せっかく日本にうまれてきたのに…1

【丁寧に話す】

日本語というのはとても美しい言葉だと思いませんか?

いつの頃からでしょうか
男性が丁寧に美しく話すことを
「女みたい」
「男らしくない」
などとマイナスに受け取るようになったのは…

男性でも、微細な日本語を巧みに操り
豊かな心の中身を存分に表現なさって
周りにいる方々を幸せにしている人を多く知っています。

今に比べると昔の方が
そのような方が多くいらしたとは思いますが。

先日、九州のとある町で講演会が行われまして
そこへお邪魔させていただいておりました。

その際に知り合った30代後半でしょうか
とても美しい風貌の
お仕事もてきぱきこなす女性の方(仮にA子さんとします)が
しごく普通に
「田舎ですね、本当に何もない…」
と言い放ちました。

その方がとてもしっかりしていて美しかっただけに
余計とその言い放った感じが痛く
一瞬、言葉を詰まらせてしまいました。

しかし、ここで黙ってしまっては60代女の名折れ… 
とばかりに話しかけました。
「あなたから見たら人のいないことは田舎と受け取れるかもしれないけれど
自身の街を田舎と言い放たれて心地の良い人ばかりではないのだから
もう少し、言葉を選びましょうね」
と話してみたら、とても素直に
「そうですね、確かに。ならば、この仕上がりの街はどんな街って説明すればいいんですか?」
この仕上がり、という表現もどうかとは思いましたが
いちいちソコで引っかかっていては先に進まぬということで
「静かで落ち着いた町 という表現はどう?」
と告げた時のA子さんの顔ったら!

たったそれだけ? 
一生懸命聞いたのに、もう一つ二つ、ひねりの入った答を用意してよぉ
リアクションに困るわね
概ねのみ込んだ言葉はこのくらいだったかと。

それでも半作り笑顔で
「そうですかぁ~、今度使ってみます!」
とおっしゃってくださったので
一先ずホッと胸をなでおろしておりました。

講演会が終わり、聴衆は三々五々 帰途につき
残ったのは地元のスタッフと我々、東京から参加したスタッフのみ

背後からA子さんの声が
A子「すごく静かで落ち着いた町ですね、ここは」
男性「落ち着いたというか、まぁ、田舎ですよ、田舎」
A子「確かに田舎っていえば田舎ですね」
女性「すみませんねぇ~。東京みたいに都会でなくて」

途中参戦の女性の声に
僅かながらの不快感が含まれていた気がしたもので
振り向くと
市長とその奥様ではないですか。

会話のとっかかりとなる表現を一つ、伝授はしたが
ソレのみ、継続させる術を持たないとはこういう事かと痛感した。

やはり日本語はきっかけを一つではなく
流れで、美しく・・・
そんな風にA子さんを市長の前へ送り出せなかったことへの反省も込めて

今後は気づいたらもう少し丁寧に色々とお伝えしよう
そう決意しました。

どんなにウザという顔をされても
怯む事なく伝え続くけたい

せっかく日本に生まれてきたのに…
こんなにまでも美しい言葉 日本語を
使いこなさないのはもったいないではないですか…

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