな画面で諸々見るには、ストレス感じるお年頃なんです、
私も旦那も(^-^;
息子っちも、普段、授業の資料から部活動の資料映像まで、iPadにお世話になりっぱなしだからでしょうか
「家に居る時くらい大きな画面でみたいし」
などと言って、テレビ前の一番良い席を陣取っていました。
ある日、大河ドラマを見ていたら(何年振り、いや、十何年ぶりの大河鑑賞でした)、息子っちが急に
「風間くん(風間俊介)の兜、僕の兜と一緒だ」
こんな事を言い出しました。
確かに、我が家にある五月人形の兜飾りは徳川家康の兜ですから、同じで当たり前なんですが、大河ドラマを観て…
(気になるのはソコかぁ~、その反応かぁ~)
と笑ってしまいました。
そして、ソコから“なぜ、徳川家康の兜だったのか”についての思い出話が始まったのです。
時は24年前…ひな祭りが終わるや否や、テレビから怒涛の勢いで流れ出した五月人形のCMを観て、義理の父が
「今度の日曜日に兜を買いにデパートへ行こうねぇ~」
と生後二か月にも満たない息子っちに話しかけたのです。
もちろん、横で聞いていた旦那と私に対しての発言だったのですが…、そんなこんなで、その週の土曜日に、某日本橋の某高島屋さんへ、お義父様、お義母様、旦那、私、そしてチビチビの息子っちと五人で、五月人形を買いにでかけることとなりました。
息子っち、人生初のデパート体験、新米ママの私も緊張…しまくり。
急な事だったので、子供を連れてデパートへ行くという事で精一杯、兜飾りについての知識を得る間もなく
(まぁ、行ってから考えたらいいか…)
ってくらいの気持ちで出かけたのを覚えています。
五月人形売り場では、ご年配の男性の方と女性の方と、とぉ~ってもお若い女性の方と三人の店員さんが案内くださり、ズラっと並んだ兜飾りについて説明を家族で聞いていました。
店員男性「やはり一番人気は“楠木正成公”ですかねぇ」
私 「楠木正成ってどんな最後でしたっけ?」
店員男性「日本史々上まれにみる知将、知を以て功績を上げた武将ですから」
私 「いや、最後の最後、いい案出したのに、上司に聞いてもらえず、負け戦して
自害したんじゃなかったですか?」
店員女性「汗(-_-;) 楠公さんはお好みでないですか?
それならば、最近お若いお母さま方に人気の“直江兼続公”はいかがですか?
文武兼備の智将ですし“愛”をあしらっているので優しい雰囲気の兜になります」
私 「えっ? 兜って優しくちゃダメなんじゃないですか?
っていうか、もう少し最終的に偉い人の兜ってないですか?」
店員男性「織田信長公の兜も人気ですし、上杉謙信公、毛利元就公、
武田信玄公などもございますよ」
「あの時、確実に店員さんらの様子に疲れが見えていたんだよなぁ」
と夫がその時の様子を思い出しながらポツリ。
私としては、この買い物は少なからず息子っちの将来を暗示する様な気がして、必死で様々考え、歴史を思い出していたので、その時、何を言ったか…等は覚えているのですが、相手の様子をうかがい知るまでの余裕はなく。
しかしながら、その時の光景は、私以外の大人にとって、衝撃だった様で、夫は克明に相手の様子を覚えていました。
その場で、女性店員の方が織田信長始め、登場した武将の功績や、何故人気なのかを、私以外の家族に一生懸命説明する中、私は抱っこしている息子っちをジーっと見つめながら、ブツブツ何かを言っていた(らしい、夫曰く)。
さしずめ今なら、「OK Google!」…何でも知ってるGoogleさんのお力を、ココで借りずにいつ借りる…って感じですよね。
私 「戦って強いより、知的戦略って言うか、場や流れを読むことに長けていて、
夢や志半ばで派手に戦って倒れることなく、最終的に思いを遂げて、偉くなって、
戦場ではなく、自身の安住の場所で畳の上で亡くなった人がいいんですけど!」
男性店員「そのご希望に一番近いのは、徳川家康公ですかねぇ。
しかしながら、幼少期は非常にご苦労をされていますし…、
兜飾りは幼少期の方がお飾りとして…ごにょごにょ…」
女性店員「そうですねぇ。仰ることは…しかし、あまり人気の一品ではございませんで…
ごにょごにょ」
((一社)日本人形協会によれば、「最近は徳川家康公の兜も人気ランキングに入っていますが、当時はイマイチの人気でした」とのことです。気になったので問い合わせてみました…丁寧なご対応をくださりありがとうございましたぁ~)
こんな会話の後、無事?! 徳川家康公の兜を、お義父様に買っていただきましてから早24年、自粛期間中に迎えた端午の節句に25回目の徳川家康公の兜を飾りました。
これまで自分のモノとはいえ、そんなにじっくりシッカリ見ることも無かった兜飾りを、矯めつ眇めつ眺める心の余裕と、家族そろって大河を観るという、コロナ禍ならではの時間の流れが、懐かしい事を思い出させてくれました。
「こんな事でもなければ、僕の兜が何で徳川家康だったのか知ることもなかったよねぇ」
と息子っち。
ホントですよね…
しんどい自粛期間の中での楽しかった思い出の一つです。