吉村泰典氏
吉村泰典

1975年慶應義塾大学医学部卒。1995年同大学医学部産婦人科教授。
日本における不妊治療の第一人者。2013年3月から内閣官房参与(少子化対策・子育て支援担当)。
日本産科婦人科学会理事長、日本生殖医学会理事長、日本産科婦人科内視鏡学会理事長など、数々の学会の役職を歴任。

まず結婚、そして出産の日本

「婚外子と婚内子の問題」もあると思うんです。
日本では98パーセントが婚内子なんです。つまり、結婚しないと子供生まないんですよ。

―――ヨーロッパやアメリカでは、事実婚で子供がいたり、結婚せずに子供がいる人も多いですよね。

ヨーロッパでは、婚外子が50%を超えている国が多いですね。結婚してなくても、片親であっても子供を育てられる制度を国が作っているということ。若い男女が、片親でも子供を育てられる環境があるから、婚外子でも子供を育てられる。
日本の今の社会状況では、少子化を克服しようとすると、どうしても「結婚」ということに目を向けざるを得ない。
結婚できないと日本の場合は子供が産めない状況になっている。
社会全体がそういう意識なの。
結婚もしないのに子供をつくるなんて何事だ、っていう社会の目ね。要するに片親で子供を育てることが困難な社会であるということが、非常に大きな問題。

では、どうしたら若い人がちゃんと子供を生んでくれるか?
これは、国のサポートがないと子供を生むことは難しい。
フランスは、昔は日本と同じように少子化に苦しんだこともあったんです。
ヨーロッパの少子化を克服した国々は、子育て支援に対して、GDP比で3%以上のお金を使っている。
日本は大体1.3%とか、1.4%とか、そのくらいしか使ってない。
要するに、日本という国は、老人にはたくさんのお金を使っているけど、子供には全然お金を使っていない。これでは少子化は乗り切れないし、女性が働きながら子供を作れないですよ。