吉村泰典氏
吉村泰典

1975年慶應義塾大学医学部卒。1995年同大学医学部産婦人科教授。
日本における不妊治療の第一人者。2013年3月から内閣官房参与(少子化対策・子育て支援担当)。
日本産科婦人科学会理事長、日本生殖医学会理事長、日本産科婦人科内視鏡学会理事長など、数々の学会の役職を歴任。

出産適齢期は25~35歳

また、40歳以上になると、妊娠しても流産率が高くなる。また、生まれた子供が亡くなる率、これもね、高齢だと高くなるんですよ。

母の年齢と周産期死亡率
赤ちゃんがお腹のなかで亡くなったり、生まれてから生後一週間以内に亡くなったりする割合を「周産期死亡率」というんですが、これみてみるとやっぱりね、25?35歳は非常に低くなっていますよね。母体の死亡率も、高齢妊娠では高くなります。
妊娠した場合に、健康な子供さんが生まれて、お母さんにも障害が少ない、というのは25~35歳だというのは、こういったデータからもわかるんですね。
年老いてから妊娠するより、若いうちに妊娠すれば、赤ちゃんに対しても、お母さんに対しても悪影響が少ないのです。

―――20~30代に比べると19歳以下も死亡率が高いですね。

これはまずね、高校生とかだと、未受診が多いんです。また、十代は子宮がまだ成熟してないということも要因の一つです。15歳とかも入っていますから、赤ちゃんが亡くなってしまう場合も多くなります。人に言えず、無理をすることも当然ありますよね。流産してしまうとか、早産も多くなる。妊娠していることを周囲に隠していることも多いでしょ。

それから、35歳以上で妊娠のリスクが高くなるのは、妊娠高血圧症候群、これは以前妊娠中毒症と言っていました、前置胎盤といって、胎盤が子宮の出口につく病気、常位胎盤早期剥離といって胎盤が子宮の中で剥がれてしまって、赤ちゃんが亡くなってしまう病気で、こうした合併症の頻度も高くなるからです。だからお母さんにとっても危険。子供にもよくない。となると、やっぱり25~35歳で産むのが両方にとって理想的というのが専門家の意見なんです。

―――学校の授業できちんと教えてほしかったです・・・。
こういうことを知らないので、子供を持つということが人生において後回しになってしまっている人、たくさんいると思います。

そうですね。少子化にはもちろん、未婚化も影響していますね。
30代前半の女性は3分の1結婚してない。男性は2分の1結婚してないんです。これは、結婚というものが今の若い人にとってマストじゃなくなったということ。オプションになったということ。